大学受験全落ち→上京(1浪)→合格 までの記憶

2011年3月 その地震が起きた時、わたしは予備校にいた。大学受験「全落ち」という切ない結果を携えて。

小学生でぼんやりと描いていた夢は、中学生のころには「東京の美術大学に行く」という目標になっていた。学校の勉強はそこまで得意じゃなかったし、例に漏れず田舎の人間関係や娯楽のなさが息苦しく早く地元から出たかった

ありがたいことに家族は東京で1年浪人することを許してくれた。
しかしそんな矢先に地震が起きた。東日本に含まれる地元も揺れ、テレビから流れる映像にショックを受け続けた。

でも、やっぱり、いま東京に行きたい。
家族とも話し、上京を決行。家族みんなが車に乗り東京まで送ってくれた。

勘で決めた予備校だったがとても充実した1年だった。美術大学受験をするという同じ目標を持ち、音楽や美術、当時でいうサブカルな話を同じ温度感で話せる友人ができたからだ。昼休みにトランプをしたり、息抜きに都内の美術館に出かけたり、雑誌に載っているようなおしゃれな街を散歩することも楽しみだった。つらくても、友人が当たり前に頑張っているのを見るとやらなくてはと思った。大学生になってからも、今でも仲がいい。
もしここで友人ができてなかったら全く別の人生だったと思う。

一方でたくさん泣いた。予備校でも、通学途中でも、家でも。
上京までして浪人させてもらっているのに落ちたらどうしようという不安と、電車のサイネージから流れる震災のニュースの怖さで訳も分からず泣いていた時期もあった。いまでも落ちていたらどうなっていたんだろうと思う。

結果から言えば、あのとき上京して本当に良かった。決断は新しい世界を見せてくれる。楽しい物事に触れて、それを同じ温度感で共有できる友人に出会え、こんなに楽しい世界があると知ることができた。

大げさかもしれないが、18歳まで静かに絶望し続けていた自分の人生を上向きにし、延命してくれた。

東京は楽しい。上京して何年も経つけど、今でもその気持ちは変わらない。


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震災の表現、消すかどうか迷っている(19.12.5)



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