編入合格体験記 岐阜大学 電気電子・情報工学科

はじめに

岐阜大学、電気電子・情報工学科に合格をいただきました。
岐阜大学への願書提出時には、募集要項を事前に取り寄せる必要がありますので、注意が必要です。
なお、募集要項は直接岐阜大学を訪れて受け取ることも可能です。

岐阜大学について

下表は、名古屋駅からそれぞれの大学まで何分で行けるか示したものです。
(名古屋駅から)
名工大   200円   15分
岐阜大学  840円   1時間4分
三重大学  1210円 1時間16分
豊橋技科大 1770円 1時間31分
静岡大学  6970円 1時間32分

岐阜大学は、工学、農学、医学の分野で強みを持つ理系学部中心の大学で、特に農学は中部地方で名古屋大学に次ぐ実力を誇ります。獣医学科は中部地方唯一の国公立大学です。

名古屋大学と法人統合したことにより、名古屋大学の授業を受けたり、図書館を利用したりすることができます。

また、岐阜大学はワンキャンパスであるため、単位認定がされなかった場合でも、二つのキャンパスを行き来する必要はありません。

岐阜大学では、大学院に進学する学生が全体の約7割で、そのうち約1割が名古屋大学や名古屋工業大学などの大学院に進学しています。

岐阜大学では、愛知県出身者が全体の約半数を占めており、具体的には47%が愛知県出身、36%が岐阜県出身です。

交通機関について

岐阜駅から名古屋駅までは20分でアクセスできる一方で、岐阜大学は駅から離れており、バスで30~40分、自転車でも30分以上かかります。

特に一限の時間帯は、バス停に長蛇の列ができ、乗車までに30分近く並ぶ必要があるため、自転車通学を選ぶ学生も少なくありません。
さらに、1コマ目は高校生も利用するため、バスが特に混雑します。

また、朝の通学時間や夕方の帰宅時間はバスが非常に混雑し、2~3台見送った後、ようやく次の満員バスに乗れることもしばしばです。

さらに、岐阜バスは遅延が頻発し、終バスの時間が早いこと、定期代やバス代が高いことが難点です。
大学の駐車場は原則4年生以上が利用可能なため、それまでは周辺駐車場を借りる必要があります。

下宿について

岐阜大学周辺(徒歩15分圏内)にアパートが沢山あり、同じアパートがほぼ岐阜大生です。家賃がとても安く、三万程度でも、家賃の割にいい物件があります。

キャンパス周辺は自然が豊かで、安いスーパーや飲食店が多く、生活には便利です。ただし、ショッピングをしたい場合は、少し離れたイオンまで行く必要があります。

周辺には大型ショッピングモールや薬局、コンビニ、ガソリンスタンド、銀行など、生活に必要な施設も整っています。

学内にはミニストップや学食、生協があり、日常生活には困りませんが、大学周辺には娯楽施設がほとんどなく、空きコマは退屈になりがちです。

単位変換について

https://www.eng.gifu-u.ac.jp/file/r2syutokutani.pdf

岐阜大学の電気電子コースでは、最大で111単位の単位認定が可能です。
ただし、これは個別認定であるため、全ての単位が認定されるとは限りません。

すべての単位が認定された場合、残りの21単位で卒業することができます。電気、情報、生命化学コースにおいて認定単位数が多いのは、必修科目以外の科目にも認定が認められているためだと考えられます。

一方、機械コースと物質化学コースでは88単位、生命化学コースでは87.5単位が一括認定されています。

個別認定の学科でも、1,2年次の必修科目に関しては一括単位認定してくれる場合もあり(詳細はリンク先の資料をご参照ください)その場合には授業の時間が重なって受講できずに留年するという心配はありません。

高専5年生の授業科目は大学3年次に開講されてる場合が多いため、編入後の単位認定のために無理して取る必要はありません。
なぜなら大学1,2年次の科目しか単位認定されないからです。

工学部便覧について

https://www.eng.gifu-u.ac.jp/file/2020binran.pdf

電気電子情報工学科に関する情報は、105ページ以降に記載されています。
カリキュラムは、教養科目、基礎科目、学科共通科目、コース科目から構成されています。基礎科目は工学部共通ですが、学科ごとに必修科目が異なります。

また、コース科目に加え、学科共通科目が設けられており、例えば電気電子情報工学科では、電気を選択した学生も情報に関する授業を受講できるようになっています。

電気科では、基礎科目、学科共通科目、コース科目を合わせた必修科目が29個あり、そのうち26個は時間割の重複がないため、1年で全て履修可能です。ただし、基礎科目(第1年次)の「確率統計」「電磁気学基礎」「プログラミング基礎」の3科目は時間が重なっています。

