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ユングを詠む_(017)『タイプ論』からMBTI®︎へ(2)

『タイプ論』から『MBTI®︎』へ(2)

1.     イントロ

『ユングを詠む_(016)『タイプ論』からMBTI®︎へ』では、CGユングが提唱した心理学的タイプの3つの次元について紹介した。

MBTI(The Myeers-Briggs Type Indicator)®︎では、4つ目の次元として、外界への対処のタイプ「判断(Judgement)⇔知覚(Perception)」という次元が追加される。

その説明を追加する。

それから、MBTI®︎は、Myers & Briggs Foundation, Inc. In the Unites States and other countriesの登録商標。

2.     あらためてタイプとは

タイプの説明では、参考文献[4]がわかりやすかったのでこれに沿って私なりに理解した形で前回『ユングを詠む_(016)『タイプ論』からMBTI®︎へ』で書いた。
 
 一人一人の心理学的タイプは、一般的態度と心的機能の2つの側面からなるとユングは20年に及ぶ臨床経験から見出した。
 
一般的態度;「外向(E; Extraversion)⇔内向(I; Introversion)」
心的機能;「感覚(S; Sensation)⇔直観(N; iNtution)」
                  「思考(T; Thinking)⇔感情(F; Feeling)」
    
この3つの次元にさらに外界への対処のタイプ「判断(Judgement)⇔知覚(Perception)」という次元がMBTI(The Myeers-Briggs Type Indicator)®︎追加された。

MBTI(The Myeers-Briggs Type Indicator)®︎は、Katharine BriggsとIsabel Briggs Myers母娘がこんな課題を解決しようとしてCGユングの「タイプ論」と出会い、研究した成果として生み出された。

一人一人の持つ心の固有の強みを十分に発揮したいない状態を目のあたりにしたことがきっかけとなり、Myersは性格タイプの考え方や人と人との相違を肯定的に捉える考え方をたくさんの人に役立ててもらうと、MBTI®︎の開発に着手したのです。

[1]p5

2.1判断的態度(J; Judgement)

例えば旅に出るときに一分一秒でも細かく計画を立てておかないと気が済まないような人いますね。仕事においてもスケジュール表に空きがあるのが気になって仕方がない人を私も知っている(付き合うの嫌な人)。そんな態度。

自分の周囲にある物事をまず調整したり統制しようとし、計画や秩序に基づいて行動することを好みます。
何がしかの判断を下だし、一つのことに決着をつけてから次のことに着手します。
また、物事を体系立てて行い、周囲をきちんと整理された状態で生活する方が楽と感じます。
計画やスケジュールに沿って行動し、いったん決めたことをやり遂げることでエネルギーを得ます。

[1]p10

判断的態度を指向する人の特徴はこんなものだ。

・スケジュールに沿って行動する
・想定内で整理された生活を好む
・規律正しい
・どちらかというと几帳面
・短期的もしくは長期的な計画を立てる
・決着をつけることを好む
・最後に慌ててやることを避ける

注)判断的態度は「断定的」とは違います。

[1]p10

2.2知覚的態度(P; Perception)

緻密に計画作っておいたってお客さんの都合やら、お天気やらでどうせ変わっちゃでしょ、大雑把に行こうよって態度が近い気がする。近年の私はこちら。

自分の周囲にある物事は、それはそれとして捉えたまま、できるだけ制約を受けずに柔軟に行動することを好みます。
詳細な計画や最終決定はある種の束縛ととらえ、最終的な決断は最後の最後まで待つことで、新しい情報やオプションを見ながら、臨機応変に生活する方が楽と感じます。
その場その場での求めに応じて対処しながら進めていくことでエネルギーを得ます。

[1]p10

知覚的態度を指向する人の特徴はこんな感じ。

・状況に応じて行動する
・どちらかというと柔軟な
・格式ばらない
・制約にとらわれない
・まずは状況を見ながら進め方を変える
・結論や結果に変更の余地を残しておく
・最後に一気にやるときにドライブがかかる

