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「薬師丸ひろ子、Concert Tour 2024 〜きみとわたしのうた〜」 2024年11月28日 札幌文化芸術劇場 hitaru 

初恋の人に、ついに再会した夜

中学生のころ、僕にはひそかな憧れの人がいました。それが薬師丸ひろ子さんです。当時の僕は恥ずかしがり屋で、友人に「薬師丸ひろ子が好きだ」と打ち明ける勇気もなく、ただテレビや映画の中の彼女を見つめるばかりでした。心の中だけでこっそりファンでいる自分が少し切なく、それでもどこか幸せだったのを覚えています。

それから数十年が過ぎ、ある日、購入したイヤホンで試聴をしようとしたとき、彼女の透き通るハイトーンボイスが脳裏によみがえりました。早速「Wの悲劇 ~Woman~」を再生すると、イントロが流れ始め、彼女の声を聴いた瞬間、鳥肌が立ちました。「なんて美しい声なんだろう」と改めて感動しました。

それ以来、彼女の新旧の楽曲を聴き漁り、「ぜひ一度、生の歌声を聴きたい」と思うようになりました。

チケット争奪戦を突破して

2023年、札幌で彼女がコンサートを開催すると知り、どうしても行きたいと思った僕はすぐにチケットを取ろうとしました。しかし、人気のあまり瞬く間にソールドアウト。今年は気合いを入れて早めにチケットを確保し、半年間待ち続けた末、ついに彼女に会える日がやってきました。  


積み重ねた時間の重みを感じて

ステージに現れた薬師丸さんは、美しいドレスをまとい、当時と変わらぬ優しさと品格を漂わせつつも、年を重ねた深みがその歌声に宿っていました。

彼女がこれまで歩んできた道、そして支えてくれた人々への感謝を語るトークは、大物アーティストであり大俳優でもある彼女ならではの、重厚で濃密なものでした。僕自身も同じだけ年を重ねたつもりでしたが、彼女の人生の深さに圧倒され、思わず心を打たれました。

そのトーク一つひとつが彼女の歌に繋がり、聴く者すべてをその世界へと引き込む力を持っていました。

圧倒的な歌声と忘れられぬ時間

圧倒的な歌唱力。この一言では語り尽くせないほどの、素晴らしい歌声でした。広い音域と力強い声量は、とても僕より年上とは思えないほどで、心を揺さぶられるものがありました。

トークも多く、時折水を飲みながら観客全員に語りかける彼女の姿には親しみが感じられました。思わず「そんなにしゃべって、歌は大丈夫だろうか」と余計な心配をしてしまいましたが、そこはさすがプロフェッショナル。歌になると一転、圧倒的なパフォーマンスで観客を魅了してくれました。

懐かしさと新鮮さが共存する彼女の歌声は、会場全体を包み込み、すべての観客を魅了しました。また、チャーミングでユーモアあふれるトークが会場を温かな雰囲気にし、終始、心から感動する時間となりました。

日々のストレスや悩みが、あの2時間だけはすべて消え去り、心が洗われるような体験でした。彼女の歌声とその存在は、あのころの自分と今の自分をそっとつなぎ合わせてくれる、特別なものだったと感じています。  

最後に

薬師丸ひろ子さんのコンサートは、過去の自分に戻る時間であり、未来への力をもらえるひとときでした。これからも彼女の歌声と共に、自分の人生を少しでも豊かにしていきたい。そう強く感じた夜でした。

今回のコンサートツアーは、このあと一つ残していることもあり、セットリストやMCの内容は伏せました。今後、ご紹介できるタイミングがあれば、紹介したいと思います。




2024/12/4追記 セットリスト振り返り

本日、埼玉の大宮ソニックシティで千穐楽を迎えました。それに合わせて、セットリストとともに少し振り返りを加えました。

1st Stage
メイン・テーマ
瞳で話して
今日
水色星座
きみの月光
未完成
かぐやの里

2nd Stage
きみとわたしのうた
<スペシャルメドレー>
 ユーレイズミーアップ〜祈りバージョン〜
 追憶
 ムーン・リバー
 平凡
 今日が始まるなら


探偵物語
Woman“Wの悲劇”より
セーラー服と機関銃

Encore
時代
時の道標
戦士の休息

公式より

2~3曲ごとに、薬師丸さんのトーク(MC)が入りました。レコーディング当時のエピソードを交えながら、丁寧に曲を紹介してくださり、曲の作者へのリスペクトが伝わってきました。一つ一つの作品をとても大切にし、その思いを私たちにしっかりと届けてくれる姿が印象的でした。

また、自作の歌詞がある曲では、その曲に込めた思いも語ってくださり、深く心に響きました。

トークの中で登場するミュージシャンや俳優については、先に触れましたが、中島みゆきさん、大滝詠一さん、高倉健さんなど、まさに大物ぞろいです。さらに、中田喜直さんの作品「夏の思い出」「小さい秋」「雪の降るまちを」をアカペラで披露され、その歌唱力にとても感動しました。

コンサート終了後、バックバンドが退場した後も、薬師丸さんは最後までステージに残り、客席に手を振りながら、高倉健さんとの思い出を語ってくださいました。そして、アカペラで「戦士の休息」を歌い上げる姿は、心に残る感動的な締めくくりでした。

本当に素晴らしい。まさに、そのひと言に尽きます。


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