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「彰俊的ソナタ形式N-1エピローグ」 プロレスリング・ノア 齋藤彰俊

数年振りに海外から選手が参戦し、魅力と輝きを増した
「N-1 VICTORY 2022」

「N-1」とは本来の意味であるNOAHのNO.1、最強を決める戦いであると共に「日本」「ナショナル」のNなのではないかと思っていた・・・

今回は、常勝している常連選手に加えて、外国人選手を始め新たな選手、未知なる選手が加わったことは印象的である。

アクシデントによりティモシー・サッチャー選手が出場出来なかったことは非常に残念ではあったが、岡田選手がその枠を勝ち取り出場出来た事は、N-1の面白さを増長させたと言えよう。

そして今、この大変な時期にこのような選手が集結した試合を観れる事は、多くの方に希望を与える事が出来たのではないでしょうか。

カード一つ一つ、対戦相手が変わるごと、そこには確かなテーマがあり、一期一会「点」の戦いから取得点が絡みながら決勝へ向かう「線」という戦いへと挑んでいく。

リーグ戦の得点結果は周知の通りではありますが、得点を加算したという意味での勝者は居ても、敗者等はおらず、技・メンタル共にレベルが高く、各個性が光り、実力僅差のリーグ戦が繰り出した戦いは、勝敗の枠をも超え、いくつもの名勝負を生み出した夏だったと言えよう。

リング上での試合は生き物、ちょっとしたタイミングや試合順が変わっただけでも、結果に影響をもたらす事だろう。

ただ、その一瞬一瞬を敏感に察知し、それを勝利へと導く判断と行動を瞬時に行いチャンスを掴んだ事で高得点を得、決勝に進出した事に間違いはない。

その上でもし、AブロックとBブロックの振り分けが違っていたら、果たしてどの様な結果が出たのであろうかと興奮の余韻が残っているのは自分だけであろうか?

リーグ戦が終了してしまったが、それぞれの選手の可能性を脳内で感じながら楽しめるという贅沢が今尚続いている。
素晴らしき全出場選手の良さや印象に残った事は数多くあり、全て書きたいとも思うのだが、その多様で魅力的な事をこの場で統括や結論付けをせずにいようとも思う。

何故なら皆さんにとって、この長いリーグ戦の中で心に焼き付き、目を瞑れば浮かび上がってくる選手やシーン、技、表情等、試合を通じて心に刻まれた事、その感性自体こそが、N-1全体が何たるかの「answer」なのではないかと思っているからである。

さて決勝戦である鈴木秀樹選手VS清宮海斗選手。

この試合は皆さんの目にはどの様に映っていたのでしょう?

前回遺伝子と言う点で、選手にとっては相手との「戦い」であり、自分自身との「闘い」になるであろう。と書いたのだが、この試合にて完成されている鈴木選手は元より、両者共に偉大なる遺伝子のオーラという幻想は自身に入り込み、選手本人そのもののオーラが光を放ち本物になっていた。

そして同じく「ゴングが鳴って向かい合った時、どちらが先に動き仕掛けるのか?

先に動いた方も受けた方も初めの一歩は、相手の状態を読むためのもので、このファーストインパクトで、中盤までの流れを決勝まで進んだ程の選手なので瞬時に読み取る事だろう。

勝利するにはファーストコンタクト、中盤、終盤の時に決めにかかる時に流れが大きく変わる。

弱っていてイケると思った瞬間に決められることも少なくないのである。」とも書いたが、先に動きファーストコンタクトでインパクトを与えたのは清宮選手であった。

以前トラウマと言っても過言ではない鈴木選手のテリトリーに果敢に入り込んだのだ。

確かに鈴木選手の得意とする部分に入ったので、有利とはならなかったのは言うまでもないのだが、彼の目と動きを見る限り、その行為は無謀ではなく、以前の怖さを払拭すると共に現在の「清宮海斗」の確認作業とマインドセットを行っているようにも感じた。

一方の鈴木選手は、その事を瞬時に捉えて付き合ったようにも見えた。
付き合ったと聞くと語弊があるかもしれませんが、選手としてそのような形の挑戦を感じると、自分の得意なテリトリーに入って来たので瞬時に決めて勝負をつけてやろうという一面と、受けきってじわじわと追い込み決めてやろうという心理が働いてしまう。