[1]p10

2.3 どのように外界と接することを好むか(生活やライフスタイルのあり方);「判断(Judgement)⇔知覚(Perception)」の追加説明

オリジナルのユングの「タイプ論」にはない心的機能なので注意点があるようだ。

MBTIのJ-Pは外界への対処スタイルのことを指し、外向性の意味が付与されているが、ユングのタイプ論では判断や知覚は外向性と関わるものとは限らず、内向思考や内向感情であっても判断機能があるし、内向感覚や内向直感であっても知覚機能である。こうしたようにMBTIのJ-Pの定義はユング理論と異なるから、ガーデン(Garden, A-M 1991)は、MBTIが「マイヤーズとブリックスのタイプ論」に基づいた尺度である点、ユングの概念と区別して理解する必要があると述べている。

[4]

ユングも「タイプ論」で著した3つの次元以外にも尺度はあると書いているが無闇に尺度を増やさなくても3つで十分としている。

だが、「判断(Judgement)⇔知覚(Perception)」を追加することで、”ユングのコンパス”とか”こころの羅針盤”の説明。タイプダイナミクスにおける主機能、補助機能、第3機能、劣等機能の見極めがやりやすくなる特徴がある。

これは次回以降に紹介したい。

3.前回の繰り返し(再掲)

前回『ユングを詠む_(016)『タイプ論』からMBTI®︎へ』での説明を再掲しておく。

いきなり定義の中に“リビドー”という言葉が出てくる。これ、避けて通れないことばかかな。特にフロイトの“リビドー”より広い意味で使っている。

“心的エネルギー”とユングは定義している。自分のメモのために文末にユングの詳細な定義を書いておくが、心的エネルギーでいいでしょう。エネルギーは高校物理で習うエネルギーと同じ。私は心が実装されている神経組織を動かすエネルギーと解釈する。

(腹が立ったり悲しかったりすれば心的エネルギーが大量に使われて疲れる。とか、美しいものを見て興奮して心的エネルギーが使われたってイメージになるだろう。)

3.2.1一般的態度;「外向(E; Extraversion)」

「リビドーが外へ向かうことを意味する。主体が公然と客体に関係していること、すなわち主体の関心が積極的に客体に向けられていることを表す。(中略)したがって外向とはいわば関心が主体から客体に移ることである」

主体とは何か説明を見つけられなかったが、観察者のことだろう。厳密にいうと議論になりそうだが“私”と思っておく。客体は被観察者のことだろう。人で間違いないと思うが読んでいると人以外の対象、他の生物も含まれるように読めるところもある。
 
主体の心的エネルギーが自分の外に向けられていることを外向は意味する。また、自分とは何か定義大変。特に自我とか自己についてユングは使い分けている。とりあえず普通の意味で自分としておく。
 
主観的要因が客体に投影し外在化している状態であって、単なる社交性とか活動性とは異なるとのこと。参考文献[4] ユングのタイプ論に関する研究p4
 

3.2.2一般的態度;「内向(I; Introversion)」


外向(Extraversion)に対応するのが、内向(Introversion)。

 「リビドーが内に向かうことである。これは主体が客体に対して消極的な関係を持っていることを表している。関心が客体に向かわずに、客体から主体へ引き戻されるのである」

主体の心的エネルギーが自分の内に向いていることを意味する。主体が外の客観的要因を引き金にその内容を咀嚼したり解釈したりして取り込むことのようで、自閉症とか非社会的とは異なるもの。参考文献[4] ユングのタイプ論に関する研究p5
 
一般的態度の定義の段階だが、ユングの特徴のあるコンセプトは必ずタイプを対にしていることにある。「外向(E; Extraversion)⇔内向(I; Introversion)」、「感覚(S; Sensation)⇔直観(N; iNtution)」、「思考(T; Thinking)⇔感情(F; Feeling)」といった具合だ。
 
