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「消滅可能性自治体」の明るい未来をSFプロトタイプする



町の未来をSFプロトタイピングするプロジェクト爆誕

北海道上川町役場とデザイン会社グッドパッチは、2050年の暮らしを手触り感のある形で上川町で暮らす方々と描き、そこから現在を思考するNo Limitsプロジェクトを開始します🎉
このアカウントは、 No Limitsプロジェクトの公式アカウントとして、 他の自治体も含めさまざまな方々に参考にしていただくため、さらには町内の方々も含め興味を持っていただければ参加いただくため、プロジェクトのプロセスや思考、生まれたものを共有します。

少しでも興味を持っていただければ、気軽にご連絡いただければと思っています✨!
「全部は関われなくても、ちょっとだけ関わりたいな」、「どういうことかいまいちわからないけど、興味がある気がするな」という方はぜひ、お気軽にX(Twitter)のDMよりご連絡ください✉️!!


1. 何をしようとしているプロジェクトなのか

本プロジェクトでは、2050年の暮らしをSFプロトタイプという手法を使い、上川町で暮らす方々と一緒に描いていこうとしています。

次回の投稿で詳しいプロセス予定も投稿しようと思うのですが、未来の兆しをみんなで集め、そこから考えられる未来社会仮説をつくること。それらをもとに、小説を書くことを通して、未来を描き、さらにはみんなで描いた未来に登場するツールをつくる「デザイン・フィクション」の取り組みもやっていければと思っています。

聞き慣れない言葉を並べてしまったのですが、短くまとめてみると「小説を書くことを通して、未来の明るい暮らしを具体的に考えられるようにしよう」ということかなと思っています。

さらに、具体的に考えられるようになった未来の暮らしをもとに、「じゃあ今は何をしたらよいのかな」と考えていければと思っています。

2. このプロジェクトが目指すゴール(短期的)

改めて、ゴールを言葉にしてみると、(その後も取り組みは続いていくだろうと思いながら)2025年3月のプロジェクトの着地地点で目指す状態は、「役場職員を含む町民の想いが反映された上で2050年の上川町のありたい姿がアウトプットされている」ことです。

さらには、
•役場職員に未来のありたい姿が浸透している状態であり、来年度以降の施策検討に活かせる状態
•現在役場で取り組もうとしているデジタル施策とも接続できている状態
•上川町に未来を想像するマインドセットが醸成されている状態
を目指したいと思っています。

特に3つ目の「上川町に未来を想像するマインドセットが醸成されている状態」については、「上川町の未来ってワクワクするかも」とか、あるいは町の単位にならなくとも、「自分の暮らしの未来にワクワクするかも」と思う人が増えたら良いなと思っています。

この思いは、上川町の方々にお話を伺うなかで、強くなった思いです。
町の方に、暮らす中でどのように感じておられるか話を聞かせていただいたところ、下記のような声がありました。

マルシェさんも売上なくなってパッとなくなるかもしれない。
今はいいけど、もう一軒のスーパーもなくなったから

マルシェさんというのは、町に一軒あるスーパーマーケットです。
実は以前、上川町にはもう一軒スーパーマーケットがあったのですが、営業をやめたという経緯があります。
そういう状況で、ライフラインであるお店が減っていくことが怖いという気持ちを持っておられました。

若い人が増えたら良いなと思うけど、働くところがないから旭川にいってしまう。子供に帰っておいでっていえない

自分の子供に「良い町だから帰っておいで」と言えない状態はとても寂しいと感じました😭

町の方の中で、未来の暮らしに希望を持てなくなっている方がいること。
現在のこの状態から、「上川町の未来ってワクワクするかも」とか、あるいは町の単位にならなくとも、「自分の暮らしの未来にワクワクするかも」と思う人が増えた状態になればと思っています😀

今回の取り組みは「小説を書くことを通して、未来の明るい暮らしを具体的に考えられるようにしよう」ということだと前述しましたが、この「明るい」というところにもこだわりたいなと思っています。
SF的想像力の先にはディストピアが浮かび上がることもあり、それを機能として活用することもありますが、今回は未来の暮らしへの希望に向け、あえて明るい未来を描くことを前提としたいと思っています。


3. ところで「消滅可能性自治体」って?

