【不定期通信】ポテトのMOTHER。②マジカント接触篇
マジカントの契り
曾祖父の日記を携えた先に待っていた不思議の国、マジカントでの体験は驚きの連続だった。
「みんなあなたを好き」と慰められたり、自分の心の中にあるジウワリソバを味わったり……(でも、やっぱりママの味とはちがうんだろうな)。
中でも「わすれられたおとこ」に同情を寄せた瞬間に、
「お前を待ってる女の子の所へ帰れ!!」
と言われた時、ハッとした。
行きずりで知り合った女の子と何げなく交わした忘れじの契りが、人と人とを結びつける縁になっていたことに、常に何かを奪うことでしか(この場合「ゆうじょうのゆびわ」という効果の無いアイテム)愛情を表現できない自分は気がついていなかったからだ。
プレイヤーである僕はいつか彼女を忘れるかもしれないけれど、ポテトには忘れてほしくなかったので、この「ゆうじょうのゆびわ」は最後まで彼のアイテム欄から外さなかった。
その他いつでもどこでもマジカントに飛べる「めのうのつりばり」を入手し、ここの持ち物預かりや回復ポイントが便利だったのでことあるごとにお世話になっていたのだが、そのたびに彼女に会いに行き、全滅したフライングマンの墓をチェックして黙祷を捧げるのが習慣になった。
広がっていく冒険
マジカントから出てきたところをPKビームγで貫かれた因縁の敵、バーボット。
そのPKビームγとは、なんと単体即死攻撃。
じゃあ、まだ使わないだろうと高を括ってフランクリンバッヂを妹に預けたまま動物園でスターマンのむすこと殴り合ったのは、たまたま運が良かったのか……(あの時は敵がPKビームαの連発でPP切れになっていた記憶)。
後々ちょっとばかりレベル稼ぎをするとすぐ攻撃が通るようになってそんなに怖い敵でもなくなったが、もうバッヂは手放せなくなった。
この頃になると攻略サイトのチャートを見る必要もほとんどないくらい自力で進めることができたので「単独でダンカン工場からペンシルロケットを持ってきてオニオン(ロイド)に見せる」という本来のストーリー進行的に無茶なこともした。
冒険は順調。メロディ集めも上々。そして刻々と運命の瞬間が近づいていた。
(了)