見出し画像

SASE 市場調査結果について

2019年に、ガートナーが定義した SASE (Secure Access Service Edge:サッシー)の海外での市場調査結果について、Cato Networks社/Catoクラウド(Cato Cloud/Cato SASE Cloud)の視点で解説を行います。


TechTarget(テックターゲット)「Single-vendor SASE Quadrant Analysis」


TechTarget Single-vendor SASE quadrant analysis(2023年3月30日出版)

アメリカのマーケティング企業であるテックターゲットが、ガートナーの定義した「単一の1社でSASE提供できるベンダー」、シングルベンダーSASE(Single-Vendor SASE)をもとに評価を行ったもので、シングルベンダーSASEとしては、ガートナーは9つのベンダーを取り上げていますが、テックターゲットは、Cato Networks、Cisco、Fortinet、Netskope、Palo Alto Networks、Versa Networks、VMwareの7社について評価をしています。
残りの2社(Citrix、Forcepoint)については、サービス終了等の理由から評価対象外となっています。

  1. アーキテクチャ(スコアの35%)

  2. 統合(35%)

  3. 管理とポリシーの統合(10%)

  4. 柔軟性と使いやすさ(10%)

  5. ネットワークとセキュリティ機能(10%)

SASEを上記の5つのカテゴリでそれぞれのカッコ内の重み付けで評価・スコアリングを行っていますが、SASEプラットフォームとしては、特に内部構造を重視し「アーキテクチャ」「統合」の2つを重み付けした採点を実施したところ、リーダーには、Cato Networks、Palo Alto Networks、Netskopeの3社、チャレンジャーには、Ciscoが選出されています。

2019年にガートナーにSASEが定義され、4年以上が経過し、SASE 普及期に入ったとされますが、Cato Networks の Catoクラウドが他のソリューションと異なり企業買収(M&A)による機能拡張をしていないことから、「アーキテクチャ」「統合」をポイントとした「シンプルさ」「運用管理のし易さ」では、Catoクラウドを選択することに間違いなさそうです。

Gartner(ガートナー)「Magic Quadrant for Single-Vendor SASE」


Magic Quadrant for Single-Vendor SASE(2023年8月16日出版)

次は、SASEを提唱(定義)したアメリカ調査会社のガートナーの初めてのシングルベンダーSASE の マジッククアドランド(Magic Quadrant:MQ)となります。
日本では一番お馴染みの調査結果なのではないかと思います。

リーダーは、Palo Alto Networksの1社のみで、チャレンジャーに、Cato Networks、Versa Networks、Fortinetの3社が選出されています。

MQのチャレンジャーとは「シングルベンダーSASE市場において、現在のエンドユーザーの要求に対応する能力を持ち、優れた知名度や大規模なインストールベースの顧客を持っており、複数のユースケースに対応する確かな製品を持っているが、戦略が今後のエンタープライズ市場を形成し、変革するものでは無いかもしれない」と定義されています。
また、Catoクラウドへの指摘事項として、以下の3点がありました。

  1.  Cato が提供するサービスには、SaaS のコントロールと可視性、データセキュリティ、アプライアンス上の SD-WAN 機能に関する特定の機能が、本リサーチの他のベンダーに比べて不足している。

  2.  Cato の今後の販売戦略や地域戦略は限定的であり、市場での成長能力が制限される可能性がある。

  3.  Cato が計画している製品イノベーションは、中堅企業や中小企業の顧客のニーズにより合致しているため、広範なエンタープライズ市場を破壊したり形成したりする可能性は低い。

上記の1.については、CatoクラウドのCASB/DLPが2022年リリースとまだ日が浅く、対応アプリケーション数が少ないこと。また、RBI/SaaS Security APIについては、2023年リリースと、リリースされたばかりのため、まだ成熟していないという意味では納得ですが、2024年以降での評価はまた違ってくると思います。
2.や3.については、評価会社に判断になると思いますが、3.については、他のソリューションに比べ中小企業でも採用しやすいのは間違いないですが、大企業でも全く問題なく提供可能なサービスであると考えています。

Frost & Sullivan(フロスト&サリバン)「Frost Radar」


Frost Radar : Secure Access Service Edge, 2023(2023年11月21日出版)

アメリカのビジネスコンサルティングで、独自リサーチも行う会社であるフロスト&サリバンのフロストレーダー SASEレポートです。
ガートナーのMQに続き、フロストレーダーのレポートもご存知のレポートかと思います。

リーダーは、Palo Alto Networks、Cato Networks、Versa Networks、Fortinet、Cisco、VMwareの6社が選出されています。

フロストレーダーのレポートは、2つの指標、堅調かつ安定した収益成長を示す「Growth Index」と、今回のSASE製品強化におけるイノベーション能力を示す「Innovation Index」で評価されていますが、Catoクラウドは、ともに高い評価をされてリーダーに選出されるとともに、特に、クラウドファーストでコンバージドなSASEプラットフォームを提供していることが、他の競合他社と一線を画しているとの評価で「Innovation Index」については、最も高い評価となっています。

GigaOm(ギガオム) 「Radar for Secure Access Service Edge」


GigaOm Radar for Secure Access Service Edge(2024年2月1日出版)

アメリカの独立系IT調査企業であるギガオムの「GigaOm Radar for Secure Access Service Edge(SASE)」です。
※SASEレポートとありますが、ガートナーのシングルベンダーSASEの定義は無視したベンダー選定を行っていますので、現時点ではSASEではない、SSE等も含まれています。

主要なSASE/SSEソリューション18社の機能/非機能要件の比較結果で、リーダーは、Cato Networks、Versa Networks、Fortinet、Cloudflare、HPE Arubaの5社が選出されています。

ギガオムレーダーは、同心円状に各ソリューションがプロットされていますが、中心に近い位置になるほど、高い評価をされていることを意味します。成熟度(MATURITY)とイノベーション(INNOVATION)、機能(FEATURE PLAY)とプラットフォーム(PLATFORM PLAY)についてCatoクラウドは、安定性と継続性に優れた「MATURITY」で、幅広い機能とユースケースのサポートする「PLATFORM PLAY」として評価され、業界全体と比較した進捗率で優れたアウトパフォーマーとしても評価されています。

まとめ

SASEに関わらず、このような市場調査は、アメリカを中心とした海外の調査会社が行っているものが殆どです。
また、日本国内では、ガートナーのマジッククアドランド(MQ)やハイプサイクルがお馴染みですが、もしかすると、ガートナー以外の他の調査結果はあまり見る機会がないのではないでしょうか?

もしかするとガートナーのMQしか信用されていない企業もあったりしますが、今回ご紹介したどの調査会社もそうですが公的機関ではないです。あくまでも営利目的の法人となりますので、1つの調査会社の結果だけを鵜吞みにするのは非常に危険かと思います。

ちなみに、以下は全く関係ないですが、2024年7月に開催される日本のガートナーが行う「セキュリティ&リスク・マネジメントサミット2024」のスポンサー企業の一覧です。

ガートナー セキュリティ&リスク・マネジメントサミット2024 出展企業


SASE の採用にあたっては、そもそも日本国内ではサービス提供されていないものがあったり、日本国内だけ非常に知名度が低いサービスがありますが、ガートナー1社の調査結果だけではなく、フロスト&サリバン、ギガオムなどの複数の調査会社の結果を参考にされた方がよいと考えています。

2024年最新版のガートナーのマジッククアドランドは以下をご覧ください。


いいなと思ったら応援しよう!