見出し画像

BroadcomのAIビジネスが、VMwareの成功を凌駕

いつもご覧いただきありがとうございます。

今回の記事は、2025年1月17日の SDxCentral に掲載された以下の記事を意訳したもので、意訳後に記事に関する考察を述べています。

Broadcom’s AI opportunity dwarf its VMware vehicle
”ブロードコムのAIビジネスチャンスはVMwareを凌駕する”


Broadcom は、VMware による収益増加を享受する一方で、人工知能(AI)に焦点をあてたカスタムチップ設計と、それに関連するAI対応のネットワーキング事業の需要の拡大により、さらなる成長が見込まれています。

AI関連収益の急増

Broadcom の2024会計年度第4四半期におけるAI関連収益は、前年同期比で220%増加し、122億ドル(約1.9兆円)に達しました。この増加について、CEOのホック・タン(Hock Tan)氏は、同社のカスタムAIアクセラレーターおよびネットワーキング事業が主要な要因であると述べています。このAI関連製品は同四半期における同社の半導体収益全体の41%を占め、2024会計年度の半導体収益全体を過去最高の301億ドル(約4.7兆円)へと押し上げました。

タン氏は、今後数年間でAIが Broadcom の半導体事業の主力となると予測しています。その成長は、AIインフラへの大規模な投資を進めるハイパースケール(大規模クラウド運営)パートナーによって支えられており、これらのパートナーは Broadcom  のXPUアーキテクチャに大きく依存しています。

「現在、3つのハイパースケール顧客が、自社のAI XPUのマルチジェネレーション(複数世代)ロードマップを作成し、今後3年間にわたりさまざまな速度で展開する計画を立てています」とタン氏はブロードコムの決算説明会で述べました。「2027年には、それぞれの顧客が単一のファブリックに100万のXPUクラスターを展開する予定です」

また、この動きが2027年までに最大900億ドル(約14兆円)の市場規模を生み出すと予想されています。

「今後この会社の現実として、AI半導体事業が非AI半導体事業を急速に上回るでしょう」とタン氏は述べました。

新たな顧客の可能性

エクイティリサーチ会社のウィリアム・ブレア(William Blair)氏は、調査報告書で、Broadcom が現在Google、Meta、Bytedanceにカスタムチップを供給していると述べています。また、OpenAIやAppleと推測される新たなハイパースケール顧客2社が認証プロセスを進めているとの示唆もありました。

「Broadcom が顧客とのAIの可能性について述べた内容は、我々のAI仮説を肯定的に裏付けるものでした。一部の投資家が計算スケーリング法則やトレーニング前後の計算需要に懸念を抱いているにもかかわらず、最大手のハイパースケーラー企業は、今後数年間にわたりAIクラスターを拡大する計画に揺るぎはありません」と同社は指摘しています。

この力強い予測は、他のアナリスト会社によるデータとも一致しています。

データセンター拡張とAI投資

シナジーリサーチグループ(SRG)は昨年、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft、Google Cloud Platform(GCP)がデータセンター拡張の最中にあり、2030年代末までに世界のデータセンター容量の3分の2を支配するだろうと報告しました。これは2017年時点での容量の8倍に相当します。

ABIリサーチは、AI主導の投資拡大が「大型および超大型コロケーション施設」に向かうことを示しています。同社によれば、現在、全世界のデータセンターの28%がこの規模に該当しますが、「AIや生成AIワークロードなどのデータ集約型アプリケーションに対応するため、2030年までに43%に増加する」とのことです。

AI対応ネットワーキングの推進

AIに特化したこの広範な取り組みは、Broadcom のネットワークチップのビジネスチャンスも後押ししています。

同社のAIネットワーキング収益は第4四半期に前年同期比158%増加し、ネットワーキング収益全体の76%を占めました。この成長はハイパースケーラー企業や、Tomahawk、Jerichoプラットフォームの販売増加に結びついており、これらのプラットフォームは新バージョンの展開によってさらなる成長が見込まれています。

タン氏は、3ナノメートルアーキテクチャで構築されるこれらの新製品が、AIの波に乗ってネットワーキングのAIシリコンにおける位置を倍増させるだろうと述べました。

VMwareとの相乗効果

AIによる成長のタイミングは、現在進行中のVMwareによる急成長とも重なります。

Broadcom のソフトウェアインフラ事業(VMwareを含む)の収益は、直近の四半期で58億ドル(約9,000億円)に達し、前年同期の196%増となりました。この四半期は、Broadcom がVMware買収を完了する直前の最後の決算期でもありました。

タン氏は、最新の四半期で合計2,100万のCPUコアを予約したと述べており、前四半期の1,900万コアから増加しました。特に重要なのは、これら新規予約コアの70%が同社の旗艦プラットフォームであるVMware Cloud Foundation(VCF)上であり、「データセンター全体を仮想化」している点です。

さらに、Broadcom はVCFプラットフォームに、主要顧客10,000社のうち4,500社を登録しており、このプラットフォームは最新四半期で27億ドル(約4,200億円)の年間予約価値(ABV)を生み出しました。この数字は、第2四半期にタン氏が述べた3,000社の再契約顧客と19億ドル(約3,000億円)のABVから大幅に改善されています。

以上が、SDxCentral の記事の意訳になります。
 
 

この記事に関する考察

Broadcomが、VMware買収後の価格体系変更(=値上げ)による収益の大幅な成長と合わせて、人工知能(AI)に特化したカスタムチップ設計と、AI対応ネットワーキング事業の需要の拡大により、さらなる成長が見込まれるとのことで、どうやら大成功しているようです。

Broadcom(VMware)の記事については、以下の note マガジンでまとめています。

AI向け半導体事業が、非AI事業を上回る成長を遂げると予測されているので、今後、さらなるVMwareの価格体系変更(値上げ)などに興味がなくなる可能性が出てきました。

そうなるとハッピーになる企業が増えると思いますが、VMwareの製品開発への投資もしていないのであれば、先行きは不透明のままです。

以上となります。

最後に、この記事を気に入ったら「♡(スキ)」をぜひお願いします!

いいなと思ったら応援しよう!