真実の盗撮事件簿 十二 犯人逮捕
私達が署名運動を展開している中、突然のニュースが飛び込んできた。それは、和歌山を舞台として盗撮を繰り返していた盗撮犯が逮捕されたというニュースだった。
2002年10月10日、突然、寝ていた私の耳元で鳴る携帯と事務所の電話で飛び起きた。
枕本に置いていた携帯を手にすると友人のMからの着信だったので電話を取り、「少し待って」と言って事務所の電話を取ると協力者の方からの電話だった。「平松さん、朝早くからすいません。
まだ今日の新聞を見てないですよね」「新聞?まだ見てないけど・・・」「盗撮犯人、捕まっていますよ」「なに新聞ですか?」「うちは朝日とスポニチです。」一旦その方の電話を切って、Mからの電話に持ち替え、「盗撮犯人が捕まったの?」と聞くと、「寝ている場合と違うぞ!記事で和歌山の人間が捕まって大阪や和歌山で盗撮を繰り返していたらしいぞ」私は急いで服を着替え近くのコンビ二に向かった。
「盗撮犯逮捕!!九千万円の荒稼ぎ!」
平成十四年十月十日(木曜日)朝日新聞より抜粋
「妻、盗撮された。AVに脱衣所・夫警察へ」公衆浴場で女性の脱衣シーンを盗撮したとして、大阪府警は九日、和歌山市内の男女を建造物侵入容疑で逮捕した、と発表した。大阪府内の男性が、レンタルビデオ店で自分の妻の着替え姿が映ったアダルトビデオを見つけ、府警に相談。府警がビデオの卸業者などを捜査して、撮影者を割り出したという。逮捕されたのは、和歌山市粟アダルトビデオ編集業、A(四十才)同市木の本飲食店従業員、О(三三才)の両容疑者=いずれも建造物侵入罪で同日起訴。
調べでは、二人は公衆浴場で撮影したビデオを販売しようと計画。
昨年三月頃О容疑者が盗撮目的で大阪市内の公衆浴場に客を装って入った疑い。
供述では二人は、一昨年から大阪府内や和歌山県内の公衆浴場で盗撮を始めО容疑者が小さな穴から撮影できる特殊レンズ付ビデオカメラをタオルなどに隠して持ち込み、女性の着替えを撮影。A容疑者は、卸業者に120分のビデオテープを一本七~八万円で売りО容疑者に一本につき三万円の報酬を支払ったという。
卸業者が代金を振込んでいた銀行の架空口座には、昨年一月から今年九月までに千数百本分に相当する、約九千万円が支払われていたという。О容疑者は「私が撮影したのは約六十本と供述。」府警はA容疑者が他にも複数の女性を雇っていたとみている。
記事を見た時、私は本当に嬉しかった。
「私達が苦労を重ね調査し告発した善良な探偵」に対し、「悪徳業者のレッテルを貼った県警」にこれで胸を張って抗議が出来る。
私は協力者の方に電話し、盗撮犯逮捕の一報を報告し「心からの感謝の言葉と今まで以上に胸を張って活動をして行きますので宜しくお願いします。」と電話をかけ、それと私達を盗撮犯にでっち上げた和歌山県警に対し一つのケジメをつける事にした。
そのことを田中議員に相談したところ「事実を明確にするためにはいいだろう」との話から、和歌山県警に抗議をすることにした。
和歌山県警がした行為は、盗撮犯罪を闇に握りつぶしただけではなく、被害の状況を調査し告発した善良な探偵を盗撮犯に仕立て上げ、悪徳探偵のレッテルを貼った…
これら事実は消すことは出来ない。
そして「県警の誰が、何を指示したのか」その「真意」を問う権利は私にはある。
県民を裏切り、盗撮犯罪を増大させた罪は大きい。
私は、怒り狂う心を落ち着かせ、和歌山県警生活本部へ平松総合調査事務所として何度も電話をかけ担当者に面会を求めたが、「担当者不在」を理由に電話を切られるだけだった。
その為、市会議員として公式に面会を申し入れた途端、県警は渋々私達との面会を了承したのだった。
