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「プロレスが凝縮されたサイバーファイトフェスでNOAHの闘いを示す!」

6・12「CYBER FIGHT FESTIVAL 2022」(以下、サイバーファイトフェス)のメインイベントで、GHCヘビー級タイトルマッチを闘う潮崎豪。挑戦者・小島聡との前哨戦は、回を重ねるごとに激しさを増していった。復帰から約半年で最前線に返り咲き、新たなチャンピオンロードを歩む潮崎に、目前に迫った小島との防衛戦への思いを聞いた。

今の小島聡は“NOAHっぽい”
すべてを受け止めたうえで上回る

――右上腕二頭筋腱脱臼の手術での欠場から復帰して半年が過ぎました。1月1日の中嶋勝彦選手とのタイトルマッチでは敗れましたが、現在はGHCヘビー級王座を腰に巻いています。最速で最前線に戻りましたね。

潮崎 ケガがケガだったので慎重になる気持ちもありましたが、復帰して1ヵ月で1月1日にタイトルマッチをできたからこその今だと思っています。タイトルマッチの後にはシングルも何試合かやりましたし、結果は出ていませんでしたけど、最前線に戻る過程としては全部が必要なことでした。

――1月21日には40歳の誕生日を迎えました。40代になって気持ちに変化はありますか?

潮崎 気持ちというよりも、40歳になって体のダメージが抜けづらくなりました(苦笑)。でも、だからこそ、自分の体と話し合うというか、コンディションに対する気づかいが増えました。それによって、試合ではこれまで以上に思い切りいけるなという感覚もあります。「男は40から」「男は50から」と、某師匠が言ってましたが(笑)、そう思わないとこのまま朽ちていきかねない。40代になってみて、あの言葉というのは、確かにその通りだなと感じています。

――NOAHには40代どころか、杉浦貴選手や藤田和之選手をはじめ、すごい50代がたくさんいます。衰え知らずのベテラン選手には何か共通するものってありますか?

潮崎 若いときと比べると、ケガもあったりして肉体的な衰えはあると思うんですけど、そうしたなかでも練習への打ち込み方を考えているんだと思います。杉浦選手もそうですし、小島選手もそうですけど、自分よりも一回りくらい上の選手たちが第一線で闘っているのを見ると、逆に俺は若いんだからもっとやらなければって気持ちになります。刺激を受けまくりですよ。

――6・12サイバーファイトフェスでは、元気な50代の一人である小島聡選手とのGHCヘビー級選手権試合が組まれています。シングルでの対戦は2010年のG1クライマックス以来なので干支が一周しています。小島選手のイメージにどんな変化がありますか?

潮崎 会見では「体は全盛期じゃなかったとしても気持ちは全盛期」ということを言っていますし、その言葉に納得する部分もあります。プロレスはもちろん肉体は大事ですけど、気持ちの面で体がついてくるところもあります。ベルトが目の前にあるというシチュエーションが気持ちをグッと盛り上げているのもあると思いますし、自分もその年齢になったときに、こうなりたいと思うくらい、今の小島選手にはエネルギーを感じます。

――小島選手もそうですし、本来4・30両国で闘う予定だった藤田選手、あるいは昨年のタイトルマッチで敗れた武藤敬司選手などは新日本プロレスの出身です。それぞれタイプは違いますが、自分との育ちの違いを感じる部分はありますか?

潮崎 小島選手に関していうと、最初は育った畑が違う印象が強かったんですけど、NOAHのリングで試合をするようになってからは、“NOAHっぽい”闘い方になってるんじゃないかなと感じています。これが新日本プロレスのリングで闘うのならまた違うものになると思うし、NOAHのリングだからこその闘い方、闘う姿勢を感じます。

――言語化するとしたら“NOAHっぽさ”とはどんなことですか?

潮崎 強い者がトップだというわかりやすさとでも言うんですかね。年齢とかキャリアとか団体とか関係なく、強い者がトップだということ。もう一つは、レスラーの言葉になるかもしれませんが、「こんな受け方をするんだ」という部分です。それが“NOAHっぽさ”の一つですかね。

――言葉を変えると、相手を全部受け止めるみたいな感覚ですか?

潮崎 そう。全部受け止めつつ、それでも立っていくというところですね。なんかファンに戻ったような気分になるんです。欠場しているときは客観的な目線で試合を見ていたのですが、それから復帰して試合をしていると、「こんな受け方するんだ」という部分にすごさを感じます。そして50代の選手たちの試合への向かい方、内容を見ると、負けてられないなって思います。

――相手をすべて受け止める、それでも立ち上がるというのは、“NOAHっぽさ”と言われて納得ですが、それはまさしく潮崎選手の闘い方じゃないですか? 2020年のチャンピオンロードは、チャレンジャーを全部受け止めて、それでも立ち上がって勝っていくという試合でした。

潮崎 これが20代とか30代前半の若いときだったら違ったんでしょうね。

――それはどういうことですか?

