【シリーズ連載】 監禁少年 #2-3
2人きりの時間を手にしてしまった私は
自分の所有欲に抑えが効かなくなっていた。
でもそれでもいいと言う自分もいて、
それがなお欲に拍車をかける。
もう、とことこん行けるとこまで…
始めは冗談のように言ったつもりだった。
始めてしまうともう止まらなかった。
束縛とは違う、目に見える独占欲が
彼に絡みつく。
あの頃も最初からこうしたらよかったのだろうか。まだ一緒にいられたのだろうか。
彼を縛りつけながら涙を流していた。
心配そうに「どうしたの?」なんて聞いてくる
その不安な顔の裏には自分がどうかされてしまうんじゃないかって、
私のことなんて二の次で
自分のことしか考えてないくせに。
大丈夫、大丈夫、と彼への問いかけではなく
自分に言い聞かせるようにその場を離れる。
少し待ってて。と
やっぱり彼は私と2人の時間を過ごしても
ちっとも私の物なんかなってない。
言ったじゃない、最初に彼を見た時。
私の中の時計がまた動き出したとき。
歯止めが効かない自分に従うと決めたとき。
持ってるものは全部使うって。
水、いる?と言うと「もう大丈夫なの?」
と彼が水を取りながら言う。
ようやく、私のものになったと
喜びが止まらなかった。
このまま壊してしまいたいとさえ思った。
涙が止まらなかった。
あなたのものになりたかった、いつも。
ずっと。
私のものにすることしかできなかった。
でも、もうこれでいいと思ってしまった。
酷く冷静な自分がいた。
車に乗せてしばらく運転しても
彼はまだ私の物だった。この時までは。
彼はまだ起きない。
クラゲが、透き通っていた。
作家:かみさま
モデル:ミシェル
ロゴデザイン:育