忍者、事務職はじめました Vol.12 最終回
「おはようございます、社長さん」
「・・・」
「あ、おはようございます、社長さん・・・?」
「えぇと、君は、どなたでしょうか?」
「え?私ですよ、ハヤクジですよ!」
「・・・!?え?ちょっと待って、君、ハヤクジさん?」
「はい、そうに決まっているじゃないですか」
「だって君、2年半前に突然無断欠勤になったから、もう解雇してますよ」
「え?カイコってどういう意味ですか?」
「単刀直入に言うと、もう我が社の社員ではなくなったということですよ」
「え?なぜですか?」
「だって、ハヤクジさん、あなた、2年半前に歓迎会をやって、その次の日から突然会社に来なくなったじゃないですか。何度も連絡しようと思ったのですが、連絡先がわからないし、家を訪ねても、家らしき建物はないし、それでやむを得ず解雇処分とさせていただきました。もう、出社しなくても大丈夫ですよ」
「え?歓迎会って、昨日やったばかりじゃないですか?何を言っているんですか、社長さん。確かに私、少し酔いました。二日酔いでした。でも、ようやく酔いが覚めたから出社したんですよ」
「ハヤクジさん、酔いが覚めるまで2年半経ってますよ、ありえませんよ、普通に考えて・・・」
「そういうこともあるでしょう。それをありえないだなんて大げさなんですね。その冗談、笑えませんよ、社長さん」
「いや、ハヤクジさん、君のほうが笑えませんよ、怖いですよ、えぇ、とても怖いです」
こうして私は、突然職を失ったのです。
会社というのは忍者に厳しいのですね。
でも、これも修行のうちなのだなと考え、新たな事務職探しの旅へと出発したのでした。
知ってるでしょう?
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