海外の設備設計事務所
海外にどんな設備系の設計事務所・エンジニアリング企業があるのか転職時に少し調べた。検索すると色々なランキングが出てくる。そのうち業種別ランキングを3つ(Design Firm, MEP Engineering Firm, Architecture Firm)下記に載せたが、その分類は曖昧。また、総合して明確に順位付けができたわけではない。ただ業界の主要プレーヤーは何となく把握できた。
・Design Firm
構造、設備、ファサード等のエンジニアリング、コンサルティングが主で、意匠設計グループは無いかあっても大きくない。一つの建築の設計をまるまる請け負う組織設計事務所と異なり、部分的に関わる(建築家と組んで上記エンジニアリングを提供する)ことが多い。
次表はENRが毎年発表しているランキングで2018年度売上(revenue)に基づいた2019年7月発表のものから、国内外(Global)ランキングの50位までを抜粋したもの。FIRM TYPEは自己申告(欄外に凡例記載)。施工も請け負う企業がいくつか含まれているが、あくまでrevenue for design servicesでの比較。INT'Lは国外(International)の売上。MARKETは部門ごとの売上割合を示し、最も高い割合が赤文字。COUNTRYの色付けはただ個人的にアリな国。
上述の"Design Firm"の解釈に反し、Genslerなど純建築設計事務所も少し入っている。ほかに聞いたことがあったのはJACOBS、AECOM、BECHTELくらい。BECHTELが入っているなら日本のゼネコンが入っていても良いと思うのだが、日本トップは49位の日本工営。知らない。Atkinsが入っていないと思ったら、9位のSNC-Lavalin Inc.が2017年に買収したよう。WSP、DLRは現職で他社設計図面としてたまに目にする。同じく目にするシンガポールのMeinhardtは100位。
興味があるのは建築なのでGeneral Buildingの売上高で並び替えたのが次表。
ARUPはそれでも12位。基本的に企業の規模と技術力は比例すると思っていて、より上位の企業の方が技術力が高い可能性はある。一方で今のグループにはAECOMから転職してきた人が数人いて、そのあたりの優劣はこのランキングからは判断できない。
右側2列は個人的に調べて追加した項目なのであくまで参考程度に。
ちゃんとした企業はAnnual Reportを発行していて、従業員数も一の位まで示しているが、概数しか載せてなかったり、そもそもAnnual Reportがなかったりする企業は個人的にあまり信用できない。施工部門があると跳ね上がるので従業員数だけを見て何か判断することは難しいが、これも技術力、特にDXとは相関関係がある(開発コストに対して従業員数が多いほど導入メリットが大きいのでDXを進めやすい)と思っている。
Annual Reportから収益や平均年収のランキングも作成可能だが面倒なのでやっていない。
Twitterのフォロワー数は一般的な知名度、人気度の目安になるかもしれないと思い追加。フォロワー数で並べ替えたのが次表。ARUPはその実力はさておき、ブランディングがうまい企業ではある。
・MEP (Mechanical, Electrical and Plumbing) Engineering Firm
設備設計事務所の世界ランキングは見つからず、下記は米国内の設備設計売上ランキングから50位までを抜粋したもの。Design Firmのランキングに出てきた企業名は色付けした。
本社が米国内か否かで売上高の桁が違うが、多少は参考になる。上位は前述のDesign Firmの大企業が競っていて、設備設計のみの事務所は少ない。
・Architecture Firm
WA100が発表しているランキングは建築設計事務所の建築士数によるもの。Design Firmのランキングに出てきた企業名は色付けした。設備設計部の有無がわからないので調べて一番右の列を追加した。
各国の建築士資格の難易度は異なるのでこの表も参考程度。漏れている企業もあるだろう。ぱっと浮かぶところではSOMが入っていないし、有資格者数なら日建よりスーゼネ5社の方がずっと多い。
色付けした企業以外で気になったのは30位のBDP。英国では2番目に建築士が多い事務所のよう。
働いているうちに力関係が分かってきたらまた何か書くかもしれない。