真実の盗撮事件簿 二十二 二〇〇七年懲りない白浜町の盗撮

 愛知県在中の某氏より連絡が入ったのは、10月初旬だった。「平松さん、今回の和歌山ACの2007年度版「合宿風呂」なんだけど、過去の合宿とはかなり違うよ。

 それと平松さんが見らたかなり激怒だと思うけどね。」という電話がかかってきた。私が激怒する?大体の内容は想定できたが、「とにかく送ってほしい」と伝えた。

 その翌日、代引きで私の所に着いたのは15枚のDVDだった。私は早速DVDプレイヤーで再生することにしたが、スタートした途端、その撮影場所が分かったのはいうまでもない。撮影場所は、あの明言「人権を配慮して告発しない」と言った町営温泉、白浜町の「白良湯」と「牟婁の湯」の脱衣場だった。

 また今回は、あの狭い場所で追い撮りしている。また前回の週刊文春掲載後、白浜町がした対策である警告掲示板も映像に映っているのを確認した。やはり私が全国盗撮犯罪被害対策室の徒然で[直平2] 予言したとおり、盗撮され販売されているではないか。開いた口が塞がらない。さらに「和歌山AC2006夏脱衣所シリーズ」の告知リーフレットにこうも書かれていた。

  ウチのファンの皆様方には今年は『合宿』はできないという事でとても残念な思いをさせてしまいました。
申し訳ございません。ウチの『合宿シリーズ』の場所についていろいろいう人がありまして念のために・・・
今年は残念した訳であります。その変わり急きょ場所を探し作ったのがこのシリーズです。 
 本当に、これでは何にもならないじゃないか。
白浜町から大阪市内に場所を変え、同じ様に盗撮をされているのだから。

 ※この盗撮の撮影場所は、大阪市内にある大手企業が運営する施設の脱衣所が盗撮現場である。 
 そんな思いと共に、「あの時、白浜町が本気で告発し対応していたならこんな事にはならなかった。」ただただ、悔しい。

 私は「2007年合宿」のDVDを見て映像をキャプションしながら、多くの幼児・小中高生、そして和歌山県を選んで来てくれた観光客の方に自分の無力さを感じた。
 「なんとかしたい。これが2007年に盗撮された映像だという証拠がどこかにないか。」そんな時目に止まったのがカレンダーだった。

  今度こそ、和歌山ACを叩き潰す!そして前回ふざけた対応をした白浜町と和歌山県警に責任を追及するぞ。

 そんな思いとともに、以前に文春で掲載したときに取り付けられた中途半端な警告看板などを映像から取り出し、資料として黒木氏に送った。彼のこの時の対応は早く、週刊朝日編集部の山口編集長に連絡を入れて施設に取材許可を取り、すぐ私に連絡をくれた。

 その連絡をもらった時、電話口で黒木氏は、「平松さん、画像を確認しました。これで撮影時期も明らかに特定できる。前回の対応の粗悪さからして、今回は徹底的に行きますか!!」という心強い返事だった。

 インターネット通話を使用して解析データを送っていたが、私は関西と関東の距離を感じない打ち合わせを繰り返した。結果「和歌山AC2007」は盗撮だけではなく、児童ポルノに該当する商品だというコンセプトを強く打ち出して取材することになった。先般の国会で決定した児童ポルノについて、少し抜粋して解説する。

 第一条(目的)児童に対する性的搾取及び性的虐待が児童の権利を著しく侵害することの重大性にかんがみ、児童買春、児童ポルノに係る行為等を処罰するとともに、これらの行為等により心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置等を定めることにより、児童の権利の擁護に資することを目的とされている。

 第二条(定義)この法律において「児童」とは、十八歳に満たない者をいう。2この法律において「児童買春」とは、次の各号に掲げる者に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をすることをいう。3この法律において「児童ポルノ」とは、写真、ビデオテープその他の物であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。三衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写したもの罰則(児童ポルノ頒布等)

 第七条児童ポルノを頒布し、販売し、業として貸与し、又は公然と陳列した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する2。前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。3第一項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを外国に輸入し、又は外国から輸出した日本国民も、同項と同様とする。

 さて法文を抜粋して掲載したが、私達が着目した点は、和歌山ACの作品のどれを見ても児童が含まれているので児童ポルノに該当する点と、それらのすべてにおいて一切モザイク処理がされていない点である。
 つまり和歌山ACは、18歳未満の児童が描写されていることを知りながら、性的指向者に対し、興奮させる目的を持って頒布させている。これで警察が動かないのは怠慢以外の何者でもない。