私自身、一度破綻した和歌山県警への不信感は強く丸腰で行く気はなかった。
「私には、私を応援してくれた人々のためにも、真実を立証する必要がある。」との考えから、県警との話し合いの様子を記録する。
そしてもう一つ、盗撮犯罪を安易に考え握りつぶした警察の実態を正当な行為で撮影し、その脅威を知らしめたいという思いもあった。相手は公務員であり、公務中の面会であり、「事実を保全する為の行為である」ことを弁護士に確認したうえで同行させる新人の調査員にカメラ機材を仕込んだバックを持たせ、田中議員を先頭に和歌山県警を訪れたのだった。
私達の対応に現れたのは、和歌山県警生活安全企画部・生活安全企画課ストーカー対策室室長警視の天池勇二と警部の室谷隆志という立派な肩書きの方達であった。(※役職は当時のものである)私は、大阪府警が検挙した盗撮事件の新聞記事のコピーを怒りで震える手を押さえて見せた。
「この記事について、ご覧になられましたか?」と伺うと天池警視は記事を手に取り「これが何か」と答えた。
(こいつ、過去の経緯についてなんも知らんのか?)
そんな思いから、以前和歌山県警に対し盗撮の実態について当時調べた結果として、製作会社・撮影犯・入金口座・盗撮場所等の情報を元に、告発した件について説明した後、「和歌山県警は、私の告発後盗撮の事実について捜査したのか?」と聞くと無言のまま私を見つめ「答える必要はない。」とのことだったが、捜査していないのは明確だったから「なぜ捜査しなかったのか?」などの質問をしてみても、的を得ない言い訳をするばかりだった。それと私はもう一点気になっていた。 不自然に落ち着かない天池警視の目の動きだ。それに加え体裁のいい呆けた返答に、私の怒りは段々と頂点に達してきていた。私は本来の目的の一つである「誰が私達を悪徳探偵に見立てて企業に対し偽りを事実に見せかけ企業に回るよう所轄に指示をしたのか」という質問を突きつけた。
その質問に対し、天池警視は「私が指示した」という余りにも馬鹿げた返答に拍子抜けしたのだった。
天池警視は「私は平松さんが悪徳探偵といったことはない。そういう話もあるから気をつけるようにと指示をしたのである。」と、馬鹿げた言い訳をしたのだった。私は天池警視に対し「警察は盗撮被害現場である企業に対し、「近日中にその探偵を逮捕する」という話を言ったのではないか!」と強く問い詰めたが、無言のまま黙り込むだけで一向に話が進まない。
その時、調査員が天池警視の顔を写そうとして鞄に仕込んだカメラを向けた瞬間、カメラが見つかったことからこれ見よがしに天池警視は「それだから信頼関係が保てないのだ。」と言った。
その言葉に対し、「ふざけるな!信頼関係がないのは同じなのだよ!」と捲くし立てた。
一瞬にして張りつめていた私の気持ちは吹き飛び、相手とのやりとりの状況に田中議員は「ヤバイ」と思ったのか、私を制止しその場を繕って下さった。後々にも、この時の状況は全く覚えていなかった。
私の頭の中は、企業に事実を隠蔽してまで「何を隠したかったのか?」「本当にこれでいいのか和歌山県警!」という怒りと飽きれて話にならない。こんなお粗末な相手からの状態のまま、私達は県警を後にした。
この当時のやり取りは、すべてビデオテープにて録画し記録してある。悪質な盗撮犯の手下と成り下がった和歌山県警が、いつ別件の名のもとで奪い返しに来るか分らないから、何本かダビングし今も保管している。
このビデオが公的な場所に出る日がない事を願っているのは、きっと馬鹿な対応をした天池警視本人だろう。
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