兵庫県知事選挙を経て感じたこと

今回の選挙ではSNSの事実とは異なる情報を信じてしまった方も多かったのではないかと思う。
稲村氏VS齋藤氏の構図となり、どちらの候補者に対してもSNS上でネガティブな情報が散見された。
私がSNS上で確認した情報に関して、可能な範囲で調べてみた。

稲村氏に対するネガティブな情報

  1. 尼崎市長時代に退職金を5倍にした

  2. 尼崎市長時代のUSBメモリ紛失事件について何ら責任を取らず退職した

  3. 外国人参政権を進めるつもりだ

  4. 県庁舎に1000億円を費やそうとしている

  1. 退職金5倍について
    SNS上では1期目の退職金が470万円で2期目と3期目は2260万円もの退職金を貰っていた。稲村氏は退職金を5倍にした!という言説が多く見られていた。
    まず、退職金の金額に関しては事実であることが確認できた。
    しかし、「稲村氏が退職金を5倍にした」という点は事実ではない。
    1期目の退職金が470万円だったのは、それを公約として選挙に臨んだからである。2期目以降に関してはそのような公約は掲げていないため、尼崎市の規定に則った退職金を受領したにすぎない。
    むしろ、稲村氏は当時の尼崎市市長の退職金が他地域と比べて高額であったため、退職金規定を適正な水準に引き下げていた。
    平成24年8月の「市長及び副市長に対する退職手当の適正な水準並びに給与の在り方について」という資料において
    現行支給額 33,897,600 円
    改定後支給額 22,598,400 円
    とあることから、約3分の1にカットしていたのである。
    SNSの投稿を信じ、稲村氏を悪と決めつけていた方も多かったのではないかと推測する。

  2. USBメモリ紛失事件の対応について
    2022年6月に尼崎市が業務委託していた会社の関係社員がUSBメモリを入れた鞄ごと紛失した件に関して、調査委員会の設置といった対応はしていたようだ。
    2022年11月が任期満了だったため、4期目への立候補はせずにそのまま尼崎市長を退職している。
    稲村氏を擁護するわけではないが、「何ら責任を取らずに退職した」というのは事実ではないと判断できる。

  3. 外国人参政権について
    これについては自身のHPで「外国人参政権を進めません」と明言している。SNSで見られた情報を否定しているわけだが、進めませんという伝え方に引っかかりを覚える人は多かったようだ。
    私も個人的に「進めません」ではなく、賛成か反対かの立場を示したうえで「反対」と言い切るぐらいの方が、一切の突っ込みどころなく否定できたのではないかと思う。

  4. 県庁舎建て替え費用について
    こちらも自身のHPで1000億円はかけない、建設費用は抑制すると明言されていた。

齋藤氏に対するネガティブな情報

  1. 県職員に対するパワハラ

  2. 物品のおねだり疑惑

  3. 公益通報者保護法違反

  4. パレードに関するキックバック疑惑

  5. 二人の人物を自殺に追いやった

  1. パワハラについて
    齋藤氏自身も大声での叱責や机を叩く等の覚えはあると認めており、事実としてパワハラと認められるような事例が一切無かったとは言えないと思われる。

  2. おねだり疑惑について
    ワインやウェア等、物品を送った側が「おねだりでは無い」と否定している。贈答品全てに対して送った側がどういった経緯だったかを明言しているわけではないので、一切無かったと言い切ることは難しいかもしれないが「おねだりされた」との公表は今のところ確認できないため、事実としては「無かった」との判断になると思われる。

  3. 公益通報者保護法違反について
    法的な解釈のみで考えると違反していないと考えられる。
    時系列として自殺した元県民局長は「自浄作用が期待できない」という理由で公益通報窓口へ内部通報せず、2024年3月12日に告発文を県警、県議、放送局、報道機関など10カ所に送付していたようだ。
    この時点で告発文の内容は事実ではないという齋藤氏の判断や、弁護士に相談した当該文書は公益通報に相当しない、いわゆる怪文書であるとの結果から、怪文書を作成した人物を探すことに繋がっているので、斎藤氏の行動は県知事として適切だったのではなかろうか。

  4. パレードに関するキックバックについて
    キックバックを受けたとされていた金融機関側から実名で否定されていた。

  5. 二人の人物を自殺に追いやったとされている点について
    これに関しては現時点で齋藤氏が原因だったかどうかは分かりかねると思われる。
    それぞれの原因について調査が必要と判断(遺族の意向も鑑みて)されるのであれば、十分な調査を行い、その結果をもって齋藤氏に原因があるかどうかを判断すべきではないだろうか。

調べた結果は上記の通り、SNSでの投稿は事実と異なる内容が多いと窺える。
上記はあくまで公表されている事実であって真実ではないことは理解いただきたい。
私は投票日当日まで漠然と考えていたが、ふと疑問に思い尼崎市長の退職金について調べたところ、稲村氏が退職金を5倍にしたというSNSの投稿は虚偽だと知ることができた。
最終的に自身で調べた内容やReHacでの討論会の内容を参考とし、自分が納得できる考えで投票できて良かったと思っている。

普段の生活から自分の目にした情報が事実だと決めつけるのではなく、疑いの目を持ち、自分が事実だと確認できた情報をもとに行動することが大切だと実感させられた選挙だった。



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