これは、補償(Kompensation)という概念による。私は、ようは心のバランサー。一対になった態度または機能間で相手の短所をカバーすること解釈した。
 
正常な状態では補償は無意識的であって、意識の活動を無意識的に制御してくれているという。[2]p480

3.2.3心的機能;「感覚(S; Sensation)」

「五感による感覚、すなわち感覚器官や身体感覚(運動感覚や脈拍感覚など)による知覚」

目、鼻、口、耳、肌などの感覚器官からやってくる情報のこと。日本語で感覚というと感情とか気持ちとかが混じってしまうが、ここでは純粋に神経信号のことと捉える。ただしその神経信号も主体の中で変質してしまうこともあり得る。例えば色弱があるとか視神経に疾患があれば多くの人とは違った感覚を受け取ることになる。

3.2.4心的機能;「直観(N; iNtution)」

「知覚を無意識的な方法によって伝える心的機能」

閃いたとか、降りてきたとか、ビジョンが見えたとかいった類のものもこれに入るだろう。

「直感はより大きな可能性を捉えようとする」

という。

そして、直感は前述の“感覚”と補償関係にあるとユングは記している。
 
ステファン・メルケルバッハ氏のソース理論ではこの心的機能“直感(intuition)が重要な資質の一つであると説明していた。それは、ユングによれば、

「直感はより大きな可能性を捉えようとする」

からだ。その伸ばし方についてはまたの機会に書いてみたい。

3.2.5心的機能;「思考(T; Thinking)」

「それ固有の法則に即して、与えられた表象内容を(概念的に)関連付ける心的機能」

これについては説明する必要はあまりなかろう。最も客観的に意識内容を整理・分析・評価・判断する機能のことだ。

3.2.6心的機能;「感情(F; Feeling)」

「自我と与えられた内容との間に生じる活動であり、しかもその内容に対して受け容れるか拒むか(「快」か「不快」か)という意味で、一定の価値を付与する活動」

ユングは、感情も一種の判断と見做している。
 
自我という言葉が入っている。ユングは自我と自己をしっかり分けて使っている。次回、ユングの定義を整理したい。
(私の解釈では、たった今、自分が意識している狭い範囲での自分とイメージ。CPUと演算に使っているデータといったらわかるだろうか。自己というといつでも取り出して意識下に持って来られる記憶などを含む自分とでもいいたらいいか。SDDとかHDDにデータが入っているような感じ。)
 
感情と激情は区別すると説明されている。激情とは感情の強さが高まった神経性身体現象(表情が変わったり顔色が変わったりとかだろう)を伴った状態。
 
思考が意識内容を概念によって整理するように、感情は意識内容をその価値(受け容れるか否かの判断という意味で)に即して整理する。
 
感情と思考は、互いに共通項のない範疇に属しているとされる。感情を概念で説明することはできないとしている。

今回はここまで。
 
次回は、タイプ論の続きの予定。
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参考文献[1] MBTIタイプ入門(第6版)https://amzn.asia/d/gYIF9uL
 
参考文献[2] MBTIタイプ入門 タイプダイナミクスとタイプ発達編https://amzn.asia/d/70n8tG2
 
参考文献[3] 『タイプ論』https://amzn.asia/d/2t5symt
 
参考文献[4] ユングのタイプ論に関する研究: 「こころの羅針盤」としての現代的意義 (箱庭療法学モノグラフ第21巻) https://amzn.asia/d/aAROzTI
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長い会社生活では、判断的(Judgement)な態度
・スケジュールに沿って行動する
・想定内で整理された生活を好む
・規律正しい
・どちらかというと几帳面n
・短期的もしくは長期的な計画を立てる
・決着をつけることを好む
・最後に慌ててやることを避ける
を求められたがこれは自分にはあってなかった。

VUCAの世の中では、知覚的(Perception)な態度、
・状況に応じて行動する
・どちらかというと柔軟な
・格式ばらない
・制約にとらわれない
・まずは状況を見ながら進め方を変える
・結論や結果に変更の余地を残しておく
・最後に一気にやるときにドライブがかかる
があっている。自分はこれからの時代にあっていると力づけられる。

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こころざし創研 代表
ティール・コーチ 小河節生
E-mail: info@teal-coach.com
URL: 工事中
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