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絵本紹介【そらはあおくて】

 私、お母さん、お母さんのお母さん、おばあちゃんのお母さん。みんな子どもだった。それぞれの時代の服やおもちゃや家・・・アルバムの中の写真には、時の流れと共に変わっていったもの達の、当時の姿がある。でも、お母さんは教えてくれた。今も昔も変わらない、ずっと同じものもあるんだってことを。

【コメント】
 ある日、女の子がのぞき込んだアルバムには、お母さんが子どもだった頃の写真がありました。それを見て、「へんなふく」と子どもらしい率直な感想を述べるところから、物語は始まります。

 「服」はその時代を表す象徴的な物の代表です。それは移ろいゆくものであり、「流行」という言葉がそれを端的に説明してくれています。現代では、流行りの服は、短くて数カ月、長くても2,3年で着られなくなってしまいます。

 写真の中のおもちゃや家、街の様子。切り取られた当時の時間に目をやりながら、「いまとは ずいぶん ちがうのね」と言う女の子に、お母さんは優しく語りかけます。

 「そんなこと ないわ。 
  そらは やっぱり あおくて、 くさは みどり。
  ゆきは しろくて つめたくて、  
  おひさまは まぶしく あたたかい。
  いまと おんなじだったのよ」

 女の子は次々にアルバムを開きながら、その度に、「今と違うもの」に関心を寄せますが、お母さんは同じ言葉を繰り返します。

  そらは やっぱり あおくて、 くさは みどり。
  ゆきは しろくて つめたくて、  
  おひさまは まぶしく あたたかい。
  いまと おんなじだったのよ

 時間の経過と共に「流れて行く」物質的な変化と、いつまでも変わらない、大きな自然の力や、それを感じることのできる豊かな心。

 この女の子の家では、ひいおばあちゃん(あるいはそれより前)の時代から、それを言葉(上に引用しているお母さんの言葉です)で語り継いできているのです。そして最後に、お母さんは、女の子にも、いつか自分の子どもに同じお話をしてあげて、と語りかけ、物語は終わります。

 「普遍的」という言葉は幼児には難しい言葉ですが、その言葉を知らなくても、お母さんやおばあちゃんが子どもだった時代、今の時代、変わっていくもの、変わらないもの、を見て、感じて、比べながら、その違いに思いを馳せることが、「普遍的」とういう概念を捉えることにつながるのだと思います。

 うちの子ども達も写真を見るのが大好きです。実家に行ったときには必ず、昔のアルバムを開いて、興味深そうにしています。「今」に夢中な子ども達ですが、時に過去から現在への時間の流れを見つめ、目に見える変化や、その背景にある大きく普遍的な物を感じる時間も大切にしていきたいですね。


このマガジン内では、私のオススメする絵本をたくさん紹介しています。                                                                             主に未就学児への読み聞かせや、一人読みの練習にピッタリの作品をピックアップしているつもりです。
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