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「デジタルで繋がる地域の輪 〜Amanowa DAOで描く未利用魚の新しいカタチ〜【No Fish No Life活動日誌 vol.13】

こんにちは!
未利用魚加工事業「No Fish No Life」です。私たちは「使われないをなくす。〜自分たちで獲った資源への責任を持つ〜」というビジョンを掲げて未利用魚の加工事業に取り組んでおります。

今回は、時化の海での漁から始まり、新商品開発の試み、そして新たな挑戦となるAmanowa DAOの活用まで、私たちの活動の新しいステージについてご報告させていただきます。特に、デジタルの力を活用して地域を超えた共創を実現する可能性について、皆様にお伝えできればと思います。

楽しんでお読みいただければ幸いです!


①海が時化の中での仕入れ

今週は天候が良くなく、ずっと海も荒れている状態だったので、仕入れ予定日の前日の段階で「海がしける可能性が高いため明日漁に出られるか分からない」との連絡が漁師さんから入りました。
実際には、早朝に漁に出られたとの報告があり、仕入れをすることができましたが、改めて、自然と共にあるお仕事だからこそ、天候や海の状況によって予定通りに進まないことも多いのだと感じています。

漁の繁忙期でないタイミングに加工を始めたことで、こうした内情を知る機会ができたのは大きな学びでした。加工がまだ思うように進んでいない状況ではありますが、初めの段階でこうしたことを知れたのは、今後につながる良い経験だと感じています。

仕入れを終えた後は、いつも通り加工場に移動して作業を開始しました。

▪️今回仕入れた魚
・ムロアジ
・ウマズラハギ

②魚種ごとのメニュー開発

・ムロアジ

仕入れをしたムロアジ

このムロアジは、大量に漁獲される時期には価格が下落しやすく、また内出血が起きやすいことから見た目が悪くなりがちという理由で、未利用魚として扱われることが多いそうです。

実際に捌いてみると多くのムロアジが内出血していました。
味への影響については、内出血があっても、適切に血合い部分を取り除けば味に問題はないとのことなので、血合い部分を丁寧に取り除き調理を開始していきました。
むしろ血合いが多い部分はムロアジ特有の旨味が強く料理に向いているとのことだったので、これらのことを踏まえて下記のように試作をしていきました。

試作の計画表 ムロアジ
ムロアジの香草揚げ

香ばしいハーブの香りと、ムロアジの旨味が見事に調和した一品に仕上がりました。特に、ムロアジ特有の身の締まり具合が香草揚げとの相性が抜群で、揚げ加減も絶妙な仕上がりとなりました。子どもから大人まで楽しめる味わいに仕上がり、ご家庭での夕食のメインディッシュとして最適な一品となりました。

・ウマズラハギ

ウマズラハギ
試作の計画表 ウマズラハギ
ウマズラハギの香草揚げ
海を背景に撮影

薄い身でありながらも、ウマズラハギ特有の上品な旨味を存分に引き出すことができました。ハーブの風味が繊細な白身魚の味わいを邪魔することなく、むしろ引き立て役となっている点が特徴的です。揚げ物が苦手な方でも食べやすい軽い食感に仕上がり、家庭の食卓に彩りを添える一品となりました。

③香草揚げのハーブについて

アンバサダーの方から数種類のハーブをご提供いただきました。バジルやタイムなどのハーブをブレンドすることで、魚の風味を大切にしながら、爽やかな香りを付加することができました。これらのハーブと魚の組み合わせにより、子どもたちにも親しみやすい商品開発が可能になりました。特に、魚の風味とハーブの香りのバランスについては、アンバサダーの方々からも高評価をいただき、家庭向け商品としての手応えを感じています。

④アンバサダー三島さん、廣江さんとの試食会

海士町アンバサダーである株式会社テクノプロジェクトの三島さんと廣江さんをシェアハウスに迎え入れ、先日作ってみた自分たちの商品の試食会を行いました。

試食会の様子

試食会では、以下の3品を試食していただきました!

