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なにわ男子ならぬ”ノアの男子”拳王いわく、今年は「N-1」ではなく「K-1」? プロレスリング・ノア 公式ファンクラブ「NOAH’S ARK」ライター伊藤雅奈子

漫才師・カベポスターのツカミのフレーズになぞらえば、「たしかに拳王の言うとおり、今年の「N-1」は「K-1」かもしれん」となる。

 「N-1」とは、プロレスリング・ノアの最強選手を決めるシングルリーグ戦「N-1 VICTORY 2022」の略称。マット界の夏の風物詩のひとつだ。一方の「K-1」は、「THE MATCH 2022」(6月19日、東京ドーム)で那須川天心と世紀の一戦を繰り広げた格闘技の団体。……ではなく、ここでいうのは、金剛(こんごう)の「K」だ。

 金剛とは、一枚岩の結束を誇るユニット。ノアマットでは現在、小川良成を筆頭とする「STINGER」、NOSAWA論外らの「PERROS DEL MAL DE JAPON」、杉浦貴らの「杉浦軍」、モハネド ヨネらの「ファンキーエクスプレス」、原田大輔を中心としたジュニア正規軍による「N Innovation」など、あまたのユニットが乱立している。金剛は、ノアの新体制に拳王が反旗を翻す形で19年に誕生。奇しくも、同年に産声をあげたのが「N-1」だ。初年度覇者は、拳王。ノア首脳陣にギャーギャーと吠えるだけ吠えて、結果を残した。

 翌20年と21年に2連覇したのは、中嶋勝彦。こちらも金剛だ。さらにいうなら、ノアのシングル最高峰のGHCヘビー級王者は、拳王。GHCナショナル王者は、“金剛1年生”船木誠勝。シングルタイトルの2トップを、金剛が独占している。この現況を指して拳王は、今年の「N-1」は「K-1」と形容したのだ。

 とりわけ、昨今の拳王は独創性が過ぎる。YouTubeチャンネル「拳王チェンネル」では、期せずして視聴者との距離を縮めつづけている。いわく、NHK朝の連続テレビ小説「ちむどんどん」(NHK総合)を欠かさず録画。ドラマは8時15分で終わるが、録画タイムは8時17分まで。情報生番組「あさイチ」(同)で、キャスターの博多華丸・大吉がドラマの感想を表情で示し、コメントするところまでをチェックするためだ。かつての”あさイチコンビ”である有働由美子アナウンサーとV6時代の井ノ原快彦のころに根づいた「受けコメント」。拳王は、その術中にハマっていたのだ。

 この一例からもわかるとおり、とにかく飽きさせないのが拳王だ。6・12「サイバーファイトフェスティバル 2022」さいたまスーパーアリーナ大会で、佐々木大輔(DDT)との「ハードコアマッチノーDQルール」が決定すると、事前の記者会見でみずからのシューズに着火して、佐々木にファイヤーキックをお見舞い。消防法なんて我関せず、ド派手に話題をさらった。

 7・16日本武道館大会でベルトを賭けた小島聡(新日本プロレス)戦が決定すると、互いがバックステージでコメント中に急襲。やがて、試合後でもスクワット、プッシュアップができることを自慢しあい、YouTubeで新日本の伝統である「ライオン・プッシュアップ」を、100回もやってのけた。

 やがて、バトルはリング外へ。プロレスはエンターテインメント要素もあるという根拠から、なぜかカラオケでも競いあった。拳王が赴いたのは、カラオケボックス。選曲は、大人気ジャニーズアイドルのなにわ男子の胸キュンソング「初心LOVE」。振りコピもできたあたりに、練習の跡が見て取れた。

 プロレスは、エンタメの才覚がある人ほど楽しめるプロスポーツだ。そういう意味で今年の「N-1」は、武藤敬司の来年引退が決定し、GHCヘビー級王者とGHCナショナル王者がダブルでエントリーするというエンタメ性をはらんでいる。拳王、望月成晃、中嶋、杉浦貴、マサ北宮は4年連続4回目。初年度からのフル参戦だ。

 もし拳王がAブロックで勝ちあがり、Bブロック覇者と激突して2年ぶり2度目の優勝をはたせば、GHCヘビー級王座への挑戦権を獲得する。……というのが、通常モード。だが、今年に限ってこのセオリーは通用しない。そこへきて、8・5後楽園大会で復帰した丸藤正道、実況解説とnoteの連日寄稿でおなじみの齋藤彰俊は、優勝予想に「潮崎豪」の名をあげている。

 その潮崎(Aブロック)は8・11横浜大会の開幕戦で、4・30両国国技館大会のタイトルマッチが流れた藤田和之と一騎打ち。拳王とは、8・17仙台大会で激突する。Bブロックに目を向けると、船木vs中嶋の同門対決が8・13大阪大会で実現。オールドファンにはたまらない船木vs小島は、8・20後楽園大会で観られる。

 タイトルに偽りなく、「N-1」で終われるのか。なにわ男子ならぬ“ノアの男子”の思惑どおり、「K-1」になってしまうのか。答えはひとつ。全戦善戦……だわな。

プロレスリング・ノア 公式ファンクラブ「NOAH’S ARK」ライター
伊藤雅奈子

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