一分で読めるクソ小説「鶴の恩返し」

「私が部屋で作業している間、絶対に部屋をあけないでくださいね」


けがをしていた鶴を助けた青年のもとに、ひとりの美しい女性が一夜の宿をとやってきた。一宿一飯の礼がしたいという彼女はこのような奇妙な申し出をしてきました。

女性にはいろいろあるのだろう、その程度の気持ちで部屋を貸すと翌日、げっそりやつれた彼女が部屋からでてきました。

「どうしたのだねおまえさん?」

「私のことはいいのです、それよりこれを」

彼女はそういうと真っ黒なカセットテープを差し出してきました。

「これは?」

「デモテープです、これを有名音楽プロデューサーのところにもっていってお金に換えてください」

「…図々しすぎないか?」

「自信作です」

「そういうことは聞いてない…ちなみにジャンルは?」

「ケルティック・フォーク・メタル」

「…もう一度」

「ケルティック・フォーク・メタル」

「…まずYOUTUBEにあげて反応を見てみるとか…」

「これを有名音楽プロデューサーのところに」

「それはもう聞いた…というかまず視聴してみてから… っていうかこれDATじゃん!! 気持ち悪っ!!」

「DATを馬鹿にしないでください!!!」

  青年は仮歌だけの稚拙なデモテープに仕方なくベースだけ入れRに焼き直し音楽プロデューサーの元へ出かけてていきました。

 今は有名な某ベーシストが語ったデビューの経緯です。

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