心身ともに丸くなってしまった
半年で20キロ太った。なんか体重増えてるけど何が原因だ、と探っている間に20キロまでいっていた。原因は飲んでいる精神薬の中のたった一粒だった。太る薬は出さないでくださいと医者には頼んであるのだけれど、副作用の体重増加人口が5%の薬の、その5%に入ってしまったらしい。
衝撃だったのは、ジムで毎日筋トレしようが毎日1万歩以上歩こうが体重増加が止まらなかったことだ。努力が報われないどころか全然マイナスに進んでいくので正直かなりしんどかった。
そして自分がいかに普段異性からの視線を意識して生きていたかが顕著にわかった。すすきのに出てナンパも風俗のスカウトも来ないと自分に市場価値がない気がして落ち込む。電車で若い男性の隣に座るのが怖くなる。しばらく会っていない異性の友達に会いたくなくなる。我ながらしょうもないが、見た目は大事だ。
1ヶ月ほどの体調爆不良に見舞われながらもなんとかその薬を止めたのが先月。突然ジムに行く度に体重が減る体になった。やっと努力が報われた気がして、癖になってめちゃくちゃ運動する日々を送っている。
ところで、仕事を辞めた。理由は会社の方針について気の合う上司が全員辞めて、その上司たちと私を信用してくれている子供たちがしっちゃかめっちゃかになる中、馬力300%で働き続けていたら脳がぶっ壊れたからだ。
ある朝会社に行くJRの乗り換えで、飛び降りなどではなく単純に「階段降りて向こうのホームに行くより線路を通ったほうが近いから」という理由でホームに降りようとしていた所を捕まって、こりゃもうダメだわと思って辞めた。子供たちを捨てたような気分になって、なんとか続ける手はないか考えたけれど、結局自分の命優先でいってみることにした。辞めた後、仲良くしてくれていたパートさんに子供たちの様子を聞いたら、案外元気にやっているらしい。私にしか相談しない!とか私の言う事しか聞かない!と頑として譲らない子が何人かいたので本当に気がかりだったけれど、なんかいなくなったらなったで人って自分でなんとかするんだな〜とか思って、安堵と共に若干の寂しさがあった。子供たちにとってプチ親離れ体験みたいなものにでもなれていればいいなと思ったりもする。欲張りすぎだろうか。
仕事を辞めた私は1週間に数回ランダムで寝込むイベントが発生して再就職どころではなくなったので、とりあえず「作家」という怪しい役名で編み物やらレジンやらの作品を作ってはお店に売り込んだり展示したりイベントに出たりしている。しているが、それだけでは収入が不安定すぎる上人間との関わりがかなり減るので、「就労支援」されることになった。前職が就労支援事業所のスタッフだった自分が支援される側に転身。ネタにしているけれど、困った顔で大変だったねとか言われたりもする。別に何も大変ではない。
支援される側に回って感じたのは、いきなり周りの目が「配慮しなければいけない相手」に変わったことだった。元々奇行寄言動多めの私がちょっとでも怪しい動きを見せると即「ビョーキの症状」扱いされる。まあビョーキなのは事実だし支援される側に身を置く選択を取ってしまったので自然なことではあるが、どうも居心地が悪い。周りの「ビョーキレーダー」をかいくぐりながら過ごしている間に、随分自分がつまらない人間になってしまったと思う。猫かぶりは得意だったけれど、ここまで猫かぶりまくることは過去になかったので猫が本体を侵食し始めている。はたから見たら性格が丸くなったように思われるかもしれないけれど、特に性格の丸さは自分に求めておらず、むしろ尖って生きていきたいと思っている身としては、なにかに置いていかれている気がしている。結局映画や音楽や絵や本など、狂気を接種して狂気値を密かにチャージしている。
だから行きつけの喫茶店でブログを書いている今、私が座った時点で頼むものが決まっていることとドリンク食前なことを知っている店員さんがぶっきらぼうにいつもの客として取り扱ってくれることをめちゃくちゃ嬉しく思う。
こうして見事心身ともに丸くなってしまった私は、刺激の少ない平穏無事なビョーキライフを送っている。せめて作品だけは尖っていたいのだけれど、お店の依頼とかに応えているとそのへんもおぼつかなくなってきたので、そこだけはなんとしても内なる尖りを無くしてはいけないと闘志を燃やしている。
週数回の寝込みイベント以外は元気なので編み物講師の資格を取ってみたりした。この資格をどう使うかは未定だけれど、とりあえずしばらくはぶっ倒れずにお金を貰うためにビョーキレーダーをかわしながらお店や就労支援所で依頼された編み物をひたすら作る日々を送る予定だ。作家活動もう少し増やせるといいなぁ。
なんにせよ丸くなった体をシャープにしないとどうにも心もぷよぷよしてしまうので、毎日のジムに命を賭ける毎日だ。来年には脳筋になっているかもしれない。