①アジフライ
②ソウダガツオの竜田揚げ
③カワハギの肝じょうゆ漬け

三島さんからは以下のような感想をいただきました。

「どの料理もお店で提供されても申し分のない味や品質だと思いました。アジフライやソウダガツオの竜田揚げも、魚の肉質をしっかり感じられ、揚げ具合も最高でした!個人的には醤油とマヨネーズが好きなので、次回は持参したいと思います(笑)。特に、カワハギの肝しょうゆ漬けはお気に入りで、お酒にもご飯にも合う一品です。未利用魚と聞くと、小ぶりで肉厚がないのかなと思っていましたが、実際には、あくまで市場で売る基準に満たないだけのもので、十分に立派な食材だと思います。これを食卓に供給できれば、日本の食文化を一つ変えられると思うので、ぜひ頑張って取り組んでほしいです。」

また、食事中にアンバサダーの三島さん、廣江さんから「株式会社ヘラルボニー」の事例を教えていただきました。障がいのあるアーティストの作品を「支援品」ではなく「アート作品」として展開するヘラルボニー。その革新的なアプローチは、未利用魚ビジネスに新しい示唆を与えてくれました。

株式会社ヘラルボニーHPより

いろいろ調べてみると、ヘラルボニーさんの成功の核心は、既存の価値観を覆し、アーティストの個性を最大限に活かしたビジネスモデルを確立したことにありました。特に印象的なのは、作品の価値を下げかねない「障がい者支援」という文脈を完全に排除し、純粋なアートとしての価値を追求した点です。

この事例から、未利用魚も「余り物」「規格外」という既存の枠組みから脱却し、「サステナブルな選択」「地域の食文化を支える存在」として再定義できるかもしれません。ヘラルボニーさんの例から、例えば漁師の技術や魚の生態、地域特有の調理法など、豊かなストーリーを付加価値として発信することで、新たな市場価値を生み出せる可能性があります。また、加工品開発や飲食店とのコラボレーション、食育活動なども重要になってくると思われます。

株式会社ヘラルボニーHPより

今回のヘラルボニーさんの取り組みのように世の中の価値観を変えていくことは簡単ではありません。しかし、今回の事例が示してくれたように、既存の常識に疑問を投げかけ、新しい価値を提案し続ければ、共感の輪は広がっていく可能性はあります。ヘラルボニーさんの例のように未利用魚を「価値ある水産資源」として確立していく。その挑戦に、私たちはワクワクしながら取り組んでいきたいと思います。

⑤『Amanowa DAO』の利用開始!

海士町では11/18(月)に、デジタルコミュニティメンバーの地域における共創を生み出し続けるために、共創特化型の※DAOアプリ「Amanowa DAO」がリリースされました。※DAO:分散型自律組織のこと

▼詳しくはこちら

このアプリは、海士町に関わるアンバサダーと大人の島留学生がデジタル上でつながり、アイデアを共有し、新しい価値を生み出していく画期的な仕組みです。具体的には、アプリ内でのミッションをクリアしていくことで、アンバサダーの方々から事業に関する専門的なアドバイスを受けられたり、他の事業者との協業機会を得られたりします。

実際のアプリの様子

このような最新のweb3.0技術を活用できることに、大きな可能性を感じています。私たちはこの事業を軌道に乗せるため、そして海士町は「住んでいるかどうかに捉われない地域経営の形」を実現させるため、お互いにとってwin-winとなる関係を築けるよう、積極的に『Amanowa DAO』を活用していきたいと思います!

今週の感想

今週の活動を通じて、自然と向き合う漁業の厳しさと、そこから生まれる可能性について、より深い理解を得ることができました。特に時化の海での漁から学んだ「自然との共生」という視点は、私たちの事業の本質を考える上で重要な示唆を与えてくれました。

また、Amanowa DAOという新しい取り組みを通じて、地域を超えた共創の可能性も見えてきました。これからは、デジタルの力も活用しながら、未利用魚の新たな価値を創造し、より多くの人々に届けていきたいと考えています。

引き続き、応援してくださる方々への感謝を忘れず、一つ一つの挑戦を大切にしながら活動を続けていきたいと思います。

改めて今後とも「No Fish No Life」をよろしくお願いします。

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