倍率(工学部)

令和4年 https://www.eng.gifu-u.ac.jp/file/gaikyo_r4_eng_3hennyu.pdf
令和5年 https://www.eng.gifu-u.ac.jp/file/gaikyo_r5_eng_3hennyu_1.pdf
令和6年 https://www.eng.gifu-u.ac.jp/file/gaikyo_r6_eng_3hennyu.pdf

令和4年から令和6年の平均倍率は
社会基盤工学科   1.19倍
機械工学科     1.52倍
化学生命工学科   3.50倍
電気電子情報工学科 3.15倍

社会科および機械科はそれぞれ5人ずつの募集人数が設定されていますが、化学科、電気科、情報科、物理科は全て合わせても募集人数が5人にとどまるため、これらの科の倍率が高くなっていると考えられます。

倍率(電気)

受験者数 合格者数、入学者数(電気電子コース)
令和4年 5人   3人 2人
令和5年 11人 3人 1人
令和6年 10人 3人 0人
令和7年 9人   3人 未定

受験者数に関係なく、合格者が3人しかいないため、ボーダー制の可能性は低いと言えます。
また、合格者が非常に少ないため、受験者数や受験者のレベルといった運の要素が大きく影響します。
どれだけ努力して勉強しても、結果として不合格になることもあります。

令和4年から令和6年までの電気電子コースの平均倍率は3倍で、情報コースは4倍、物理コースは2.3倍となっています。

また、名古屋大学や名古屋工業大学の滑り止めとして受験されることもあり、入学者が0人となる年もあります。

入学辞退者を除いた実質倍率は電気電子コースが6.67倍で、情報コースは7倍、物理コースは10倍となっているため、十分な注意が必要です。

令和5年度の岐阜大学電気電子情報工学科では、受験者35人に対し合格辞退者が7人、入学者はわずか1人で、実質倍率は28倍となっています。

試験当日

試験は8時30分から教室に入室でき、9時10分になると試験を受ける別の教室に移動するよう指示がありました。服装はほとんどの受験生がスーツを着ていました。

専門試験が終わると、面接控室に移動し、そこで昼食を取ることができました。控室は同じコース(電気電子コース)の受験生のみが使用しており、面接は番号順で行われました。

面接の待機中は、スマホを使うことも許可されていました。試験室や面接控室はどちらも広く、快適な環境でした。

試験について

電気電子コースの点数配分は、数学(100) 英語(100) 電磁気学(75) 電気回路(75) 電子回路(50) 面接(100)となっています

数学の試験は50分間しかないため、年によっては時間が足りなくなる可能性があるため注意が必要です。線形代数では計算力を問う比較的難易度の高い問題が出題されます。

成績開示は、入学後にしかできないため、自己採点です(実際の点数は自己採点より大幅に低い可能性があるため、あまり参考にしないでください…)

数学の試験 7~8割

大門1 3次元行列の問題
(3)の計算が複雑になりましたが、すべての要素を計算しなくていいことに気づき解けました、(4)は時間が足りなくなり解けませんでした。

大門2 定積分の部分積分の問題
(3)の変換まではできましたが、(4)の解法がわかりませんでした。

専門の試験(電磁気学) (部分点があれば)7~8割

大門1 微小立体角dwを用いて金属球殻内の電場を求める問題
初めてみる問題だったので、部分点狙いで解きました。
(3)に関してはわかりませんでした。

大門2 無限長導線の電磁力を求める問題
基礎的な電磁力の問題だったので解けました。

専門の試験(電気回路) 9~10割

大門1 RLC並列回路の電流と電圧の位相差を60度にする条件を求める問題
電気回路演習(上)に載ってた問題なので解けました。
tanの加法定理を用いて解きました。(電気回路演習(上)第2章問題55の類題)

大門2 RC直列回路の過渡現象に関する問題
電気回路演算(下)に載ってた問題なので解けました。
電源が2つあるため計算がやや複雑になります。

専門の試験(電子回路) (部分点があれば)4~5割

大門1 シリコンダイオードのVI特性 電圧の正弦波から電流波形求める問題 (1)は解けましたが、(2)はおそらく間違っています。

大門2 演算増幅器の問題(差動増幅回路)
差動増幅回路を知らなかったため、解き方を間違えました(ただ部分点をもらえた可能性はあります)

電子回路を出題する大学が少ない、配点が少ないという理由で電子回路に勉強の時間を割くのがもったいないと思い、あまり勉強していませんでした。
そのため、あまり点数が高くないです。

