HPEとジュニパー、シスコのネットワーキングの混乱に企業は神経をとがらせている
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この記事は、2024年11月22日の SDxCentral の以下の記事を意訳したものになります。意訳後に記事に関する考察を述べています。
HPE-Juniper, Cisco networking chaos has enterprises nervous
HPEとジュニパー、シスコのネットワーキングの混乱に企業は神経をとがらせている
HPE-JuniperとCiscoのネットワーク混乱で企業が不安に
Hewlett Packard Enterprise(HPE)によるJuniper Networksの買収と、Ciscoが最近実施したレガシー事業の一部を軽視する企業再編が、ネットワークエコシステム全体に混乱をもたらしています。この影響で、多くの企業が投資を一時停止し、状況が落ち着くのを待っている状態です。一方で、この状況は競合他社にとって新たな市場獲得の機会をもたらしています。
Forrester Researchのプリンシパルアナリストであるアンドレ・カインドネス氏は、SDxCentralのインタビューで、JuniperとHPEの顧客が取引に関連する不確実性にどう反応しているかについて次のように述べています。
この「保留状態」は、HPEとJuniperが統合された後にどのようなシステムやプラットフォームが生まれるかという不確実性に起因しています。
HEP/Arube/Juniper統合がもたらす障害
カインドネス氏は、この取引発表時のブログ投稿で「HPEおよびArubaの顧客とJuniperの顧客にとって、この先には多くの障害が待ち受けている」と述べています。同氏は、HPEにとって重要なステップとして「製品ポートフォリオ、ソリューションの合理化と最適化」が必要だと指摘しました。
HPEのCEOアントニオ・ネリ氏は、「HPEとJuniperの製品ライン間にはほとんど重複がない」と述べて顧客の不安を和らげようとしていますが、これについてカインドネス氏は「理解に苦しむ」と述べています。
Juniper主導のHPEの可能性
統合後のHPEがどうなるかは重複やその他の懸念に左右されますが、カインドネス氏は、Juniperの通信およびネットワーキング資産が重視される結果になると予想しています。この中には、HPEのAruba製品が、JuniperのAIに注力したMistやMarvisプラットフォームに置き換えられる可能性も含まれます。
カインドネス氏は、取引成立後数年間はプラットフォームの整理が大幅には進まないと予想しています。しかし、その間にチャネルパートナーや市場進出戦略に関連する課題が生じ、VMwareがBroadcomの買収後に直面したような市場機会の減少が起きる可能性があると指摘しました。
HPE-JuniperとCiscoの変化を狙う競合他社
HPEは、企業の関心を維持するために多くの課題に直面しています。Forrester Researchのアンドレ・カインドネス氏は、多くの企業がネットワーキング機器を数年単位で購入しているため、HPEは将来のプラットフォーム計画を見直す時間があると指摘しています。しかし、競合他社はそれほど忍耐強くはありません。
Ciscoは、この混乱の一部を引き起こしています。最近の投資家会議で、同社のCFOスコット・ハーレン氏は、HPEによるJuniperの買収が「企業の無線LAN市場に不確実性をもたらしており、それがCiscoにとって有利に働く可能性がある」と述べました。
Ciscoの再編と競合の機会
ただし、Ciscoも最近発表した再編計画の一環として、自社のネットワーク事業に関する課題に取り組んでいます。この動きでは、AI、セキュリティ、クラウドといった高成長分野に注力するため、レガシー事業やネットワーク製品ラインの一部を縮小する方針が示されています。
競合他社の攻勢
AristaやExtreme Networksのようなベンダーも市場獲得の機会を強調しています。Extreme NetworksのCEOエド・マイヤーコード氏は、最近の決算発表で次のように述べました。
さらに、Extreme Networksの最高商務責任者ノーマン・ライス氏は、Ciscoの市場混乱が他のベンダーに新たな機会を提供しているとSDxCentralとのインタビューで述べました。同氏は、Ciscoが最近Splunkを買収したことで、以前のセキュリティパートナーが新たな選択肢を模索している状況があると説明しました。
HPEとJuniperに関しては、マイヤーコード氏は、取引完了後に市場での機会が生まれる可能性を示唆しました。
以上が、SDxCentral の記事の意訳になります。
この記事に関する考察
本記事は、HPE/Juniperの統合、Ciscoの再編に伴う混乱が、顧客と市場に不安をもたらしており、競合他社に新たな機会を提供しているというものでした。
HPEおよびCiscoは、顧客基盤を維持しながら、戦略的にこの統合を進めることができるのかに注目が集まっています。
HPE/Juniper、およびCiscoの記事については以下も参照ください。
HPE、Juniperについては、記事にあるように、複数AP(アクセスポイント)製品ライン(Instant On、Mist、Aruba APs)、ルーティングとスイッチングのオペレーティングシステム(Juno、AOS-CX、ArubaOS)、および管理システム(CentralとMist)をすべて維持するのは現実的ではありません。
上記以外にも、Unified SASE として、Silver Peakや、Axis Securityの製品ラインアップも存在します。
特に Juniper が2019年に買収した AIネイティブなプラットフォームを提供する Mist がゲームチェンジャーであったと言えます。
Mist AIにより、ネットワーク管理を反応型(事後対応型)から予防型へと転換し、エンタープライズネットワークの効率性と信頼性を大幅に向上させました。また、Juniperは無線LAN市場から撤退していましたが、Mist のラウド管理型Wi-Fiソリューションで無線LAN市場へ再参入も行っています。
HPEのAruba製品を含むすべての既存製品のラインアップが、すべて、JuniperのAIに注力したMistやMarvisプラットフォームに置き換えられる可能性もないとは言えません。
いずれにしても、買収までの期間と、その後の統合が完了するまでの期間を鑑みると、HPE/Juniper、Ciscoを現時点で選択するのは、正しい選択とは言えないでしょう。
以上となります。