地獄と理科と道徳と 前編②
人の気配が消えた街で、私はとろとろと車を走らせていた。いわゆる徐行に近いスピードでいることには理由がある。はっきり言って運転は得意ではない。左側のヘッドライトを金属製のポールで潰してから、やっと自覚したのだ。そしてもう一つ。私は、車を乗り換えたかった。この車に乗るところを見られているのだから。
「……あ。いや、よく考えたら、誰も居ないんだから、動いているものイコール私になるのか?」
乗り換えたところで、ここに本当に私しかいないのであれば、あまり意味がない気もする。
「……いや」
やはりそんなことはない。乗っていた車が停めてある周辺を女が探すかもしれない。そうすれば時間を稼ぐこともできる。チャンスと考えるべきだろう。
望みは薄いが、私は警察署を目指して移動している。この際、人がいなくてもいい。武器になるものもあるだろうし、牢屋もあるはず。牢屋を使う可能性があるのはあの女ではない。私だ。入ってしまえば、身の安全は確保できるし、気が進まないが対話を試みることだってできるはず。いきなり斬りつけてきた相手と和解できるとは思っていないが、こんな目に遭わされている原因くらいは知りたい。
とはいえ、私は心のどこかで、警察官という生き物に期待してしまっているのだろう。もし一人でも居たとしたら市民を助けてくれるだろう、と。自分ですら知らなかった弱さや甘えを自覚して気分が悪いが、とにかく車はしっかりと走らせなければならない。これ以上事故らせたら、こいつはきっと走らなくなる。
「は?」
私は、踏みたくなかったけど、ブレーキを踏む。車から降りて全容を確認しようかと迷ったが止めた。確認したところで何も変わらないからだ。
道を塞ぐように、デカい車が停まっている。名前は知らない。トラック? いや、もっと別の名前があった気がするけど、興味の無いことは本当に頭に入ってこない。だから仕事上関わりの無い同僚の名前なんかも覚えていない。この車も同僚も同じだ。問題が起こって私の前に立ちはだかった時に、初めて「名前は知らないけど、邪魔だな」と思う。ただそれだけの存在だ。
車は一台だけではない。乗用車も、それこそトラックも、奥の方にはバスも見える。車はおろか、人すら通さぬように並んでおり、ところどころクレーンで積んだように重なっている。SWATなんかが突入に使っている頑丈な車に乗っていたとしても、ここには突っ込みたくない。
「どうする。考えろ」
ここでの選択が運命を左右すると、本気で思った。先に進めるような道はない。車で引き返すなら、どうにかバックして、別の目的地を目指した方がいい。目的地など設定するだけ無駄かもしれないが、闇雲に逃げることほど疲れることはないのだから。一方で、車を乗り捨ててどこかへ逃げる選択肢も捨てがたい。このうず高く積まれた車を超えていくだけの度胸と体力は私には無いが、路地を利用して逃げることは視野に入れて考えるべきだ。
この二つを天秤にかけて数秒逡巡していた、そのときだった。視界の端で何か動くものを捉える。顔を上げると、バックミラーの中に女がいた。さっきと違う。赤い髪の女だ。顔は分からないが、背恰好と、あとは服装が明らかに違う。スポーティな服装の女は、まるで車の中から鏡ごしに見ている私の視線に気付いたように、道路の真ん中で立ち止まった。
もたつきながら窓ガラスを開けて見せると、女はゆっくりとこちらに歩み寄ってきた。
「あ、あの! この辺で安全なとこ知りませんか!?」
「んー。まぁあたしの前じゃないことだけは確かかな」
さっきの青い髪の女とは何もかもが違うはずの女が、あの女と同じ顔で笑った。そして刃物を手にして、こちらへと進んでくる。
