民間団体から社団法人へ

真実の盗撮事件簿では、当初、私が経営する探偵事務所のボランティア活動としてスタートしました。

和歌山県警から「盗撮映像をネタに防犯機器を売り付けに来る悪徳な探偵社」としてレッテルを貼られたことがあり、その際に「意地でもお金はもらわない」という方針を決めました。社名ではなく、「盗撮犯罪対策室」という名称で活動していた時期や、署名運動の際には「和歌山県盗撮条例を願う会」という名称を使用していた時期もあります。

ジャーナリストの黒木昭雄さんと出会い、彼の提案で「全国盗撮犯罪防止ネットワーク」という名称を使用していた頃、法人化の話も何度かありました。しかし、当時の会計士に相談したところ、現場特定のために大量に購入する盗撮映像代(資料代)や現場確認に関する費用などは経費として落とせないとのことでした。その理由として、アダルトビデオを購入して領収書をもらうことはなく、よくてレシートだけであり、収入を捻出することが難しく、マイナスが大きくなるため無理だと言われました。結果的に、100%自腹での活動が続いていました。

当時、特定非営利活動法人(NPO法人)として、地域安全活動や人権の擁護、平和の推進を目的に設立することは可能でしたが、費用対効果がマイナスだったこと、ボランティアを受け入れる際のリスクもあったことから、民間団体としての道を選びました。

今だから笑い話にできますが、費用面は23年間ほぼ自腹でした。それでも、信頼できる仲間が無償で協力してくれたおかげで、ここまで活動を続けることができたのです。例えば、パブリックコメントで書面を作成する際には、和歌山合同法律事務所の畑純一弁護士が無償で書面を作成してくれたり、被害者支援で法廷で争う際には、櫻井法律事務所(京都)の櫻井一行弁護士がほぼ実費で法廷代理人を引き受けてくれたりしました。また、多くのメディアの記者やプロデューサーが熱い思いで取材活動をしてくれたおかげで、民間団体としての活動を続けることができました。昨年、撮影罪が施行されたのに伴い、NPOではなく、非営利性を定めた社団法人として設立しました。

初期メンバーは、私と共に長年歩んできた防犯アドバイザーの京師美佳さん、映像プロデューサーで盗撮犯罪に関してはテレビ業界でNo.1の元テレビ局プロデューサー竹輪次郎さん、優秀な探偵でプログラマーの和泉慎一さんなど、各分野の専門家がタッグを組んで社団法人として設立しました。さらに、探偵社でデジタルフォレンジックNEOの代表である継野勇一さん、私が関東で仕事をする際に無条件で協力していただいていた元盗聴機器発見業者の小俣一さん、日本メンサ会員でIQ160以上の平石雅明さんなど、多くのプロフェッショナルな方々と一緒に活動できたことを、心から感謝しています。

時代が変わり、現在は福岡の盗撮防犯ボランティアWc様やひいらぎネット様など、女性の方々が盗撮犯罪と戦っていただいていることが心の支えとなり、今もこの活動を続けられています。一方で、私が活動している間に、営利目的の探偵社や団体はすべて消えていきました。

ボランティアで活動を続けるのは本当に大変です。日々、全国で盗撮犯罪が発生し、私たちがどれだけ悲惨な現状を伝えても、被害を防ぐのは難しいのが現実です。その要因の一つとして、盗撮に対する脅威を感じていない方が多く、また性犯罪が身近にあるという認識が低いことが挙げられると思います。

先日、盗撮犯罪防止ネットワークの理事会で、以下のことが決定しました。
① 性犯罪に特化した無償アプリの開発
② 配信系ツールを使用して盗撮犯罪防止に関する番組の企画・配信・取材など、啓発活動の強化
③ 北海道エリアでの無償現地調査の実施

一般社団法人全国盗撮犯罪防止ネットワークでは、次期理事会で協議の上、一般会員・賛助会員・協賛企業の募集を行う予定です。詳細については、決定次第、ホームページやnote、sns等で発表させていただきます。

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