Broadcom、VMware運営懸念を払拭
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今回の記事は、2024年12月17日の SDxCentral に掲載された以下の記事を意訳したもので、意訳後に記事に関する考察を述べています。
Broadcom bounces VMware operating concerns
Broadcomが、VMwareの運営懸念を払拭
Broadcom VMwareの2024年の取引状況が一変
Broadcomは最近の四半期において、VMwareを中心とした堅調な収益を計上し、今後もこの取引からさらなる収益を期待しています。同社は、多くの顧客の不満が続く中、この事業を成長させる能力への懸念を一蹴しました。
Broadcomのソフトウェアインフラストラクチャ事業(現在、VMwareが含まれる部門)は、Broadcomの2024会計年度第4四半期に58億ドル(約9,074億円)の収益を上げました。これは、VMware取引完了前の最後の四半期と比較して、196%の同期比増となります。
BroadcomのCEOであるホック・タン(Hock Tan)氏は、最新の四半期で合計2,100万のCPUコアを予約したと述べており、これは前四半期の1,900万コアからの110%の増加を示しています。これは、BroadcomのVMware事業が拡大していることを示しています。さらに重要なことに、タン氏は、新たに予約されたコアの70%が、同社の主力製品であるVMware Cloud Foundation(VCF)プラットフォームに関連しており、「データセンター全体を仮想化している」と述べました。
また、タン氏は、最大顧客1万社のうち4,500社がVCFプラットフォームに契約したことを明らかにし、このプラットフォームが最新の四半期で27億ドル(約4,224億円)の年間予約価値(ABV)を生み出したと述べました。
この数字は、同社が第2四半期の業績発表で示した3,000社の再契約顧客および19億ドル(約2,972億円)のABVからの大幅な改善を示しています。
Broadcom、VMware顧客のロイヤリティを維持
この顧客維持と収益回復は、Broadcomにとって非常に重要です。同社がVMware買収後に実施したライセンスや価格変更による顧客離れの懸念を払拭する助けとなっています。
Broadcomの競合他社も、Broadcomが大規模なVMware顧客の短期的な流出を抑えるうえで、効果的な特別な対応を取っていることを認めています。
NutanixのCEOであるラジーヴ・ラマスワミ(Rajiv Ramaswami)氏は、最新の収益報告で、VMware顧客がNutanixプラットフォームに移行することで得られる短期的な利益については諦め、長期的な展望になると修正しました。
「市場は引き続きダイナミックであるものの、私たちの視点から見ると、シェア獲得の長期的な機会に関しては大きな変化はない」と、ラマスワミ氏は金融アナリストからの質問に答えました。「この四半期と過去数四半期を比較しても、実際のところ大きな変化は見られません。これらの機会での勝敗率にも実質的な変化はありません。」
ラマスワミ氏は、この「変化のない」進捗が、多くの場合、現在のVMwareの更新サイクルに関連していると述べました。
「それらは、既存の設備がハードウェア更新のタイミングを迎える際に結びついていますが、私たちは既存のハードウェアでも解決策を提供できる能力を拡大しています」と同氏は述べました。
また、ラマスワミ氏は以前、Broadcomが大規模顧客と取引する際に価格の柔軟性を示す姿勢について指摘しており、最近では、VMwareのスリム化された製品に新たな機能や利点を追加する動きも見られます。
「顧客を維持するためにBroadcomが、積極的な(柔軟な)行動を取ることもあります。特に非常に大規模な顧客に対してはそのようです」とラマスワミ氏は述べました。「全体的に見て、大きな変化はないと言えるでしょう。」
Broadcomはまた、負担の少ないVMwareデータセンター仮想化プラットフォームへの忠誠心を強化する取り組みも進めています。これには、最近強化されたvSphereハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)プラットフォームや、vSphere Enterprise Plusという名称の復活による新たな選択肢の提供が含まれます。
Broadcomのクラウドプラットフォーム、インフラストラクチャ、およびソリューションマーケティング担当副社長であるプラシャンス・シェノイ(Prashanth Shenoy)氏は、プレス向けの説明会で、これらのvSphereの更新が同社のサービスに層構造を加える助けとなると述べました。
「さまざまな規模の顧客や、その進化の段階に応じて多様な選択肢を提供しています」とシェノイ氏は、新しい層構造アプローチについて述べました。「フルプライベートクラウドプラットフォームを望むならVMware Cloud Foundationを、エンタープライズクラスのHCIプラットフォームを求めるならvSphere Foundationを、またコンピュート仮想化から始めたい場合はvSphere Enterprise PlusやvSphere Standardを選択できます。」
Broadcomの課題(今のところは大丈夫だが…)
成功を収めている一方で、アナリストたちは長期的な顧客維持での課題を指摘し続けています。
