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ライブレポート"FUJI ROCK '12を振り返る"

随分と涼しくなって来ました。
今さらながら今年のフジロックを振り返ります。

終わるやいなやベストアクトはどうだと騒ぐのは
あまりしっくり来ないのだけど(余韻に浸りたい)、
「今だに印象に残っているステージ」という実に曖昧で明確な基準にて
特に良かった5バンドをピックアップ、
記録をしておこうと思います。

"HIROMI THE TRIO PROJECT featuring Anthony Jackson & Simon Phillips"


この人はライブの人だろう、と
ずっと一度は観てみたいと気になっていた人。
ようやく願いが叶った。

やっぱりライブの人だった。

正直アンソニー・ジャクソンとサイモン・フィリップスのトリオより
初期のアナザーマインドの頃のほうが初期衝動感があって好きだが、
肘で鍵盤を叩きつけたり、
立ち上がっては楽しげにピアノを演奏してる姿を目の前にすると
そんなことはどうでも良くなったことを思い出す。

映像でもお馴染みだったけど、生で観たら顔で弾くタイプだった。

ライブ後「上原ひろみはプログレだった」と、
やけに言わてるのを見聞きし、違和感を覚える。
確かに近作はそう思われても仕方無いかな、
ちょっとあざといかなと思うところはあった。

実際、上原ひろみのフレーズもさることながら、
ビル・ブラッフォードを連想するようなサイモン・フィリップスの
リズムのズラし方もプログレ感を後押ししてた気がする。

でも、それも観てる時は正直どうでも良かった。
彼女のルーツがどうだとかより、
目の前で繰り広げられる演奏そのものに夢中になってた。
それが全てだったと今でも思う。

本人たちはあそこでいつも通り思いっきり演奏してただけだっただと思うし、
それで充分なんだろう。

ハイライトは、ニューアルバムの"MOVE"収録されてる
"Endeavor"という曲を演奏してる際、
中間の静かな部分でピアノとリムショットが
オレンジコートの夜空に吸い込まれていった瞬間。
あの瞬間。あの瞬間が未だに忘れられないです。

今年のベストアクトでした。

そういえば、ライブが始まる直前に手元にスティックが無いのに気づいた
サイモンフィリップスの緊迫したジェスチャーと、
そんなことに気づきもしないほど"入り込んだ"上原ひろみが
イントロフレーズを弾き始めた時の瞬間も素晴らしかった。

"SEUN KUTI & EGYPT 80"


2時間以上のたっぷりのライブ。
実に気持ちよかったです。

この頃、Fela Kutiを今更ながら知ってハマっていて、
見事にアフロビートの伝統芸能を十分に味合わせて貰った。
夏らしい時間だった。

見所はやっぱり、
暗黒舞踏を彷彿とさせるSeun Kutiのくねくねダンス。

赤いTシャツを着たそこら辺に居そうなおっさんによる
恐ろしい迄のストイックなリズムを刻み続けるあのパーカッション。


"CARIBOU"


トータスやジェントル・ジャイアントみたいに
楽器をとっかえひっかえする好物パターン。
事前にyoutubeで観たときにCANやNEUあたりのクラウトロック感と
散りばめられた60年代的ポップ感が
とても好みで気になって観てみた。

音源を聴くと大分エレクトロニカ寄りだったけど
素晴らしくライブバンドだった。

白ずくめのミニマムな衣装も、
照明もかっこ良くてビジュアル的にも良かった。
ドラマーの叩きっぷりが実に堪らない。
大好物。

かなり刺激を受けたステージだった。

"BUDDY GUY"


レジェント。
去年のドタキャンのリベンジがようやく果たされた。

ブルースとなると良くも悪くも正座して聴いてしまうところがあったけど、
見事にエンターテイメントだった。
それに感銘を覚えたのは、
フォロワーによる甘口ブルースはなく、
他ならぬバディ・ガイ本人の演奏だったからだと思います。

ケツでギター擦ったり、
ギターにタオル叩きつけて弾いたり、
楽屋に引っ込ん姿が見えままソロが鳴り響いてたり、
どこに行ったのか思ったら客席後方から突然現れたりと、
もう笑いと興奮による絶叫のカオス。

ハイライトは、エレキを生音で弾いたとき。
静寂が大音量で流れこんでくると言うのか
あの時に訪れた空気感には本当に鳥肌が立った。

御年76歳。
昔死んだ自分の爺ちゃんより5つも上で驚くばかり。

最高だった。

"キノコホテル"


二日目の夜、トリを観終えてオアシスにふらつくと、
苗場食堂のあたりが人だかり。
気になって覗くとミリタリールックの女子が激しいライブを繰り広げており、
気付いたら一気に惹きこまれていた。

久しぶりの感覚。
この、機材トラブルも演出のひとつに見えてくる初期衝動に溢れる演奏感。

音響悪いはずなのに、Nord Electroのハモンド、ジャズマスターのギター、
それぞれ本当にいい音を鳴らしていた。

興味の対象がロックよりワールドミュージック等に移行しつつある時期で、
フジロックの楽しみ方も10年前とは随分変わってきていた。
だけど、キーボードの上に立ってパンチラしながら煽られるようなライブを観て
久々にテンションが上がったことは、個人的に嬉しい事実だった。

まとめ


2000年にフジロックに行って以来、
初の全日参加でしたが非常に楽しかった。
ただ、自由度が高いと言われるFUJI ROCKに
それを感じなくなってきているのも事実だった。

来年はどのような体験が得られるのか楽しみです。

2012年9月23日

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