理由も理屈も思い付かないが、そこにいる女とさっきの女は同じだ。そう確信した私は、座席の周辺を見渡した。車を後ろに下げたい。ギアをいじればいいことは流石に分かるが、助手席との間は行き来がしやすいように空洞になっている。イメージではここにあるはずだったのに。絶望的な気持ちで正面を向き、ハンドルの周辺を確認する。
「これ……!?」
ハンドルの奥のレバーのようなものを操作すると、スピードメーター近くのパネルの表示が変わる。これ、いけたのでは。
急いた心でアクセルを踏んでみると、車はものすごい勢いでバックする。十分に引き付けるような意図は無かったが、結果的にはそうなった。慌ててハンドルを切ってやると、私の車は尻に女を貼り付けたまま、路肩に止めていた乗用車に激突したのだ。つまり、女は私の車の後ろ側と乗用車の運転席のドアに挟まってぺしゃんこになっている。真っ赤に染まったガラスを見つめて力なく呟く。
「……ヤバい」
もう一度車をぶつければ、きっと動かなくなる。私は勝手にそう思っていた。しかし、先に限界が来たのは私の方だった。衝撃に耐えられなかった私は、呆気なく意識を手放した。
***
腕を伸ばそうとして、なにかに当たって。感覚で妙な体勢でいることに気付いて呻いた。触れていたものに力を加えて体を起こそうとすると、顔を上げきる前に遠くで音が鳴る。プーという間抜けな音を不審に思って、目を開けると車の中だった。
「そうだ、私は……」
女を車に挟んでミンチにした。車にも人体にも詳しくないけど、ああなれば遅かれ早かれ死ぬしかないと思う。むしろ即死できたなら幸せと言えるだろう。自分の潰れた内臓と失われていく血液を見つめながら待つ死は、きっと一種の拷問だ。
しかし、人を殺めた罪悪感のようなものは無かった。当然だ。私は私のために生きている。見ず知らずの女がそれを脅かそうとし、私は必死に逃げた。自分に非があるとは思えない。むしろ、こいつが私を殺そうとさえしなければ、あのとき車に近付いていなければ、死ぬようなことはなかったはずだ。そもそも車に掠ってすらいないはず。
体の違和感はいくつか。頭痛が酷い。右耳から左耳に抜けるように、鈍い電流を常時流されているような、欝陶しい痛みだ。左足が痒いと思っていたけど、痒いんじゃない。どこをどうやったのかは分からないけど、さっきの衝撃で擦ったらしい。ストッキングが伝線して血が滲んでいるが、まぁ歩けないということは無さそうだし、どうにかなるだろう。
それよりも深刻なのは耳だ。先ほどから少しずつ意識を揺り動かして、ゆっくりと覚醒しているが、たったいま大変なことに気付いた。私は体を起こす時に、あるボタンを押している。さっき独り言を言った時も違和感があった。その正体を確認するように、もう一度ハンドルに付いているボタンを押してみる。また、遠くでプーと聞こえる。
「……厄介だな」
意識をしながら独り言を言ってみても、声を発した感触は喉に残っているのに、音による答え合わせができない。そう、私は今、耳がほとんど聞こえない。
一時的なものかと気にしたところで、意識が全く別の方へと向いた。ゆっくりと振り返ると、そこには気絶する前に見た通り、赤い汚れがこびりついている。そうだ。女は死んだ。耳が聞こえなかろうが、頭が痛かろうが、私の安全を脅かす存在は消えたのだから、ゆっくりと療養すればいい。むしろ、目下の問題は女ではなく、人一人存在しないこの都市である。医療機関に駆け込むことはできるだろうが、医療行為を行う人間がいない場合、一体どうすれば。
車を降りようとして、なんとなしに隣の席に目を向けた。すると、そこには茶色い紙袋があった。心臓が徐々に暴れ出す。喉の奥がくっついて、唾を飲むことすら難しい。ゆっくりと手を伸ばして袋に触れると、電流が走った気がした。そんなこと、あるはずないのに。想像していたよりも質量がある。中身よりも先に、私の気を引いたものがある。それは袋に書かれた「あげる♥」の文字である。筆跡からみて女性と考えるのが妥当だ。そこで私の呼吸が乱れ始める。私の胸の中にある予感は、これまでの流れや、不条理な出来事全てを汲んだ上で感じているものである。
