Uber Eatsの「Eatsパス」は本当にイケてるサービスなのか

(以下の記事は、日経COMEMOの「毎日UberEats有りですか」に寄稿したものです。Uber Eatsを毎日利用する場合の、金銭的な側面から考察しています。)

Uber Eatsは手数料が高い?

みなさん、大雨や台風の日に限って、マクドナルドのビッグマックセット(ポテトLサイズ)が食べたくなりますね。外出するのも面倒なので、ここはUber Eatsに配達してもらうことにしましょう。

ビッグマックセット(ポテトLサイズ+50円)のデリバリー価格は800円、これにUberの配達料が加算されて、支払総額はだいたい1100~1200円になりますが、今日は雨なので配達料が割増された結果、料金は合計1300円となりました。ちなみに、自分の足でマクドナルドに行って同じメニューを購入した場合、店内セット料金は650円なので、Uber Eatsを利用することで600円ほど料金が上乗せされている計算になります。1人前の料理の場合、支払総額の40%以上が手数料として取らてしまうことになり、割高感が否めません。

Eatsパスを利用すれば、配達手数料が0になる!

2020年10月現在、Uber Eatsはサブスクリプション制度を提供しています。この「Eatsパス」を利用すると、月額980円のサブスクリプション料金を支払うことで配達手数料が0円になります。

ただし、この仕組みが適応されるのは、1回の注文につき代金が1200円を超える場合のみ、という制限が付いています。代金が1200円未満の場合、通常通りの手数料がかかってしまうため、このサブスクリプション制度を利用するためには普段よりも多く注文する必要性が生じます。マクドナルドの場合、ビッグマックセットを2人前食べるはめになり、これはもはやスーパーサイズミー状態です。

このEatsパス制度をうまく活用すれば、手数料の大幅な減額が望めるので、「毎日Uber Eats生活」の実現も夢ではなくなるでしょう。通常時のUber Eats手数料がだいたい300円程度なので、単純計算すると1200円以上の料理を月4回注文すればサブスクリプション料金980円の元が取れる計算となります。

注意すべき点として、一般的にデリバリーメニューの料金と、店内用メニューの料金は異なることが多いです。先ほどのビッグマックの例でいうと、デリバリーメニューは店内メニューと比較して150円ほど高くなります。この差額(デリバリーメニュー増額分)は、Uber Eatsを利用する際には必ず発生するコストであり、Eatsパスの利用に関わらず回収できないコストとなります(いわゆる埋没コスト)。

Eatsパスは単身者向けではない?

Eatsパスを利用すれば「毎日Uber Eats生活」の実現も現実味を帯びるわけですが、では「1回の注文が料金1200円以上」という条件をクリアするにはどうすれば良いのでしょうか?

上の疑問に対する一番簡単な答えは、「複数人で利用する」というものだと思います。例えば、一般家庭や、友人や恋人と同棲している層であれば、1人あたりの最低注文料金が600円以下となり、一般的な金額水準となります。

ちなみに、ホットペッパーグルメ外食総研が2019年に行った調査によると、「普段の夕食」にかける支出の平均額は600円台であるという結果が得られています(参照:https://www.recruit-lifestyle.co.jp/news/pressrelease/gourmet/nw27441_20190221)。

この結果からも、Uber Eatsを日常的に利用するためには「1人当たり600円相当の注文を複数人で行い、支払の際にはEatsパスを利用する」というのが妥当なように思います。

しかし、データマーケティングマガジン「マナミナ」が2020年7月に行った調査では、Uber Eatsの利用者の過半数が「子供のいない家庭」の「20代」となっています(参照:https://manamina.valuesccg.com/articles/934)。また、Uber宅配員の方のブログ等をみてみると、利用者の過半数は「単身者」であるようです(参照:https://kokechan2017.com/ubereats4/)。

レストランが「つくりおき食」を提供するようになれば解決?

単身者が「1回の注文が料金1200円以上」という条件をクリアする第2の解決策は、「1度に2食分を注文し、1食分は保存する」というものです。つまり、1食分は「つくりおき食」となります。

以前ドミノピザが、「ピザ1枚注文すると、もう1枚無料」というキャンペーンを行ったことがあります。当時一人暮らしだった私は、Lサイズのピザを2枚注文し、4日間かけて2枚のピザを消費したことがあります。この時はピザを冷凍保存し、必要分だけを解凍するという手法をとりました。

Uber Eatsでつくりおき食を配達するとはどういうことでしょうか?例えば、Uber Eatsの提携レストランが「当日の夕食と、翌日の朝食/昼食」のセットを1200円程度で販売するというのはどうでしょうか?1度の配達で2食分を注文することで配達コストが抑えられるだけでなく、単身者がEatsパスを利用できるようになります。

まとめ

Uber Eatsの配達手数料は高く、毎日利用すると手数料だけで月に数万円かかる計算となります。Uber Eatsの主要利用層である単身者がUber Eatsを経済的に利用するためには、Eatsパス制度をうまく活用するしかありません。

また、Uber提携レストランも単身者に向けた「2食分のつくりおき弁当」を提供できるようになれば、単身者がよりEatsパス制度を手軽に利用できるのではないかと考えました。

一昔前は外食といえば塩分過多で不健康なイメージがありましたが、現在は健康志向のレストランがかなり増えており、それらのメニューをUber Eatsで注文することも容易になりました。よって、365日すべてを外食で済ませることによる健康リスクへの影響はある程度抑えられているはずです。

ところで、ギグエコノミーが発達した分野では、生産者と消費者の境目が曖昧になり、全員がプロシューマー(生産者かつ消費者)となる、という傾向があります。将来的には、フードデリバリー業界でもそのような動きが見られると面白いのではないかなとも思います。料理をしようとしている主婦/主夫の元に「もう1人前余分に作って」という注文が届き、できあがった料理を近所の人に届けにいく、という想像ができそうです。

#日経COMEMO #毎日UberEats有りですか