【シリーズ連載】 監禁少年 #1-3
「どこから来たの?」
私は思い切って彼に尋ねる。
彼はやはり何も言わない。
彼に踏み込もうとすればするほど、
彼が遠ざかっていくように感じる。
自分のことを何も話そうとしないのは、
私に触れられたくないだけなのか。
それとも今まで
誰にも触れさせなかったのだろうか。
沈黙の時間が流れる。
「知ってどうする?」
と沈黙を破った彼が虚な目で私を覗き込む。
私は負けじと「そんなに誰にも知られたくない過去でもあるの?」と彼を睨みつける。
その瞬間、
彼は何かを思い出したように
怯えた表情を見せた。
彼は私を支配したがる。
私の全てを彼の手で塞いでおいて、
私は彼のどこにも触れることは出来ないのだ。
でもそれは彼が私より強いからではない。
自分の過去に
自分の1番弱い部分に触れさせないために、
わざと他者を支配しようとする。
私は、「ごめんね」とだけ言い残して外に飛び出した。
自分でもどこに行こうとしているのか、何をしようとしているのか分からなかった。
でもしたいことはただ1つ。
彼の弱い部分を直に握り潰して、
彼を支配すること。
「これ、どういうつもりなの?」
目が覚めた彼はまた無気力な目で私を見る。
でも今度は私を覗き込むことはできない。
私を無力に見上げることしかできないのだ。
だってベッドから動けないんだから。
作家:羅生門の老婆
モデル:たつのすけ
ロゴデザイン:育