一つ、仮説を立てる。そしてその仮説が外れて欲しいと願いながら車を降り、ゆっくりと潰れているはずの女を拝もうとトランクの方へと移動した。
「いない……」
分かっていた、どうしてそんな。そんな相反する二つの感想が頭の中で弾けたが、泣き喚いている暇などないので、目を凝らして女が本当にいないことを確認する。
女は消えたが、そこに居たという痕跡までは消えていない。私が運転した車と事故に巻き込まれた路駐車の間には、僅かな隙間があった。事故に遭ったあと、女がどろりと溶けてそこから抜け出したのであれば説明がつく。どうやって抜けたのかは分からないが、挟まれた瞬間は確かにここにいたと断言できる痕跡だった。こんな狭所に衝撃と共に押し込められれば、まともな人間ならひとたまりもないはずだ。
私はよろよろとその場を離れながら、ようやく袋の中身を見た。そこには、拳銃が裸で入っていた。だというのに、私の中の驚きは薄い。いわゆるリボルバータイプのそれは、他の何かに見間違える余地を与えてはくれなかった。が、それだけだ。明らかに死んでいるはずの女がこつ然と姿を消す方が、よっぽど恐ろしいのだ。
「一応訊いとくけど、終わったと思ってないよね?」
「……!」
知った声だ。それだけで十分だった。私は振り返らない。赤い髪をした女の身体のままでいるのか、それならば拉げた身体を揺らしながら私に問い掛けたのか、それとも怪我をした痕跡は全く残っていないのか、何も分からない。いや、もしかすると研究所で会った姿に戻っているかもしれないし、また見たことの無い姿で私の背に声を投げているのかもしれない。
だけど、そんなことは重要ではないのだ。重要なのは、あの声と話し方で、その存在が私を何故か殺そうとしているらしいということだけ。
だから私は走った。いつの間にか靴が脱げて剥き出しになっている足なんかよりも、痛々しい傷が残る左脚なんかよりも、深刻なのは耳だった。平行感覚を司っていることは知っていたが、これほどまでに影響が出るとは。頭も痛いし、きっと私は医者に診てもらった方がいい状態なのだろう。事故で衝撃を受けると、時間差で吐き気に見舞われるなんて話も聞く。だけど、このままでは私は、このことを医者どころか誰にも話せないまま終わる。
「頑張るねー」
茶化す声を聞きながら、仕方なしにある建物に逃げ込んだ。今日日学校といえば警備が厳しそうなものであるが、今の私は知っている。少し前の私なら知らなかったことを。警備の人間は呼んでも来ないことがある、ということだ。身体が思うように動かないが、走れてはいる。昇降口から堂々と不法侵入をしてみたけど、やはり人はいない。それどころか、下駄箱に生徒達の靴が入っていることすらなかった。まるで建てたばかりで、まだ生徒がいない学校のようだった。だというのに、壁には生徒に向けた標語やなんかが貼り出されていて、ちぐはぐに感じた。
後ろから私を追っていた気配は消えたが、それでも袋に入ったリボルバーを取り出す気にはなれなかった。かさかさと音を立てることすら怖い。適当な廊下をできるだけ静かに歩きながら、私は状況を再び整理することにした。
変な女に付きまとわれて、殺されそうになって、どこまで逃げても追ってきて。車で潰し殺したと思ったら生きていた。しかも私に銃をプレゼントする余裕まであるらしい。
階段を上り終えると、ずらりと教室が並ぶ廊下に出た。建物の構造を知らないので仕方のないことだが、はっきり言って失敗したと思った。長い廊下は移動中に見つかるリスクが高い。
「どこかなー?」