前者は勝利へのリスクを減らし心身へのダメージを与える事が出来る。
一方後者はリスク自体は増えてしまうが、心身、特に心へのダメージは計り知れない。

学習性無気力も誘発させてしまう程の恐ろしささえあるのだ。
そしてプロレスラーは後者を選ぶ傾向が強い。

前半から中盤までは、またしもトラウマを増強させるのか、それとも出口を見つけ脱出出来るかの精神的試合だったように感じた。

圧倒的に有利で徹底的に追い込んだ鈴木選手も昔あれほど恐怖心を植え付けた選手が自分のテリトリーに自ら入って来た事という事に無傷と言う訳ではではなかった筈。

中盤に入り流れを変えたのもファーストコンタクト同様清宮選手であった。
流れと攻めを変えたのは、圧倒的強さに太刀打ち出来なかったからではない。

リードは出来なかったものの、かつての自分自身ではないと確信が持てたからではなかったのだろうか。

流れを変えても試合時間が流れ続けても鈴木選手の強さは衰える事はない。
実績と実力は当然ながら清宮選手には超える事が出来ない「時間」という壮絶で生き残り続け勝利まで辿り着いた心身に沁み込んだ「自信」と「実」があるのだから・・・

「完成したキャリアの小さな角度で大きな結果を出す変化」「進化過程の大きな変化」の戦いだと話していましたが、後半戦に差し掛かりまたもや清宮選手が仕掛けた。

シャイニング・ウィザードだ。

しかしこれは心理的トラップだったのではないかと思っている。
もしかしたらここでアフォーダンス理論か正常性バイアスが起こったのかもとも感じている。

リーグ戦で得点に繋がる「星」を取ったコレに賭けていると思わせ判断と確信させる・・・

その後の一進一退・・・いや終盤まで鈴木選手がリードし続ける。

鈴木選手の繰り出す関節、締め、投げは完璧なまでに理に適う効果抜群な攻めに加え、191㎝の長身から与えるダメージは更に増す。

その試合展開は、皆さんの脳裏と心に刻まれた通りである。
清宮選手が全てをかけて最後に出した自分自身の技「シャイニング・ウィザード」が勝利を呼び込んだ。

前半からの流れを見ていくと、常に変化しつつ勝負と挑戦を重ねた清宮選手に勝利の女神がほほ笑んだが、ここで皆さんにも分かって頂きたいのが、鈴木選手が後手に回った訳ではないのだ。

皆さんご存じの通り、鈴木選手は冷静沈着で鉄壁なアンガーマネジメントの持ち主、受けているようでそれは誘いであったり、突然鋭い攻撃を仕掛けたり強弱遅速を自在に操れる格闘技マスターである。

この両者の戦いに拍手を贈ろうではないか。

遺伝子を取り込み自分自身を完成させ己自身の戦いとした両者に。

そしていよいよ9月25日、名古屋ドルフィンズアリーナにて拳王VS清宮GHCヘビーの選手権が行われる。

二人の覚悟とベルトへの思いは並々ならぬものなのは言うまでもない。
今回の段階では深くは書かないが、瞬時に決めれる必殺技の「ハイキック」超大技で新必殺技の「炎輪」を繰り出し、揺るがない信念を持つ拳王選手。
独自の技に加え三種の神器を手に入れ、自分流に使いこなす清宮選手。

この超大技の有無がどう影響するのか?試合の組み立てがどの様なチャンピオンをベルトが選ぶのか大注目の選手権だ!

それぞれの思想やアクセスは違えど、NOAHを最高なものにする。
そして観てくれている皆をその最高な場所へ導くという強い思いは同じだ。
あなたはどちらに着いて行くのか⁉

先日「参加することにNOAHあり!」と言ったが、皆さんの応援が選手を、NOAHを後押しして強くする。

それはまるで原石を努力して磨いて宝石になった選手を参加する応援という装飾で王冠や指輪のように輝かせることが出来るのだ。

今回のN-1は新たな選手も常連の選手もこのN-1という舞台を戦い抜きながら色々な物を得ながら吸収して大きく進化して行った。

そして更に成長して、また来年このN-1に挑戦して来るであろう。
だから・・・「N-1 VICTORY」の「N」は勝利を掴める新たな自分を作り上げるNEWの「N」でもあるのではないかと・・・強く感じた。

新たな戦いの第2主題への思いを込めての彰俊的エピローグ

信念は変わらず、新たに変化と進化し続けるNOAHから目を離すな!
そして参加し一緒に最高を作り上げるのだ!
参加することにNOAHあり!

プロレスリング・ノア
齋藤彰俊

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