2021年に突入してるけど2020年最後の日の話をする

年末年始は全くといっていいほどテレビを観ない私だが、新聞のテレビ欄に「ムトゥ 踊るマハラジャ」が載っていて、これは観なければならないと思った。
2年前、この映画を近所の映画館でやっていて、当時仲の良かった人と観に行く約束をしていたのだが、当日相手がひどい風邪を引いてしまい、結局観られなかったのだ。

その頃、ちょうど別の友人とメールのやり取りをしていて、「今度『ムトゥ 踊るマハラジャ』を観に行く」ということを送った。
彼女からのメールには、自分も昔映画館で観たことがあるということに加えて、「出てくる男は不細工で女は美人、みんなで歌って踊って最後は心温まるいい映画です。楽しんできてね」というようなことが書かれていた。
それから2年、やっと観ることができた。彼女の言うとおりの素敵な映画だった。

そのことを伝えようとしても、もう彼女には伝わらない。
彼女は今年の初めに亡くなった。
あけましておめでとうの言葉も、もう届かない。

「ムトゥ 踊るマハラジャ」についての彼女のメールは、もっと辛辣で面白くて、でもこの映画に対する愛に溢れていたと思う。
メールの履歴を振り返ってみればいいのだが、私はまだ悲しくて、彼女が亡くなって以来、彼女と送りあった膨大なメールを一度も読み返すことができていない。

日常の忙しさで悲しみに蓋をして、彼女のことをゆっくり考える時間はこのところほとんど無かった。
楽しい映画のはずなのに、温かさと同時に少し泣きたいような気持ちになった。

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