どこか、私の居場所を探るような言葉にほっとするような余裕などない。女の言葉を間に受ければ、私がどこにいるのか割れていないということになるが、それよりももっと根本的な問題だ。この学校にいることを知られている絶望感。それが私を襲った。女はあっさりとこの建物まで、そしてこのフロアまで私を追ってきたのだ。それから、妙なことに遅れて気付く。今も聴力が戻っている感覚は無いのに、女の声だけはやけにはっきりと聞こえる点である。こんなこと、逃げることに比べればどうだっていいのに。どうだっていいはずのことに、こんなにも怯えている私がいる。
慌てて教室に入って、他に思い付かなかったから教卓の下に隠れた。こういうときに隠れるのは悪手である。それは私の経験則だが、贅沢は言ってられない。どうせ廊下を歩いていても見つかるのだ。それも、全身に怪我を負った女が、死んだはずの元気な亡霊に。どう足掻いても絶望的な状況だが、少しでも悪あがきしたい。
胸に抱えた袋をゆっくりと開いて、中を見る。いきなり中身が変化していてもおかしくないと直感したから。中身が変わらずリボルバーであることに安堵した。
「ここだよねー」
がらりと戸が開く音が響き、つかつかと足音が聞こえる。耳が特別いい方ではないが、衣擦れの音まではっきりと聞こえるから、それだけ神経が研ぎ澄まされているのだろう。いや、声だけならまだしも、女の立てる音だけが聞き取れるなんて、やはりおかしい。喉が渇いた。無性に。
立ち上がって引き金を引く動作を、頭の中で何度もシミュレーションする。無駄の無い動作をイメージして、しかし狙いは外さないように。心許無い金属の向こう側で足音が止まる。大きなため息の後、女は生徒達の机がある側から、教卓の側面を蹴ったようだ。すぐ横で衝撃を受けて、体がびくりと跳ね上がる。それでも声は出さなかった。
「いるよね?」
いるかと問われて馬鹿正直に答える奴がいるか? いやいない。少なくとも命を賭けたかくれんぼの最中にそんなことをするのは、自殺志願者だけだろう。
形勢逆転を狙って、私は遂に立ち上がろうとしたが、それよりも女が口を開く方が早かった。
「あ、そうそう。立ち上がる時の注意だけど、銃向けない方がいいよー」
やろうとしていたことを読まれて息が止まる。そこで相手の術中にハマっていることに気付いた。銃を与えられたのならば、誰もがここで起死回生を狙うだろう。別に心を読まれているわけではない。ただ、奴は相手の立場に立って行動を推測しているにすぎないのだ。
しかし、恐らくは奴から与えられたであろう武器を、それほど信用していいものだろうか。細工が施されていて、撃った瞬間暴発する可能性は、ないだろうか。しかしそうだとしたら馬鹿正直に私に伝えるだろうか。何も信用できないが、銃しか手段が無いのも事実。考え倦んでいると、再び声がした。歌うような声だった。
「変な動きをしたら刺すからね。この距離で銃とナイフのどっちが強いかなんて、考えれば分かるでしょ?」
「……」
「とりあえず立って、顔見せてよ」
「……」
「言うこと聞かないなら殺すけど」
殺すという言葉が脅しでないことが、本能で分かる。駄目だ。人の話になんて一切耳を貸さない私が、どう見ても年下の女の指示に抗う術を見い出せない。ガツンと、先ほどよりも強く教卓を蹴られてやっと自覚した。体の震えが止まらない。
「早く」
もう一秒だって待てない。そんな声色だった。私はよろよろと立ち上がり、教卓を挟んで女と向き合う。初めて、ゆっくりと女の顔を見た。
「遅いよ」
また違う女だ。暗い色の髪に、制服に。ここの生徒に扮して、私を嘲笑っているようだ。女の目的は、分からない。というか何も分からない。姿がころころと変わる理由も、誰もいない理由も、女が私を殺そうとする理由も、銃を与えた理由だって。
「……お望み通り、私は立ちましたが」
「ふふ」
不敵な笑みを浮かべる女には取り合わない。紙袋に入った銃を掴んで、そして。
