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Designship2024 イベントレポート vol.1

こんにちは。はじめまして。
タイミーのコミュニケーションデザイナーのyashikiです。

2024年10月12日(土)、13日(日)に開催された日本最大級のデザインカンファレンス「Designship2024」に、タイミーはスポンサーとして協賛しました。Designship2024のコンセプトは「広がりすぎたデザインを、接続する。」

Designshipとは?
デザインシップとは、様々な業界における一流デザイナーが集結し、それぞれの叡智や想いを爆発させる日本最大級のデザインカンファレンスです。
2024年のテーマは「広がりすぎたデザインを、接続する。」をコンセプトに、ブース出展やトークセッションが行われました。

この記事では、興味深かったセッションからその一部内容と自身の中で芽生えた考えや気づきをご紹介していきます。


まずは自己紹介

株式会社タイミーのコミュニケーションデザイナーのyashikiです。
2024年3月に入社しました。
デザイナーのキャリアスタートから約9年間制作会社に勤めていましたが、インハウスデザイナーとして働くのはタイミーが初めてです。

デザイナーが制作会社から事業会社へ転職する理由として以下がよく挙げられます。

  • もっと上流部分から関わりたい

  • 中長期的に事業のブランディングに携わりたい

  • 効果検証をもとにスピード感を持ってアウトプットしたい

私が以前勤めていた制作会社では、商品ブランディングやインナーブランディングなど提案からデザインまで一貫したクリエイティブに携わり、いわゆる「上流部分から関わりたい」は叶えていると思っていましたが、なぜか「表層的」といった感覚が拭えませんでした。

私も例に漏れず、インハウスデザイナーへのやや漠然とした希望を持って制作会社から事業会社に転職したわけです。


2つの問いの答え合わせ

今回のDesignshipは、自身の2つの問いを答え合わせする場になりました。

1つめは「インハウスデザイナーに求められる役割とは何か?」といった問い。

2つめは私のタイミーでの肩書きである「コミュニケーションデザイナーのデザイン範囲や役割とは?」といった問いです。

今回の記事では1つめのテーマ「インハウスデザイナーに求められる役割とは何か?」について印象的だったセッション内容とそれを受けて考えたことをまとめていきます。


インハウスデザイナーはデザインが得意なビジネスマン

印象的だったセッションがDay1「インハウスデザイナーは何をデザインしているか、するべきか」
その中でstmn松本さんのインハウスデザイナーは「デザインが得意なビジネスマン」という言葉に衝撃が走りました。

デザイナーは「デザイナーである」という誇りとプライドを持っているため「デザイナーという肩書きにこだわらない」というスタンスはある種、自身のアイデンティティを捨てるような感覚に近いと感じました。
そしてその感覚とは反対に、その言葉は「インハウスデザイナーを的確に表現している」と感じました。

この相反する感覚を探っていきたいと思います。


本質的な課題と優先度の見極め

インハウスデザイナーの大きな役割は「自社のサービスの価値をデザインの力で世の中に届け、事業貢献に寄与できるか」です。
そして、自社の事業貢献=本質的な課題をいかにスピード感を持ってアウトプットし解決するかが重要だと私は考えています。

制作会社のいわゆるクライアントワークでも同じように置き換えられると思いますが、「自社の」がつくことでその役割が大きく異なるように感じます。
それは、制作会社では「課題はクライアントが持っているもの」しかなく、それが本質的な課題なのかを見極めるのが難しいためです。

一方で、インハウスデザイナーであればその課題が本質的な課題かどうかを見極めることが可能であり、間違っていた場合は軌道修正できます
そして自社であれば切り取られた一部の課題ではなく、いくつも絡み合った課題を俯瞰して見ることができます。その数ある課題の中から最優先の課題を見極められ、よりスピード感を持って事業貢献に繋げることができるのです。

そうなった際に、ビジネスマンというスタンスが重要になってきます。


事業理解は、いかに自分ごと化できるか

その課題は本質的な課題か?最優先するべき課題は何か?といった見極めがインハウスデザイナーの役割でありおもしろみですが、それをできるかどうかはデザイナーの事業理解度にかかっているという気づきもありました。

サービスやプロダクトの理解はもちろん、会社の方針、各部署の課題、顧客の声など様々な視点で鮮度の高い情報をキャッチアップすることが重要になってきます。

ですが、キャッチアップの仕組みがない場合、情報量や鮮度に個人差が出てきます。
stmnさんでは課題や優先度の見極めをデザイナーそれぞれが行えている状態であるとのこと。セッション後、松本さんにキャッチアップするために取り組んでいることを2つ教えていただきました。

1.決定権のあるキーマンの会議に参加する
2.各部署の定例に担当のデザイナーそれぞれが参加。キャッチアップしてきたものを持ち寄りチーム内で共有する

一点目については、会社全体の方針を鮮度の高い状態でキャッチアップできることで優先するべき課題を見極めるため。さらに、各部署で優先度がバッティングした際に、キーマンで決定してもらうコミュニケーションが取れる点もメリットとして挙げていました。

二点目についても一点目と同じ理由を挙げられていましたが、ここで重要になってくるのは「デザイナーそれぞれが」という点だと私は思いました。
GMやTLだけでなくデザイナーそれぞれがキャッチアップしていくことで自分ごと化でき、GMやTLからの共有とは違った同じ目線のメンバーと共有することで、そこでしか生まれないディスカッションがあるのではないかと感じました。


デザイナー気質の壁

インハウスデザイナーの役割は分かりましたが、そこで大きな壁になってくるのがデザイナーの持っている気質です。

Day1 Brandon K. Hillさんの「日米でのデザイン会社を同時に経営して分かった、日本のデザイナーが世界で活躍する方法」セッション内の「日本のデザイナーが世界のデザイナーに比べて給与が低いのはなぜか?」というお話の中で、日本のデザイナーは「圧倒的なコミュ障」「プレゼン力の低さ」という特徴を挙げられていました。
どちらも「言語化が苦手」が一つの要因のように思います。
(ちなみにもう一つは「ゴシップ好き」だそうです)

多くのデザイナーは、言葉では説明できないような空間や色彩、質感といった後から身につけるのは容易ではない生まれ持った微細な感覚能力を持っています。
そういった内側の感覚と日々向き合いアウトプットしてきた職人気質なデザイナーからすると「言語化する」といった行為は容易ではありません。

ですが、インハウスデザイナーである以上身につけないといけないスキルであると改めて感じる機会になりました。

とはいえ、デザイナーの特殊能力とも言える微細な感覚を捉える力は、今後AI生成などが発展していく中で人間にしか捉えられないとても重要な感覚とも感じます。


次回の記事では、もう1つの問い「コミュニケーションデザイナーのデザイン範囲や役割とは?」について深ぼっていきたいと思います。

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