秋に酔う
暑い夏が終わりそうな予感がする
今日は少し涼しい。年々暑くなる夏とお別れできるのはとても嬉しいことだが、入道雲を見ることができなくなると思うと寂しいような気がする。涼しくて寂しくてややこしい。
ふと学生の頃の登下校を思い出した。
正直どの季節でも思い出す。学生を見るだけで良いな、戻りたいな、といった感情になる。大体の大人はなるでしょう?
25度くらいの夕方は本当に良かった。
(恐らく良いように記憶が補正されている)
高校生で自転車通学をした。といっても最寄り駅までの少しの間。
私は春と秋にしか自転車に乗らなかった。夏は暑くて焼けるし、冬は寒い。贅沢な人間なの。
肌馴染みの良い風にあたり、夕焼けに目をくすめながら、草花の香りを求めて深呼吸をして、少し気になる男の子と同じ道を走る。
二人乗りでは無いし、並走もせず、会話もしない。
私は秋に酔っていた。
自分よりひと回り大きい背中を見ながら、
「このまま空へと飛んでいけそうな気もする。次の日曜日は絵なんか描いてみたりして、図書館に寄って自習するのも良いな」と呑気に思っていた。気になっているとも一緒に帰ろうとも言わなかった。
うーん。
久しぶりに母の作る栗ご飯が食べたくなった。さんまと大学芋も。
私は贅沢だからね。