根暗(癌のはじまり)
自身の過去にこんなエピソードがある。母は僕に対して色々な習い事を小さい時から、習わせる人だった。たぶんだけど、それは僕が幼稚園に通い始めた当初からちゃんと通園出来ない事に関して、僕の成長に大きな不安を感じたからだと思う。一番、最初の習い事は「どらえもん」という教室だった。横浜駅西口には、かつて「ダイエー」があり、岡野町側から入店すると、すぐ右手に地下駐車場に繋がる階段があった。そこの地下1階あたりに、その教室があったと思う。そこでは、平仮名を書く練習や、絵本を読んだり、幼児教育の導入を行っていたような記憶がぼんやりとある。ただある日、「メロンジュースを作ろう!」というテーマの教室があった事だけは鮮明に覚えている。その日、となりに座った女の子に対して、瞬間的に可愛いと思い、突発的に「大好き!」と伝えた記憶がある。その直後、「嫌い! 嫌!」と即答され、確かそのまま大号泣した。問題はその後で、先生から「何で泣いているのか」問われても、ちゃんと回答しなかった。僕は3歳になる頃からフラれた事に関して体裁を気にしていたのだ。小さい時は泣き方を知らない。しゃくり上げて、呼吸が苦しいのと、精神的なダメージが繋がってトラウマになった。自分の気持ちを他人に赤裸々に話す事に関して、苦手意識を持ち始めたのは、この時からではないかと考えている。その出来事がきっかけで、「どらえもん」を辞める事にした。しばらく続いていた事で喜んでいた母が残念がっていたのを良く覚えている。今日に至るまで色々な人と出会ったが「嫌い! 嫌!」というのが、物事の本質ではないかと思わされる機会も多々あった。人間は皆3歳児なのだ。