To the MUROTO~室戸岬への旅行記~
ぼくが香川に転勤で移住してから4年が過ぎたが、折角の四国在住なので、四国あちこちの観光地を訪れている。
今回は2回に渡り訪問しており、個人的に大層気に入っている室戸岬への旅行記を書きたいと思う(一度目は一人で、二度目は友人と二人で)。現在、新型コロナウィルスが猛威をふるっているため、その感染拡大期の隙間を縫うような訪問である。
尚、形式として一度目の訪問を振り返りつつ、二度目の旅行記を主としたい。(より記憶が鮮明に残っているため)
むろと廃校水族館
廃校となった小学校が生まれ変わって水族館となっている。内装は小学校だったときの名残を残しつつ、種々の水生生物が展示されている。主に近くの港で捕獲された魚が多いらしい。展示方法も趣があって、特に理科室の展示は童心に帰り、心が躍った。
そして、一番の目玉は屋外プールである。
誰でも一度は小学校のときに、プールに魚を放つことを夢見るのではないだろうか。まさしくそんな夢の体現である。25mプールを魚たちが思い思いに、遊ぶように泳いでいる。この魚たちの種類はタイミングによって違うようで、一度目に訪問した時は写真のようにシュモクザメとラブカ?(古代サメ)のような巨大な魚が泳いでいたが、二度目はサメはいなかった。サメが見られた人はラッキーである。(皆が皆サメが見たいかどうかは分からないが)。
興味がある人は一度行ってみて欲しい。
室戸岬
旅の目的地であり、何度も行ってみたいところだ。国のジオパークに指定されており、まさにここでしか見られない雄大な風景が広がっている。
そして、朝・昼・夜、時間の移り変わりに合わせて、様々な顔を見せてくれるので、できれば岬近くの宿を取って、その全てを体感してほしいと思う。きっと、天候によってもまた違った顔を見せるのだろうけど、ぼくが訪問した二回とも、幸か不幸か晴天に恵まれたため、まだ雨の室戸岬は拝めていない。
空、海、岩。構成される要素はシンプルなのに、何故ここまで心惹きつけられるのだろう。一日過ごしていても飽きない。
また、この岩礁には無限のアドベンチャーが潜んでいる。友人とどんな角度でどうやって写真を撮ろうか、岩と岩の間を飛び跳ね、カメラを傾けながら思案した。(足元にはよく気を付けて欲しい)
最南端から真下を見下ろした様子。怖い。
また岬の近くには室戸岬灯台がある。歩いて山登りしても行けるようだが、時間短縮のため、二回とも車で移動した。決して疲れていたわけではない。見学に行く際に注意してほしいのが、いつかの台風の被害から恐らくまだ復興しておらず、間近まで寄ることが難しいのだ。とはいえ、別のルートが整備されており、下から見上げる形で眺めることができる。
個人的にオススメの時間はやはり夕景だ。
彼方の水平線に沈みゆく太陽が、辺り一面を橙色に染め上げる。思い残すような藍色の空も、負けじと輝きを放つ。風に吹かれて、境界線が揺れる。
一瞬だけ訪れる魔法の時間を堪能してほしい。
旅館の女将さんから聞いたお話
今回の裏メインである(笑)。
民宿や家庭的な旅館に宿泊するときの楽しみの一つが、女将さんから、その土地にまつわる色々なお話を聞かせてもらえることだ。ぼくは室戸岬近辺の宿に二回宿泊したけれど、いずれもとても興味深いお話を聞かせてもらうことができた。
今回はその中から特に興味深かったものを紹介したい。
二度目の来訪でお世話になった女将さんは、齢70は超えていると思われるのに、その動きは洗練されていた。その夜は6組ほどのグループがほぼ同時に食事をとっていたが、各々のテーブルを見やり、リクエストに応えながら、手際よく配膳するのは見事だった。
また話が始まると、こちらは相槌を打つ暇もないほどの迫力で、気圧されてしまった。そして、話し方・内容ともに非常に高品質?で、まるでバラエティのベテラン司会者をみているようだった。