今回のタイトルには、「消滅可能性自治体」という言葉を入れました。
北海道上川町は、2014年に日本創成会議によって示された「消滅可能性都市」のリストにも入っており、2024年に人口戦略会議によって示された「消滅可能性自治体」のリストにも入れられています。

この「消滅可能性自治体」という概念に、実は違和感を覚えており、あえてタイトルに入れました

「消滅可能性自治体」は、20~39歳の女性の人口が2020年から50年までに50%以上減少する自治体と定義されているそうです。

この概念に対し、「人口が減ったら自治体が成り立たなくなるという考え自体が、思い込みなのではないか?」とか「自治体さえ維持できたら良いんだっけ?そこでの生活の満足度とか、暮らしの豊かさとか関係ないんだっけ?」といった疑問も湧いてきますが、SF的な観点で考えてみると、どんな観点・思考、そして問いが生まれるでしょうか🤔

例えば、SF作家柴田勝家さんによる短篇集アメリカン・ブッダ。表題作の舞台は、国民の多くが現実世界を見放した近未来のアメリカです。ネタバレはしたくないので詳しい内容は記載しませんが、例えば「『物理的に住む場所』と『自分自身が体験する世界』が切り離されたら、所属意識はどこにいくことになるんだろうか」「そういった場合に、地域を分けて比較することに意味はあるんだろうか。『住む場所』に何を求めるんだろうか」といった問いを与えてくれます。

(下記のリンクからアメリカン・ブッダの冒頭1万字が読めます!)

また、「消滅可能性自治体」という概念への違和感には、女性を「産む道具」のように捉えさせる可能性への懸念もあるかもしれません💦

例えば、マーガレット・アトウッドの小説を映像化した『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』。

環境汚染で不妊率が増え、子供の出生率は著しく下がり、乳幼児死亡率も高いことで、世界中が少子化に苦しんでいる近未来社会が舞台です。その世界では子供を産むことができる健康な女性は、「産むための道具」として富裕層に仕えることが定められています。

この作品が、伝えたい本質は、必ずしも女性を「産む道具」と捉えることへの問題提起だけではないと感じますが、作品を通して子供を産むことも含め、人生における選択を自由に行う権利についての観点や思考を与えてくれます。

SF的に思考することは、新たな観点・思考、そして問いを生むことになると感じています。

4. 「No Limits」という名前に込めた想い

プロジェクト名は「No Limits」です。
「No Limit」ではなく、「No Limits」とsをつけたところにもこだわりがあります。「No Limit」だと「限界はない」という意味であり、「No Limits」の場合は複数の制約や限界がないことを示しており「無限の可能性が広がっている」ということを示しています。
今回のプロジェクトでは、固定の未来像を1つ描くということを目指したくはないと考えています。
無数に広がる未来があり、その無限の可能性を信じて未来を描いていきたいという思いを込め「No Limits」という名前をつけました。
まだロゴの作成などが間に合っていないのですが、作成できればと思っています。


5. どんなメンバーでやるのか

プロジェクト開始時のメンバーとしては、役場メンバー・Goodpatchメンバーに加え、町の方々から3名にメンバーとして参加いただく予定です!
さらに役場若手1名にも参加頂ければと思っています。

ただ、このメンバーだけではなく、町の方々やさらに上川町に住んではおられない方でも興味を持ってくださった方がいたならいつでも参加していただきたいと思っています。

「参加したいな」というところまではいかなくとも、今回の投稿への感想等をいただけると喜びます!


上川町とGoodpatchのご紹介

上川町のご紹介
上川町は北海道のほぼ中央部に位置し、町の半分は大雪山国立公園の中にあります。まちばと呼ばれる駅前エリアから車で30分ほど行くと層雲峡という温泉街もあります!人口は約3200人。歩いていると、知り合いに会えて手を振りあえたり、町のお店の方々とも友達になれるようなそんな距離感の町です。
「新しい働き方」をテーマとした移住施策「カミカワークプロジェクト」や、都市部の民間企業をはじめとする越境型官民共創の取組みを盛んに行っています。例えば、株式会社コロンビアスポーツウェアジャパンとの取り組みではコンセプトショップとカフェスペース「Black Mountain Coffee by Columbia」があったり、NewsPicks Creationsとは共創コミュニティ「KAMIKAWA GX LAB」をつくっていたりと、旅行者だけではなく、若者や企業などを外から積極的に呼び込み、さまざまなチャレンジを続けています。


Goodpatchのご紹介
Goodpatchはビジネス課題をデザインで解決するデザインカンパニーです。「ハートを揺さぶるデザインで世界を前進させる」というビジョンのもと、新規事業立ち上げ、プロダクトのUI/UX改善など、戦略策定~グロースフェーズまで一気通貫で手がけます。
総務省の地域活性化起業人制度を活用して2022年度より上川町との取り組みを始めており、社員1名が上川町に移住しています。また、2023年には上川町と、デザインによるまちづくりと地域課題解決に向けた未来共創パートナーシップ協定を締結しました。


上川町xGoodpatchの取り組み例

上川町とGoodpatchによりさまざまな取り組みが生まれています。

  • 丸井グループの若手社員を対象とした、上川町に4泊5日滞在し町のリーダーとの対話で気づきを得る人材育成研修

  • 渋谷にあるGoodpatchオフィスでの上川高校生向けデザインワークショップ

  • ふるさと納税で人気のはちみつの魅力を引き出すパッケージデザイン


No Limitsプロジェクト以外にも、今後もさまざまな取り組みに一緒に実施していきたいと思っています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました✨

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