トラペジウム怪文書「アルフェッカ」
7月6日、トラペジウムを見た。うっすら話をしている人は観測していたものの特に興味もなかったが、ふと気が付いた時には近隣ではバルト9とチネチッタのみでかかっている状態。「この2個の映画館が欠けているということは間違いなくやばい映画」と察知した。予約で残シートを確認すると一個飛ばしで席が埋まっている。この埋まり方は「映画を一緒に見に行く人がいないタイプ人間がはまるか、誰にも邪魔されずに鑑賞する映画」なのだと察知。事前情報を全く入れずに「ひねくれたアイドルもの」くらいの状態で見に行った。
劇場から出てきた瞬間は「とりあえず誰でもいいから殴りたい」だった。一人で見に行ってよかった。とにかく見てる人へのストレスのかけ方がおかしい。とにかく情報が開示されず東ゆうという狂人が暴れまわるさまをみているだけだ。いい感じで終わってタイトルも回収しましためでたしめでたし、じゃねえんだよアイドルアニメなのにモデルをつかったライブシーンは一回のみ、しかもいかにもタイアップ企画でアイドルが歌う感じの曲という内容。何を見せられたんだ俺は。
ただまあぶん殴られておかしいうちにあれこれ整理しようとネットに上がってるOPを見返す。ここでようやく断片的にだが東ゆうという女がなんなのかの情報が開示される。開示されるというよりも本編で断片的にかたられたことが一瞬一瞬のカットとして示される。しかも時系列がめちゃくちゃの状態で。正気の沙汰じゃない。所見の人間がここで理解できると思ってるのか? ここでようやく「繰り返しみて理解するアニメ」とわかる。近年のリピーターで稼ぐ商法前提の狂ったアニメなんだわこれ。初回の試聴感を割と捨ててる。
ここから急に自分語りだが、自分は一時地下アイドルにはまっていた時期があった。だから作中の一瞬ではじけ飛ぶアイドルユニットというモチーフはしんどい。フィクションではなくいろんな地獄を見てきたからだ。君たちはみたことがあるだろうか? 卒業発表で糸が切れたように地面に倒れこむオタクを、卒業公演でいじめをカミングアウトするアイドルを、契約違反のツイート一つで次のライブから影も形もないことになる何かのかけたユニットを。「東西南北という誰か欠けたらその場で機能しないコンセプトでうろうとした東が悪い」とすら思ってみている俺の気持ちがわかるか? わかんねえだろうなあ!! 推してるユニットが7→4→3→1になったことある人手をあげてー! はーい!!! ちなみに押しは4→3の時に消えた。この話はやめよう! だからこれガチのオタクやガチのオタクだったひとは見てる間はただただしんどい映画なんだよ。
アルフェッカ。かんむり座のα星の個有名だ。かんむり座といえば弧の形に星の連なる美しい王冠の形の星座だ。ただこのアルフェッカという名前には「かけたものの星」という意味がある。あの美しい星の並びですら、人によっては割れた円のさらに見えたのだ。何かが失われたものに見えるのだ。そうなのだ、完璧に輝く星ですら、どこかで何かが欠け落ちる。アイドルとは「欠けるもの」なのだ。
アイドルを続けるうちにどうしたってそぎ落とされるものは出てくる。彼らのその後を知ることなんて普通はない。ただの人なんだから。ただどこかで幸せにいきててほしいなと祈り続けるしかない。そういうオタクを救うための映画なんだなというのはあとからじわじわわいてくる。
そしてトラペジウムというのはオリオン大星雲の連星なんですよね。大星雲ってようは超新星の残骸から新しい恒星が生まれるところなんですよ… 星の残骸が新しい星になる… かつて消し飛んだ星がちいさな東ゆうのまわりをまわって新しい恒星が生まれる、あのOPはそういうことを伝えてる…
たったひとつの恒星のために消えていく星たち、その先がどうなっているのか、そしてその星が死んだあとどうなるか、そういう話なんだ。トラペジウムは。
追記「北が突然男がらみで怒られるの想定できなかったので、ものすごい傷をえぐってくる」
追記2 いろいろ思い出してきた。「メジャーデビュー直前に推し以外全員卒業」ってのがあったな… 推しがかなりがつがつタイプだったのでいろいろ重なってしまう…(白目)