【七峰】庵野監督新作アニメへの恍惚と不安
【日報】2024/10/07付
僕はいつかその日が来るだろうと思っていたので「待ってたぜ(@『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』)」という感じなのだが、シン・ゴジラ以降やや食傷気味かつ独自色の強い作家性に賛否が真っ二つに分かれる『シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバース』に宇宙戦艦ヤマトも加わるのだろうか。
「シン・」という接頭語がまずかっこいいし、「過去作を一度なかったことにする」といったような意味合いが見て取れると確か岡田斗司夫が言っていたような気がするが、『シン・ゴジラ』『シン・ウルトラマン』『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』『シン・仮面ライダー』が出揃った今にして思うのは「シン・」とは「おたくの」という意味なのだということ。
つまり『おたくのゴジラ』『おたくのウルトラマン』『おたくのエヴァンゲリオン』『おたくの仮面ライダー』ということだ。
あえて「オタク」でも「ヲタク」でもないのは、このカタカナ語二つが2000年代以降のカルチャーに染まりきっているからだが、それはさておく。
つまり偉大な先人たちの築いてきた作品を、おたくが再演するという試み。
トップバッターの矢口蘭堂はあまりそのケがなかったが、碇シンジは数多のおたく少年たちに共感された(あるいは嫉妬された)キャラクターだし、神永新二=リピアーや本郷猛のパーソナリティには異性に対しては従順な犬のようでありつつも「わからないものをわかりたい」とする強い意志があった。
そこで予想される『シン・宇宙戦艦ヤマト(仮称)』は、もう一度西暦2199年をやり直し、ガミラスとイスカンダルという異星種族を「わからないけれどわかりたい」とするおたく愛の物語になるのではないか。
また、かつてエヴァンゲリオンで幾重にもコーティングされていた「オマージュ」のオブラートが『S.J.H.U.』にて解き明かされてきたように、『シン・ヤマト』を見ることで『トップをねらえ!』の艦橋や『エヴァンゲリオン』の発令所で起こる庵野ドラマのメカニズムが明らかになるのかもしれない。
いったい公開までまた何年かかるのか定かではないが、今年の『シン・仮面ライダー』BD特典映像づくりで憑き物が取れたみたい(あるいは観る方はもっと呪縛されるのかもしれないが)な雰囲気もあり、今後も庵野監督の動向には注目していきたい。
(了)
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