潮崎 俺が俺が…という気持ちも大事なんですけど、若いときはどうしても自分がやりたいことを押し出してばかりになりがちです。そうではなくて、相手をすべて受け止めて、そのうえで上回る。すべてを受けられるというのは、これだけ受けてもまだ立ち上がれるという自信があったからだと思います。受け身一つにしても経験なのかな?って。こういう受け方をすればダメージを抑えられるという経験の積み重ねがあって、自信があるからこそできる試合なのかなって思います。

――言葉にするなら「完全燃焼型」の闘いですね。

潮崎 それでいいと思うんです。2020年のチャンピオンだったときは、受け止めてやろうという気持ちが強かったんです。三沢さん、小橋さんのチャンピオン時代を意識したわけではないんですけど、今振り返ってみると、そうだったんだろうなって感じています。相手のすべてを受けて、もうこれ以上ないってところまで受けられるのは、それでも立っていられる自信があるからです。三沢さんや小橋さんのチャンピオン時代に感じた、「なんでこんな攻撃を受けられるんだ?」というものも、今ならわかる気がします。

小島のラリアットは“カチ上げ式”
自分のラリアットは“叩きつけ式”

――小島選手といえば、潮崎選手と同じくラリアットを得意としています。小島選手のラリアットと自分のラリアットで違いを感じるところはありますか?

潮崎 基本的なことは一緒ですけど、全部が同じではないですよね。小島選手のラリアットはカチ上げ式なので、インパクトの瞬間にしっかり見ていないと一発でやられてしまう危険性があります。ハンセンのラリアットもそうですし、カチ上げ式のラリアットは外国人選手に多い印象があります。自分は叩きつけ式のラリアットで、日本人選手はこのタイプが多いと思います。

――ダメージ的な部分や受け方の部分ではどんな違いがあるのでしょうか?

潮崎 カチ上げ式の場合は下からくるのでアゴを持っていかれます。クリーンヒットされて受け身をとるとしたら、宙に舞わないと衝撃を逃がせません。そういう部分で食らうとダメージを逃がすのが難しい攻撃です。自分のラリアット、叩きつけ式の場合は、ヒットの瞬間もそうでし、そのままマットに叩きつけることでもダメージを与えます。これは考え方によって違うかもしれませんが、俺はマットに叩きつけるほうが大きなダメージを与えられると思っているので、この形を貫いています。

――この話を聞いたら、ラリアットの攻防を見るのが楽しみになりました。

潮崎 食らいたくはないですね(苦笑)。でも、あのラリアットは小島選手がデビューして31年、培ってきたものを感じます。すごい腕をしていますし、闘いの歴史も感じます。その歴史をリスペクトしたうえで、上回りたいです。同じラリアットを使うレスラーとして、どっちが上かというのを意識しないわけにはいかないです。

――少し話はズレますが、ここ最近は旧ロゴのTシャツを着用していますね。何か理由はあるのですか?

潮崎 俺にとってはNOAHのロゴというのは、あのロゴという気持ちがあります。歴史はどんどん移り変わっていきますし、それに応じて変化をしていくものですが、会社自体も歴史を大事にしていますし、俺もNOAHの歴史、NOAHの歩みを大事にしていきたいという思いで、あのTシャツを着ています。なんなら昔のGHCのベルトにも思い入れがありますし、今のベルトと2本持って入場したいくらいですよ(笑)。

――そのベルトを初めて巻いたのが2009年で、それから歴代最大の5度にわたってGHCヘビー級チャンピオンになっています。前回は素晴らしいチャンピオンロードでしたが、自分の時代を築いたという意識、あるいは築きたいと意識することはありますか?

潮崎 そこは後からついてくるものだと思います。今までもベルトを巻いているときは守ることに必死だったし、「俺がGHCヘビー級のチャンピオンなんだ」ということを意識しながら試合をしていました。そこは俺がどうこう言うよりも、どれだけ伝わるかどうかだと思います。自分で「I am NOAH」と言っていますけど、俺がNOAHなんだっていう自信もあるし、その言葉もなかったら、前回はあれだけ防衛できなかったと思います。防衛記録をつくったわけではありませんが、GHCの闘い、NOAHの闘いというものを見せることを意識していたので、それが伝わっていればいいなとは思います。今はまたベルトを巻いているので、俺が思うGHCの試合を積み重ねていきたいです。さっきも言ったように、相手のすべてを受け止めて、そのうえで勝つというのは、自分のもともとの考え方であり、俺はそれがNOAHの闘い方だと思っているので、それだけは貫き通していきたいです。


――昨年は欠場中でサイバーファイトフェスには不参加でした。サイバーファイトの4団体が集う大会のメインを務めるということに関しては、どのような考えがありますか?

潮崎 4団体が集まったサイバーファイトフェスには、楽しい試合もあれば女子プロレスもあるし、いろいろな試合があるので、プロレスが凝縮された大会だと考えています。自分がプロレスを見始めた頃の全日本のプロレスもいろいろな試合がありました。1試合目で若手の元気のある試合があって、3試合目くらいに永源さんやラッシャーさんたちの楽しい試合があって、いろいろな外国人もいて、最後はすごい試合があって…というのが、俺が見たプロレスでした。そういう意味でも、今回のサイバーファイトフェスは、プロレスの源流のようなものを見せられる大会になると思います。そのなかでNOAHのGHCがメインを任されたということは責任も感じます。NOAHの闘いをしっかり示すことはもちろん、プロレスの面白さ、楽しさを見せられる試合をしたいです。

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