 「これは盗撮犯罪撲滅に王手をかける衝撃的な一撃になるだろう。」そんな思いを持ちながら、今回の取材がスタートした。

 白浜町の盗撮については、過去何度も現場に出向き、常に監視体制に近い対応をしてきた。行政の「何もしない・世間体だけ」という対応を、胸くそ悪いほど見てきた。

 毅然とした対応を望んでいたが、その期待は裏切られ続けてきた。だから、監視の目だけは外したくなかったのは確かだ。そんなことを思いながら、私は調査報告を黒木氏に送った。 
 白浜町への取材は、週刊朝日取材班として小宮山氏と黒木さんが行った。
 私から黒木氏に送った資料は、先のとおりキャプション資料と過去資料だけで、それ以外の資料はなかったが、黒木氏も過去何度も白浜町に入っているだけに、深い説明は必要なかった。
 唯一、私が黒木氏にお願いした、質問事項は、次の三点だけだった。
一、前回、警告板を三度に渡って書き直したのはなぜか?
二、盗撮犯罪についてどの様な防止策を行ったのか。
三、今回の盗撮DVDが発売されたことについてどの様な責任を取るのか。
 このことについては、紙面にて白浜町から回答を頂いた。

 週刊朝日十一月二十三号より抜粋
私は、本誌6年1月20日号でも指摘したが、この白浜町の温泉施設では、過去に2千人もの女性が盗撮被害に遭っていた。
にもかかわらず、今回、再び大量の被害者をだしてしまった。
当時、私の取材に対して立谷誠一・白浜町長は、白浜町は家族連れのお客様に安心して来てもらえる健全な街づくりを目指しているので、事実なら、検討して対処致します。とコメント。
温泉施設を運営する町企画観光課(当時)も「被害届けは出さない。映されている人の人権を考えてのことだ。」としながらも、「今年は盗撮を未然に防ぐために関係者に注意を喚起し、女性警察官による巡回を強化してもらい、盗撮の文字を入れた警告看板を設置する。」としていた。事実、白浜町は、(公衆浴場での盗難、盗撮防止対策のため、下記のことについてご注意ください)とする警告板を設置。
〈ビデオカメラ、携帯電話、小型機器などを脱衣コーナーに置き、しばらくの間脱衣コーナーで過ごす人〉に、対しては、強く注意を促す念の入れようだった。ところが、その一ヵ月後には、この注意喚起がそっくり削除されていた。

 そして今回の盗撮が起こってしまったわけである。白浜町議会の楠本隆則議長も、今回の盗撮を知り、「なぜ・・・・」と言葉を失った。「(注意喚起が)省かれた理由はわかりませんが、盗撮防止対策を十分に検討したうえで、白浜町として、安全安心の町づくりのために、全国に先駆けて、ここで盗撮犯罪に歯止めをかけなければいけない」あらためて白浜町観光課に問い合わせると、「過激な表現だったため、警告看板を掛け替えた」と説明した。

 もっとも、注意喚起だけで、この種の問題が解決できるわけではないだ本当にふざけた話だが、その結果、膨大な被害者を出したのだから再び全国紙で叩かれるのは当たり前のことだ。だが、今回の白浜町の対応は早かった。紙面掲載後、白浜町は和歌山県警に対し告発状を提出したとの回答だった。

 過去、私が県警へ持ち込んでから長い月日が経った。「やっと動くのか・・・」これが私の感想だった。その後、週刊朝日に連動して、ワイドスクランブル「のぞき裏DVD激増…被害女性涙告発温泉盗撮魔が卑劣」・毎日放送VOICE「サツ担あなたも狙われる盗撮の恐怖」・TBSぴんぽん「女性が女性を盗撮…手口を追跡」・イブニングファイブ「法規制なく野放し、『盗撮』の実態」と多くの番組が白浜町盗撮及び和歌山AC、風呂盗撮のNを追ったのだった。

 この後私の耳に入ってきた情報によると、和歌山ACの人間は、雲隠れしたと情報を得たが、真意は不明である。
 しかし本当に有難いことに、市場が盗撮犯罪を追い、あまりにも酷い実態から「法整備の必要性」を求めてくれる時代に来たのだから。 

追記
MBS毎日放送は徹底して盗撮メーカーN(NANIWA)の茂崎を追いかけた。 会社も自宅も張込取材を書けたがノーコメント。
若いプロデューサーN氏本気度は凄かった。
多分この後出向で関東に行ったのは知っているが、テレビ局の本気度を感じた人物である。

そして、和歌山ACについては、ワイドスクランブル「のぞき裏DVD激増…被害女性涙告発温泉盗撮魔が卑劣」では、和歌山ACに直撃している。 これはメディアとして私は動いたので情報元については明かす必要がないが、和歌山ACの実態を追求した番組はテレ朝とMBSだけだと思う。 だって両番組とも私の情報をもとに企画され、各局が本気で動いた結果だったんだけど、N氏には私の解析方法を伝え、資料を渡したからね。

この放送の後、数年だってだけど、牟婁の湯の前にあった交番が無くなり、湯崎にある崎の湯は声掛けなど対策はしているが白良湯・牟婁の湯は対策がされていない。

この時点で無能な馬鹿山(和歌山)県警のレッテルを張るようになったのは事実だ。観光地で被害現場にある交番が無くなったのだから
脳のない和歌山県警さんが一つ謝罪をしたうえで頭を下げてきたら
対策は教えられたんだけど、馬鹿みたいに私から言う必要もない。
だからメディアを通じて追及しただけである。



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