英語 TOEIC換算で10割

電子回路ができなかったため、落ちたと思いましたが合格していたため部分点が多かったのかもしれません。

白紙で出すと何も勉強してない人と同じ点数になってしまうため、
わからない問題でもとにかく解答用紙をすべて埋めると考え方が1部だけでも合っていれば、部分点を貰える可能性があると思います。

また、どのように解いたかわかるように適宜文章なども加えて書くようにした方がいいと思います。

面接

面接は3人の面接官による個人面接で、一人当たり約6分程度の時間が割り当てられていました(移動時間を含めると実質5分ほど)。口頭試問はありませんでした。

面接には100点の配点がありますが、たった5分の面接で差がつくとは考えにくいため、成績証明書が見られている可能性があります。

募集要項にも「面接(成績証明書は参考資料とする)」と記載されています。ちなみに、私はGPA3.78でした。

面接で聞かれた内容

志望動機
(研究室を理由にする場合は、可能であれば他大学ではできない内容や、岐阜大でなければいけない理由を述べると高評価だと思います)

卒業研究について
工夫した点は何か(卒業研究の深掘り)
〇〇は得意なのか(卒業研究の深掘り2)

学習面でアピールしたいこと(1分程度で)
〇〇は難しいものなのか(学習面でアピールしたいことの深掘り)

編入試験の出題範囲

数学

岐阜大の数学は、線形代数、微積分学のみで、確率、複素解析、フーリエ変換、ラプラス変換などは出題されません。
過去問を見る限り、偏微分、重積分は出題されていますが、微分方程式は出題されていません。

電磁気学

過去問では、電界、磁界に関する問題がそれぞれ3回ずつ出題されており、電磁力、電磁誘導に関する問題がそれぞれ一回ずつ出題されています。
なお、荷電粒子の運動に関する問題は出題されていません。

電気回路

過去問では、毎年過渡現象に関する問題が出題されています。
交流に関する問題が3回出題されており、そのうちの2回で位相差に関する問題が出題されています。
また、最大値を求める問題が1回出題されています。
相互誘導回路、二端子対回路、多相交流が出題されていないため出題範囲は狭いです。

電子回路

過去問では、演算増幅器、接合型トランジスタに関する問題がそれぞれ3回ずつ出題されており、波形整流、電解効果トランジスタに関する問題がそれぞれ1回出題されています。

使用した参考書など

電磁気学

『大学生の電磁気学』という本がオススメです。
編入試で実際に出た問題のみを学べるため、余分な問題を解かなくていいため効率がいいです。
また、解く価値のある問題がとにかく多いです(個人的には1, 2万払ってでも買う価値があると思います)
86問にもかかわらず、編入試における電磁気学のほぼすべての範囲を網羅でき、この本一冊やっとけば電磁気学は大丈夫なレベルです。
この本は現在売られていませんが高専の図書館などにある可能性はあります。
岐阜大の入試に関しては、問70以降は解かなくてもいいです。
問13~16、49は難しいので解かなくても大丈夫です。

電気回路

電気回路演習(上)は第2章の正弦波交流、第3章のベクトル記号法
電気回路演習(下)は第4章の過渡現象
量が多いですが、岐阜大の入試に関しては上の範囲をやっておけば十分です。

電気回路演習(上) 第2章 正弦波交流で解かなくてもいい問題は、1〜21、26、37、47〜49です。
電流の位相差に関する問題はよく岐阜大学の編入試で出題されます。
この章では難易度の高い問題は少ないと思います。

電気回路演習(上) 第3章 ベクトル記号法で解かなくてもいい問題は、8〜10、15〜18、69、70、74、80〜82、94(難)、99〜103です。
因みに、51、53は少し難しいですが、岐阜大で過去に出題例がある問題です。
最大値を求める問題がメインの章となっています。

電気回路演習(下) 第4章 過渡現象で解かなくてもいい問題は、9(難)、11(複)、17、18(難)、21(複)、22(複)、36(難)、37(複)、41(難)、44(複)、45(複)、58(難)、59(難)、63〜69です。
(難)は難易度が高いため解かなくてもいい問題で、(複)は解こうとすると時間がかかるので読んで理解できれば大丈夫な問題です。
それ以外は試験で出なさそうな問題です。
岐阜大学では、相互誘導回路の問題は出題されていないので解かなくていいかもしれません。

電子回路

豊橋技科大の編入試問題の電子回路と似たような問題が出ます。
解答もあるため、過去問を持っている人はやっておくといいと思います。

数学

編入数学徹底研究で解いたほうがいい章は第1章〜第7章、第9章〜13章です。
編入数学過去問特訓で解いた方がいい章は、第1章〜第2章、第4章〜第6章です。
編入数学は、編入試用の参考書であり、既に解くべき問題が厳選されているため、解かなくていい問題は特にありません。

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