【シリーズ連載】 監禁少年 #1-2
目が覚めてふと目に入ったのは
彫刻のような繊細な鼻筋だった。
私はこの得体の知れない、
触ったら壊れてしまいそうな彫刻と
一夜を共にしてしまったのだ。
彼は最初から私と共存しているかのように
窓際でコーヒーを飲む。
私の視線に気がつくと、
穏やかな薄ら笑いを少し浮かべて
「飲む?」と私に首を傾げた。
聞きたいことが沢山あった。
昨夜のことも、彼の全ても。
けれど私は彼の波長に合わせ、
この空間の中でただ彼を見ていた。
私は2人分の朝食を作り彼の元へ戻る。
彼はまた憂鬱げにベッドに沈み、
スマホをいじりながら
「お腹空いてない。」と一言。
「ごめん。」
テーブルに朝食を置きベッドに戻ると
彼の手がそっと伸び、私の頬を侵食した。
私は日差しに責められているようで、
カーテンを素早く閉めて
彼と共にまたベッドに沈んだ。
彼の細い指先と、冷たい目
強引に押さえつけられている腕の痛みが
私という肉体も
誰にも知られていない心も
全て彼の手の内だと私に教えた。
作家:羅生門の老婆
モデル:たつのすけ
ロゴデザイン:育