投資調査会社ウィリアム・ブレア(William Blair)氏は最近のNutanixレポートで、市場調査会社がVMwareの40万以上の顧客基盤のうち最大30%が「最終的にVMwareから離れる」と予測していることを挙げました。この見解は、Forrester Researchの主任アナリストであるナヴィーン・チャブラ(Naveen Chhabra)氏によっても支持され、SDxCentralに対し、世界最大規模の企業の最大20%が「VMwareスタックからの移行を開始するだろう」と述べました。
「一夜にして全面的な置き換えをするわけではありませんが、部分的な移行を始めるでしょう」とチャブラ氏は述べました。「それはすでに現在進行中であることは明確に見て取れます。あと5ヵ月も待つ必要はありません。この予測が真実であると断言できます。それは実際に起きています。」
Nutanixは最近の四半期に新たに630社の顧客を追加しました。ウィリアム・ブレアのアナリストはレポートで「Nutanixは顧客の不満が高まる中でVMwareからの移行を着実に進めている」と述べました。
Nutanixは、BroadcomがVMwareで実施した変更を利用しようとしている複数のベンダーの1つです。
IBMのCFOであるジェームズ・カバナー(James Kavanaugh)氏は最近、投資家向けの会議で、同社のRed Hat部門が不満を持つVMware顧客からの潜在的な移行の恩恵を受ける立場にあると述べましたが、そのタイミングについては、数年先に及ぶ可能性があると指摘しました。
「Broadcomによる買収は現在、すべてのエンタープライズクライアントにプラットフォームアーキテクチャの決定を迫っています。その選択肢は仮想化とコンテナ化の間で行われるでしょう」とカバナー氏は述べ、IBMのコンサルティングサービス、Watson X生成型AIプラットフォーム、Red Hat OpenShiftの優位性を強調しました。「そのため、クライアントは多大な関心を持って当社にアプローチしており、成長の要因が数年間にわたって展開されると考えています。私たちはその可能性に興奮しています。」
このタイミングは、ウィリアム・ブレアが最近行ったエンタープライズ調査とも一致しています。この調査では「多くの顧客が少なくとももう1年間はVMwareと契約を続ける(即時的な移行の課題のため)一方で、Broadcomによって不満を抱えた顧客やチャネルが多い」とされ、これがNutanix、Red Hat、Microsoft、Scale Computing、およびパブリッククラウドプロバイダーのようなベンダーからの近・中期的な代替オファリングに関心を持つ顧客の増加につながっているとしています。
Broadcom、VMwareの業績見通しを上方修正
こうした懸念にもかかわらず、BroadcomはVMwareによる成長に対して強気の姿勢を維持しています。
BroadcomのCEO ホック・タン氏は、2024会計年度末時点で営業利益率が70%に達したと述べ、また、BroadcomがVMware取引を発表した際に掲げた「85億ドル(約1兆3,298億円)を大きく上回るセグメント調整後EBITDA(利息、税金、減価償却費控除前利益)を達成する」と期待しています。同氏は「当初3年間を目標としていたこの成果を、はるかに早く実現する予定だ」と強調しました。
Broadcomは、VMwareのコスト削減を通じてこの利益率の向上を推進しています。タン氏によれば、VMwareの支出は第4四半期に前四半期比で1億ドル減少し、12億ドル(約1,877億円)となりました。これは、買収前にVMwareが1四半期あたり24億ドル(約3,754億円)を費やしていた額の半分に相当します。
さらに、Broadcomは、2025会計年度第1四半期においてインフラストラクチャソフトウェア事業の収益が前四半期比で11%、前年同期比でより大幅な41%の成長を見込んでいます。
以上が、SDxCentral の記事の意訳になります。
この記事に関する考察
昨年の Broadcom の VMware 買収で、この1年間、顧客離れが進んでいるのに関わらず、前年同期比(収益)が196%、つまり2倍の成長をしていることが判明しました。
一方、前年同期の契約コア数が1,900万コアに対し、最新の四半期では2,100万コアとのことで 110%の増加なのに関わらず、売上が196%ということは、VMwareを継続利用を続けている企業については、この1年間で2倍以上のコストが発生していることは明らかです。
まさに、今年5月に記事にした通りになっています。
まさに、VMware製品の体系変更などの単なる値上げのみを実施し、2倍の成長を成し遂げました。
VMwareの買収前コストが約3,754億円(24億ドル)の支出に対して、最新の四半期のコストは、約1,877億円(12億ドル)と半分になっています。
大量の従業員の解雇、サポート品質の低下等によることは、言うまでもありません。
今後はどうなるか?は、先の記事に書いた通りです。良くなることはあり得ません。どんどん悪くなる一方です。
1年後は、さらに今の2倍の成長をし、コストは、さらに削減するのが目に見えています。
サーバ(ストレージ)のライフサイクルがあるので、まだ、これから(来年度に)検討を行うと言う出遅れた感のある企業も多いですが、早々に、VMwareは諦めて、他のプラットフォーム、あるいはアーキテクトの採用を検討するしか残された手はありません。
脱VMware!脱Broadcom!
以上となります。
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