立った姿勢で演奏・歌唱する時に考えるべき下半身の影響〜圧力を利用したバランス編〜
立った姿勢のまま楽器を演奏・持った状態で歌う時に、思い通りの声や息を出し続けるためにはその状態を保つための安定(≠固定)した姿勢が必要となります。
立った状態で安定した姿勢を見つけられたとしても、実際には楽器を持ちながら歌唱したり、歌唱時に表現の1つとして身体を動かしたりと常に身体には姿勢を崩すような刺激が生じます。
そのため自分に合った演奏や歌唱方法が分かったとしても、その通りに身体を動かすための(姿勢に対する)安定性が必要になります。
「安定している」という状態を考える時に、1つの考え方として「物体の重さの中心位置(重心)から床面に降ろした投影点(重心投影点)が支持面の中に位置していること」が挙げられます。
人の身体の動きを見て「バランスが良い」と言うのは重心投影点を支持面の中に留める能力が高いことを表した言葉であると個人的には思っています。
例を挙げるとまず、お皿の上にコップを乗せていればコップは下に落ちませんよね。
この時の状態として、コップの重心から真下に向かって降ろした線がお皿の中を通過しているためコップをお皿が下から支えている状態になります。
しかしコップが傾きコップの重心投影点がお皿から出てしまった時、下からの支えがなくなりコップは落ちてしまいます。
このようにまずは物体の重心と支持面の位置関係を考えることが「安定している」状態を考えるにあたって必要な要素となります。
上記は物で例えましたが、人の身体はたくさんの動きが可能であり重心と支持面の位置関係を構成するためには
「どのような方法」で「どの部位」が機能すれば良いのか
を考えていく必要があります。
人の身体のバランスの取り方はいくつかありますが、音楽家の場合は
支持面からの圧力を利用した制御方法
が重要であると考えています。
今回はこのバランスの取り方を紹介しながら、演奏・歌唱時に必要な姿勢の取り方を考えていきます。
立った姿勢では足の裏、座った姿勢では主にお尻が圧力を生み出す部位になります(支持面に接地している部位が床からの圧力を受け止めるため)。
例えば電車に立って乗っている時にブレーキを掛けられた際、その場でしっかりと足を踏み込んでバランスを保つと思います(急なブレーキは足をステップするため、別のバランス制御となります)。
この時に身体は大きく傾くことなく、電車内で立ち続けられると思います。
上記の場面で起きていることとしては、ブレーキをかけられた際に身体の重心(だいたい骨盤の辺りと言われています)が進行方向に移動することを、床からの反力(床反力)を利用して足の裏から抑えているということになります。
足元からの床反力を利用して重心を制御しているため、身体の各部位が大きく動くことなく姿勢を保つことが可能となります(関節や筋肉は活動しています)。
「身体の各部位が大きく動くことなく姿勢を保つことが可能」
である事の最大のメリットは演奏・発声練習で身につけた
「身体を動かしやすい・声を出しやすい状態」にある時の「姿勢」を大きく崩さない
事にあると考えています。
例えば直立不動の姿勢が一番声を出しやすいギターボーカル担当の人がいたとして、支持面からの圧力を利用した制御方法が上手く行えない場合、
ギターの重さによって身体が前に倒れることを、
背中を丸めて上半身の重さを後ろに移動させる
ことでバランスを保つ事になります。
その結果、ギターの重さを支える際に背中は丸まり、その人が一番声を出しやすい姿勢で歌う事は出来なくなってしまいます。
ここまでを通して、立った姿勢のまま楽器を演奏・持った状態で歌う時には「支持面からの圧力を利用した制御方法」をうまく行う事が、自分にとっての演奏・歌唱しやすい姿勢を大きく崩す事なく行える事に繋がると考えています。
今回はここまでのお話となりますが、次回は支持面からの圧力を利用した制御方法を身につけるためのエクササイズを紹介致します。
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