色々お話ししてもらえたのだけど、岬ということで、特に台風の話題が豊富であり、興味深いものが多かった。帰ってきてから調べたのだが、1934年に室戸台風と呼ばれる昭和の三大台風の一つに数えられる大災害も起きているらしい。
◆数万にも及ぶ蝶の大群
ぼくも友人も最も興味を惹かれた話題だ。台風の目に入り、風が止み、海が凪いだタイミングで、数万にも及ぶ蝶の大群が空に現れたというのである。女将さんの推理では、台風の被害を避けるように台風の目とともに大移動をしているということであるが、にわかに信じがたい。これも調べてみると、残念ながら同様の現象はヒットしなかったが、「迷い蝶」と呼ばれ、台風一過後にその地域で生息していないはずの蝶が見つかることもあるようだ。他にも同様の現象を見たことがある人がいれば是非教えてほしい。
◆台風と外国人観光客
とある外国人観光客がよりもよって台風の時期に宿泊してしまったらしい。そのお客さんの地域では台風が来ないのか、大層怯えていたそうだ。女将さんからすればいつものように戸締りをし、台風が通過するのを待つだけだったのだが、そのお客さんはなんとか外に出してほしいと懇願してきたそうだ。そんな危ないことはできないと通過するまで待つように伝えたが、納得してもらえそうにない。押し問答の末、お客さんは日本人の友人に電話で通訳を頼み、なんとか出してもらおうとしたとのこと。最終的にどうなったのか忘れてしまったが、女将さんの困り果てた顔は忘れられない。
◆台風マウント
個人的に一番面白かった話である。他の地域で風速XXm/sの台風で、家が壊れたり、交通が麻痺したというニュースをみたときに、「えっ、たったXXm/s程度で?そんなの室戸ならしょっちゅうきてるのに」と思った、という話。まさかの台風マウント(風速マウント?)とは恐れ入った。
◆初めての甲子園
これと次の話は一度目に宿泊した宿の女将さんから聞いた話である。
室戸のとある高校が、初めて甲子園に出場が決まったとのこと。バスを借り、宿を取り、地域住民みんなで大盛り上がりして応援に駆け付けたとのことだ。
尚、1回戦で負けてしまったらしい。
◆人間と自然の勢力争い
昨今世界中で、自然が破壊され、野生動物が迫害されている、もっと環境を保護するべきだと叫ばれている。
しかし室戸では年々人口が減少しており、それに伴い野生動物の数が増え、自然が勢力を伸ばしている、という話だ。
マクロとミクロでは物の見方が変わる勉強になった。
シレストむろと
エンディングはゆったりと。
あまり知られていないが、室戸では海洋深層水の研究開発が盛んで、産業として成立している。詳しいことは調べてほしいが、大学との共同研究の結果、人間の健康にも寄与するとのこと。
シレストむろとは、そんな海洋深層水を存分に体験できる施設となっている。ぼくたちは、海洋深層水の露天風呂を楽しませてもらった。
ちょうどその日は突き抜けるような青空で、露天風呂から海は見えないのだが、ほのかに潮風が漂ってきて、素晴らしい解放感だった。湯温も熱すぎず、体温に近い温度で、いつまでも入浴していられた。
時間も気にせず、他愛無い話に花を咲かせられるのは旅の醍醐味だ。とてもいい時間だった。
オマケ:香川からのルート
ちなみに2回目の来訪では、行きは香川から高速を使用して南国経由で西回り、帰りは徳島まで下道を使って東回りで帰ったが、帰りの方が運転がしんどかった。高知の沿岸沿いを走るのは気持ちよかったが、徳島の街に入ると、信号も多くて疲れてしまったので、今度は行き・帰りとも西回りにしようと思う。
コロナ渦が早く終息し、またあちこちに出かけられるといいなぁ。
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