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世界消失日記16〜演劇、その可能性〜
「演劇」という言葉が演劇界隈の外で発される時に、人々の食いつきは非常に悪い。というか結構めんどくさい単語としてあるらしい。まるでタピオカ以降のナタデココである。たぶん言葉から受ける印象が刷新されないままで、今に至るのだと思う。僕が演劇をそのように思っていたからわかる。ある意味で演劇は、映画やその他のカルチャーの下位互換のようにも思われている。それはイメージの問題として。演劇の本を書いてた人が、小説家になったり、映画やテレビドラマの脚本家になったりする。でも実は、イーブイの方が愛おしい。人生の感動はそっちの方にある。世間はそれを見逃してしまうが、世間ではない人生であればそれを見逃してはいけない。
真面目に言うと、文学が記述の語りを変えることで伸び代を伸ばすようなことが、現在では映画よりも演劇の方で出来そうなのである。それに日本映画が失ってしまったものの全部が演劇にはある。深作欣二がバトル・ロワイアルで中学生たちに教え込んでいたのは演劇である。あるいは最後の仕事であるクロックタワー3のメイキングで、もっと演劇みたいにしてほしいとオーダーを出し続ける姿を観てほしい。今の時代から大島渚、若松孝二、今村昌平の映画を観れば、ここには何か演劇のように見えるものがある。それから黒澤明の蜘蛛の巣城に出てくる老女、乱に出てくる狂言回し、あれは演劇ではなかったか。どですかでん、では全体が演劇の中にあると言っていい。初期の押井守の実写作品はどこを切っても演劇である。大林宣彦の書き割り背景に、吉田喜重の止まったままカメラに向かって言う長台詞など、これらのことが演劇と全くの無関係であると言えるだろうか。まさかここに来て、僕の言い続けている失われた映画と演劇が邂逅するとは思わなかった。
だから演劇に内在している可能性は、焼け野原となった現代の日本に、SNS時代に、かなりフィットするように思える。これは僕の語りの手法がずっとやりたかったことで、形式ではなく可能性があるものをやりたいのである。忘却を基底とした感動ではなく、形式を突破した瞬間の可能性こそが重要である。音楽でいえば、それがロックだったはずだ。実際この2〜3年の間で僕が一番感動したものは、映画でもミュージックビデオでもなくて、劇団コンプソンズの「Watch The Watchmen(we put on masks)」が小道具代だけでいえばたぶん十万円も掛からずにデヴィッド・リンチの映画と同じことが出来てしまっていることであり、最も印象に残り続けている光景は盛夏火の団地演劇「ウィッチ・キャスティング」で水中ゴーグルを付けた魔女がベランダから室内に飛び込んで畳の上をクロールする場面である。これらは日本中に周知されることで死んでしまった壁ドンではない。目の奥で輝いて生き続ける本当の感動は、そうではないもっと他のところにある。初めてロックンロールに気付いた時や、初めてゴダールの映画を観た時の衝撃を感じられる可能性が、演劇には残されている。幸か不幸か、ここにはまだ世間が知った気になっている正解がない。でも演劇界隈が芳しくないせいで、通常にあって収益がキツい。
何万も出せばうまいものが食えるって、それはそれで人生をわかっちゃいない。人生に感動することと、感動の行列に並んで人生を終えることは異なっている。これは人生に必要な感動であり、世間の感動とは異なるこのような感動を知らない限り、精神が深い所では空転し続ける。
なんと2024年の日本において演劇は下位互換ではなく、可能性としては上位互換である。リアルの文化資本は如実に、人間界のクライマックスを救い続ける。デパートの屋上のゲームコーナー、巨大アドバルーン、箱取説無しで吊り下げられているゲームのカセット、路地裏の色褪せたポスター。そんなことは文化と人間の出会いにおいては当然のことであった。それとも当たり前が、当たり前じゃなくなっているということなのか。そしたら人類は滅亡だ。そんなことよりクレープ食べに行こうぜ、第三次世界大戦を止めるために。
夏は流しそうめん、冬はたこ焼きではなく、たこ焼き器。何を持ってしても満たされないあなたの人生が必要としているのは、もしかしたら一枚のジャンボシールダスである。フィクションの果てに戦争は現実だった。どこまでも天国は遠く、地獄はこの目の前にある。宇宙から深海までのLOVE。僕がホワイトボードに書いた愛の方程式が、この『世界消失倶楽部』である。
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演劇公演『世界消失倶楽部』
公演日:2025年1月25日(土)、26日(日)
両日ともに、昼・夜の2回公演!
チケット料金:昼公演・2500円
夜公演・3500円(夜公演はイベント付き!)
昼公演:開場13時30分・開演14時
夜公演:開場17時30分・開演18時
劇場:上野小劇場(JR上野駅 徒歩5分)
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今回から日記を数日ごとの更新にします。案の定、書き直し続けてしまって文章が終わりません...。
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