絵本紹介【なのはなごう しゅっぱつしんこう!】
穏やかな春の日、田舎のおばあちゃんからキャベツが届きました。一緒に入っていたアオムシ君を、なずなちゃんは育ててみることに。やがて成虫となり、飛びたったチョウチョは、素敵な魔法でなずなちゃんのお願いを叶えてくれます。
【文字数・・・普通・ちょうどいい】
【内容・・・・素敵・易しい・優しい】
【コメント】
とても優しい気持ちになれる絵本です。
内容はもちろんのこと、私が魅かれたのは、
「絵」の優しさ。
桃色、黄色、黄緑、淡い空色と、挿絵だけで思いっきり春を感じられ、柔らかな輪郭やボカシからも、春霞の穏やかな情景を味わうことができます。
桜、優しい風、キャベツ、菜の花、チューリップ・・・と春のキーワード満載で、春の季節にぜひ読んでもらいたい一冊です。
絵本の魅力として、「絵」はとても重要なものだと思います。
それは視覚に訴えかけ、感性を刺激するアート的な側面でありながら、語彙習得を手助けする役割も果たします。
この絵本の中に、
「やさしいかぜが、せんたくものをゆらします」
「きっぷは、はるのにおいがしました」
という文章があります。大人にとっては何気ない言葉ですが、よくよく考えてみると、「優しい風」、「春の匂い」、どちらも実態のないものです。
「強い風や弱い風」、「甘い匂いや臭い匂い」なら幼児でも知っています。それは直接的で、実際に体験したことと言葉がイコールで結ばれるからです。
「優しい風」ってどんな風?「春の匂い」ってどんな匂い?子どもにそう聞かれたとき、大人でもすぐにパッとは説明しづらいところがあります。
それでも大人は、優しい風と春の匂いを知っています。それは春が来るたびに何度も体験し、その言葉を何度も聞いたことがあるからです。
しかし、絵本を読み聞かせる年齢の幼児は、春という季節を片手で数えられるほどしか体験していません。0歳や1歳では季節の概念すらないので、3歳くらいで、「初めての春」を体験しているかもしれません。
「やさしいかぜが、せんたくものをゆらします」
「きっぷは、はるのにおいがしました」
これらの文章が、その情景を美しく描いた挿絵と共に、視覚と聴覚に入ってきたとき、幼児は感覚的にその言葉を掴み、ふんわりとしたイメージ的な語彙として身に着けます。
幼児が何かを習得するとき、もちろん実体験が一番なのですが、残念ながら、「優しい風」や「春の匂い」を普段の会話で用いることは、なかなかありません。それはやはり文章としての感覚的な表現であり、口にするものではなく感じるものだからだと思います。
美しい絵を見ながら、美しい言葉を聞く。子どもの豊かな心を育ててくれる、素晴らしい絵本をこれからも紹介していこうと思います。
このマガジン内では、私のオススメする絵本をたくさん紹介しています。
主に未就学児への読み聞かせや、一人読みの練習にピッタリの作品をピックアップしているつもりです。
子どもに絵本を読んであげたいけど、選ぶ時間がない方、どんな絵本がいいか決めかねている方のお役に立てれば幸いです。
(一人読みの練習については、記事内の【文字数】や【内容】を参考にしてください。)
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