「どしたの?」
「いいえ」
何もかもを捨てて、パチンコを打ちに行きたい。今ならきっと台も選び放題だ。
もう嫌だ。借りた金も返さずに、約束も守らずに生きてきただけなのに。どうしてこんな目に遭わなければならないのだ。
私が瞬時に自棄になった理由は、銃を掴んだ指先にある。気付かないことにしたかったけど、これは無視できない。指先で撫でて形状や大きさを確認して、確信する。私が触れているのは、弾丸だ。セットされているものだと思っていた。もしかして、だから撃たない方がいいと忠告されたのだろうか。
「碌間ちづ、だよね」
「えぇ」
「名前知ってること、驚かないんだ?」
「私のIDを持っていたのですから、何ら不自然ではありません」
「そういえばそんなこともあったねー」
紙袋を手放し、それぞれ銃と弾を落とさないように持ち直す。それにしても、人のIDを手にしていたことを、これほどどうでもいいこととして語れる者もそういないだろう。
私が今すべきことは何気ない会話を引き伸ばすこと。そしてその間に銃弾を装填することである。だというのに、他者との会話を楽しんだことなどない私は、たったそれだけのことすら満足にできずにいた。
「それあげたのあたしなんだけどさ」
「それとは?」
「今、ちづさんが教卓の下でいそいそと弾を込めようとしてる銃だけど」
「……」
自分でも思う。銃を与えた理由なんかを訊けばいいと。しかし、お見通しとばかりに自分のやろうとしていた事を言い当てられて、うっかり言葉を失ってしまった。
「あの」
「何?」
「あなたの目的はなんですか」
「どういうこと?」
「敵に塩を送るような真似をして、何がしたいんですか」
やっと訊けた。まともな返答があるとは考えにくいが。それでも、この不可解な状況を理解する糸口になればと思った。しかし、やはりというべきか、返ってきたのはよく分からない言葉だった。
「敵? 誰が?」
「あなたですが」
「あたしはちづさんが好きなのに。どうして敵とか言うの?」
「は……」
理解をすることを拒みたくなる。好き? 私が? それは勝手にすればいい。これまでにも一方的に好意を寄せてくる人間は掃いて捨てるほどいた。しかし、私を追い詰めた者はいない。普通、好いている者にこんな仕打ちをするものだろうか。
「それ。撃っていいよ。殺しそびれたら、そのときはあたしがちづさんを殺すから。よろしくねー」
「はは……」
この女は、きっと私が引き金を引けないと思っている。何故試すような真似をするのかは分からないままだが、心置きなく先手を打っていいということは分かる。
殺しそびれたら。それがどのような状態を意味するのかは分からない。手元が覚束ない私が弾を外したら、だろうか。いや、それよりももっと根本的な問題がある。弾を込める時に手元を見ていなかったので、どこに装填されたのか分からないのだ。これではロシアンルーレットだ。
「どう? やる?」
この女は、私を見くびっている。私は、確実にこの女を殺す方法を考えることしかしていないのに。度胸を試すようなその視線に笑い出しそうになる。自分を殺そうとしている相手を殺す為に、度胸なぞ必要ないのだ。
「そうですか」
対策についても、もう思い付いた。一度だけ撃つから空撃ちが発生し得るのだ。何度も引き金を引きまくればいいだけ。それでこの女を確実に殺すことができる。
引き金に触れている人差し指は意外に重たい。連続でトリガーを引く難度を想定する。命の重さを計算に入れることはなかった。
「では遠慮なく」
腕を上げて、ほとんど女の額に銃口を突きつけるような形で引き金を引く。もちろん連続で。やってきた衝撃を肩で受け止めて、銃声が遠くで鳴って、聴覚がイカれていたことを思い出した。
サポートして下さったらそれは全て私の肉代に消えます。