第九章 再修羅場⑥
安奈を指名して、席へと案内される。
店内にいる皆が、あたしに視線を向けている気がした。
あのギャル達は……。
見当たらない。
「梨紗?!どうしたの?わざわざ来てくれたんだ?」
そう言って馴れ馴れしく声を掛け、隣に座る安奈。
「安奈、元気?」
「あたしは元気よ♪それより!梨紗、ブリリアント辞めちゃったんでしょ?!今はどうしてるの?!ニート?愛人?!」
とっても楽しそうに話を繰り広げる安奈。
安奈は、あたしの顔の傷について触れてはこなかった。
そして、あたしはヘルプの女の子が作ってくれたお酒を……。
安奈の頭にゆっくりとこぼすのだった。
「キャッ!」
「安奈さん!」
ヘルプの女の子がびっくりする。
「何すんのよ!」
安奈が大声を上げた為、皆の注目を一斉に浴びる。
その注目の中。
今度は、あたしは安奈を思いっきり引っぱたいたのだった。
「な……何すんのよ!」
安奈の反撃が始まろうとしていたのだけれども。
マネージャー達に止められる。
あたしは、サングラスを外した。
「安奈、この傷。あんたがこの店の女にやらせたんだね」
言い放った。
マネージャーだか店長だか知らないが、仲裁に立とうとしていたその男が安奈に、
「本当なのか?」
冷静な声で、質問をする。
「し、知らないわよ!どこにそんな証拠があるのよ!」
あたしは、その間も必死になって店内を見渡した。
そして、あのギャルの女どもを見つけたのだ。
「アイツら!アイツら使って、あたしの顔に傷つけた張本人はあんたでしょ!」
ギャル達は、気まずそうに下を向く。
「冗談じゃない!妄想もいい加減にしてよね!梨紗さん、お帰りはあちらです!」
そう言って、あたしを出口へ向かわせようとする安奈。
安奈を外へと連れ出す事に成功した。