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絵本紹介【月へミルクをとりにいったねこ】

 子猫たちにあげるミルクがなくなってしまった母猫は、犬に「ミルクがほしいなら、月へ行けばいいんだ」と教えてもらい・・・。

【文字数・・・ちょうどいい~多め】
【内容・・・・子猫たちのために頑張る母猫】

【コメント】
 母猫が、子猫たちのためにミルクを求め、月を目指すというファンタジーなのですが、ここでいう「月」は動物たちが見ている「月」であり、彼女たちにとってそれは宇宙に存在するものではなく、空にぽっかりと浮かんでいる、意思をもって動く生き物であるようです。この感覚は、子どもが月を捉える感覚に近いものがあります。

 地上から見た月の表面の陰影が、犬や猫にとっては、おじいさんとおばあさんが桶を運んでいるように見え、その桶の中にミルクが入っているというのです。

 母猫は、ミルクを手に入れるため、月を目指して走り続け、、森の中の一本の木の下にたどり着きました。月は、その木の上に腰かけているように見えます。

「月ったら、 あたしが のぼっていくと、 どこかへ とんでいってしまうのよ。 よし、 もういちど いってくるわ」
「月だって、いつまでも そらに ぶらさがってはいられないわ。
 そのうち つかれて、どこかの木に こしをおろすわよ。
 そうしたら、 のぼっていって、つかまえてやる!」


 空に浮かぶ「月」をなんとか捕まえて、子猫たちにミルクを飲ませてやりたいと、母猫は奮闘します。

 夜を徹して月を追い続けた母猫。最後に「月」が隠れていた場所がとてもユーモラスで、物語はハッピーエンドで幕を下ろします。

 タイトルにひかれて何気なく手にとった本だったのですが、大人の私でも読んでいてとても読み応えがあり、良い絵本に出会えたなぁと、大満足の一冊でした。

 絵本は読む人が、それぞれの感性で自由に楽しめばいいのですが、私はこの絵本を通して、「頑張る母猫」よりも、「動物たちが捉えている月」の方に関心がありました。それは、子どもが、誰にも教わらなければそう認識するであろう「月」の姿だったからです。

 子どもの頃、夜道を歩いていると、ついてきた月。

 追いつかれないように走ってみても、やっぱりついてきた月。

 さっきはあの木の上にいたのに、今度はあっちにいっちゃった月。

 この前は細長かったのに、今日はまん丸になっていた月。

 子どもの頃の感覚を思い出し、少し懐かしくなったのですが、もちろん、子猫たちのために必死でミルクを手に入れようとする母猫の姿にも、心打たれるものがあります。

 母猫が、月へミルクを取りに行く途中、色々な動物たちが参戦してくるのですが(このあたり、ブレーメンの音楽隊に雰囲気が似ているかもしれません)、みんな途中で諦めてしまいます。

「ほしいものを てにいれるためには、 しんぼうがだいじなのよ。
 とちゅうでくたびれたり、 こわがったり、 いらいらしては
 いけないの」

 最後まで諦めず、月を追い続け、ミルクを手に入れることのできた母猫が、他の動物に言った言葉です。

 たくさんのことを感じ、感性を育てることのできる素敵な絵本、オススメです。


このマガジン内では、私のオススメする絵本をたくさん紹介しています。                                                                             主に未就学児への読み聞かせや、一人読みの練習にピッタリの作品をピックアップしているつもりです。
 子どもに絵本を読んであげたいけど、選ぶ時間がない方、どんな絵本がいいか決めかねている方のお役に立てれば幸いです。
(一人読みの練習については、記事内の【文字数】や【内容】を参考にしてください。)


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