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【ウォール街も大注目】GDPナウについて解説

みなさん、
アメリカ経済の「今」を驚くほど正確に捉える画期的なツールがあるのをご存知でしょうか?


その名もアトランタ連銀GDPナウ(略して、GDPナウ)

このツールを使えば、
リアルタイムでアメリカの経済成長率の予測が可能となります。

実際、自分は金融機関で働いていますが、
アメリカの経済予測のツールの一つとして、このGDPナウを使っていると聞きます。また、日本の某大手自動車メーカーの北米戦略にも活用されていると聞いたこともあります。

この記事では
そんなGDPナウについて分かりやすく解説していきます。

米国株式に投資をしている方、企業の経済予測担当者の方、必見です!




改めて、GDPナウとは?


GDPナウは、
アトランタ連銀が開発した米国のGDP成長率を予測するためのツールです。

通常、GDP成長率を公式に知ることができるのは、数ヶ月先になりますが、GDPナウという名の通り、リアルタイムでの予測が可能になっています。

GDPナウは、公式のGDP推計で使用されるものと同様のデータソースを利用し、新しい経済データが公開されるたびに、アルゴリズムがGDP予測を自動的に更新します。これにより、経済の現状をほぼリアルタイムで把握することが可能になるのです。

ヤフー・ファイナンス、CNBC、ブルームバーグなどの経済ニュースサイトでGDPナウの予測が参照されるなど、非常に注目が集まっているツールです。


GDPナウが注目されている理由


リアルタイム性がありながら、精度が高いことが挙げられます。

つまり、正確ということですね。

その例として、
2023年7ー9月の米国GDPを正確に予測したという事例があります


2023年8月時点で、GDPナウは7-9月のGDP成長率を年率5%と予測しました。
これに対し、ウォール街のエコノミストたちは当初1.8%程度の成長率を予想していました。

その後、追加データが得られるにつれてGDPナウは予測を5.4%に微調整しました。一方、ウォール街も徐々に予測を上方修正し、最終的に4.5%としました。

実際の2023年7-9月のGDP速報値は4.9%となり、GDPナウの予測が非常に的確であったことが示されました。

この事例は、GDPナウの予測精度の高さを示すものです。

サンタンデールUSキャピタル・マーケッツの米国担当チーフエコノミスト、スティーブン・スタンレー氏は、ウォール街が総じて「過度に悲観的」だったのに対し、GDPナウが早い段階から正確な予測を行っていたと指摘しています。

ネーションワイド・ミューチュアル・インシュアランスのチーフエコノミスト、キャシー・ボストジャンシク氏も、「GDPナウは最も優れた予測モデルになった」と評価しています。

このように、GDPナウは複雑な経済状況下でも高い予測精度を維持し、投資家や政策立案者にとって貴重な指標となっていきました。

2011年の推計開始から2022年第2四半期まで、GDPナウと実質GDPの伸び率の平均絶対誤差は0.83ポイントとなっています。


GDPナウの見方


https://www.atlantafed.org/cqer/research/gdpnow

アトランタ連銀のホームページをのぞいてみましょう。
ページの中段に、GDPナウが表示されています。
この記事を書いていた時は、2024年第2四半期(4-6月)のGDPナウでした。

❶はリアルタイムの予測値とその説明


最新予想:2.2% -- 2024年6月28日

GDPNowモデルによる2024年第2四半期の実質GDP成長率は、6月27日の2.7%から6月28日には2.2%に低下した。
今朝の個人所得・支出の発表後、第2四半期の実質個人消費支出と第2四半期の実質民間国内総投資の成長率は、それぞれ2.5%と8.8%から、1.8%と8.7%に低下した。

次回のGDPNow更新は7月1日(月)

❶を翻訳


❷はGDPナウの予測値と民間エコノミストの予測値の推移


緑の線がGDPナウの予測値の推移になります。
第2四半期については、GDPナウの予測値が、民間エコノミストの予測値より高く推移していましたね。


投資家やFXトレーダーにとっての活用方法



  1. セクター別投資:GDPナウの予測が上方修正された場合、景気敏感セクターへの投資を考えます。逆に下方修正された場合は、ディフェンシブセクターへのシフトを検討します。

  2. FXトレード:GDPナウの予測値が上昇すれば、ドル高傾向を予想し、逆の場合はドル安を見込んだトレードを検討できます。

  3. タイミングの把握:重要な経済指標発表後のGDPナウの更新を確認することで、市場の反応を予測し、エントリーやイグジットのタイミングを判断する材料となります。

  4. リスク管理:経済成長の見通しが急激に変化した場合、ポートフォリオのリスク調整を行う判断材料として活用できます。

  5. 他の指標との比較:NY連銀のNowcasting Reportなど、他の経済予測モデルと比較することで、より包括的な分析が可能になります。


注意点とまとめ



GDPナウはあくまで予測モデルであり、完璧ではありません。特に予測期間の初期では誤差が大きくなる可能性があります。
経済ショックや急激な変化には対応が遅れる可能性があります。
また、改訂されることもあるため、単独の指標として扱うのではなく、他の経済指標と併せて総合的に判断することが重要です。

結論 GDPナウは、経済動向をリアルタイムで把握するための強力なツールがその限界を理解し、適切に活用することが求められますね。

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