「うちで踊ろう(大晦日)」の話


12月31日大晦日。NHK紅白歌合戦を見ていた。大好きな「うちで踊ろう」に2番がつくられたと聞き、楽しみにしていた。いざ演奏が始まると、わたしはある情景を思い出していた。


2020年の前半。ひとりで暮らす東京1Kの無機質な部屋。ご飯をつくって、洗濯して、お風呂を洗って毎日浸かって、うっすらとした寂しさと苦味にも似た不安を押し殺しながら、"生活"をただひたすら続けた日々のこと。

何でもないふりをして、でも今思えば一生懸命だった。毎日必死に生きることを続けた。当たり前のことだけど、わたしはきっとよく頑張っていた。そのことを思い出したというか、はじめて気が付いたような気持ちになった。

馬鹿で絶望的でうんざりしてしまうような世界だと現実を直視しつつも、「変わろう一緒に」「まだ動く まだ生きている」という言葉に自分でも驚くほど突き動かされた。わたしはまだ動ける。生きている。これから変われる。変えられる。

ひとは生まれながらにして"ひとり"であり、"ばらばら"なものであり、ひとつになることは出来ない。けど重なり合うことはできる、という源さんの思想(*1)が、最大限表現されていると感じた。

決してきれいごとではない。ただ世の中を俯瞰しているだけでもない。源さんも、世界の人々も、皆ばらばらの場所でひとりで戦っている。


生まれながらにして"ひとり"だし死ぬときも"ひとり"。諦めて前に進もう。ひとつになることはできないけど、わたしたちは手を繋げるし、抱き合える。

テレビの向こうから不特定多数に向けて問いかけられる「今何してる?」の言葉に、安心感というべきか、温もりみたいなものをおぼえて救われた、孤独で小さな人間はわたし以外にどれだけいたことだろう。


限りなく身近で、限りなく力強い言葉と、変わらずワクワクするサウンドに、おおいに励まされた。
新しい一年に何ひとつ希望なんて無かったけれど、少なくとも今夜は穏やかに眠れそうだ。

*1 「星野源が自宅から語る、「うちで踊ろう」の真意とこれからの過ごし方 」- Rolling Stone JAPAN (https://rollingstonejapan.com/articles/detail/33652)

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