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神話の国の保存車両めぐり
数々の神話の舞台となっている出雲。
そんな歴史ある出雲地域に残された保存車両巡りの記録。
一畑電車デハニ52
まず最初に訪れたのは出雲大社の最寄り駅、一畑電車の出雲大社前駅。
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オシャレな洋風駅舎は1930年に大社線が出雲大社前(当時は大社神門)まで開業した際に建設されたもので、国の登録有形文化財に指定されています。
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そんな出雲大社駅前の構内に保存されているのが一畑電車のデハニ52。
1928年に北松江線の全通に合わせて製造された車両で、2009年まで長きにわたって活躍していました。
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車内にも入ることができます。
車内はほぼ木で作られていて、木材特有の暖かい雰囲気が漂っていました。
ただし、この日の気温は30度オーバー、車内の温度は暖かいを通り越してもはやサウナのようになっていましたが…💦
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少し傷みが気になる部分もありますが、状態としてはかなり良好です。
一畑電車デハ23
お次は出雲大社に隣接する古代出雲歴史博物館へ。
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古代出雲歴史博物館は出雲大社や出雲国風土記、荒神谷・加茂岩倉両遺跡など、その名のとおり古代出雲の歴史に関する展示が中心の施設ですが、総合展示室の一角に一畑電車デハ23のカットボディが保存されています。
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1927年の北松江線電化の際に製造されたデハ1形を、2扉セミクロスシートに改造のうえ改番した車両で、1996年の引退後は平田市立図書館(当時)に1両丸ごと保存されていましたが、色々あって現在は古代出雲歴史博物館でカットボディの形で保存されています。
こちらのページに平田市立図書館に保存されていた当時の姿が掲載されています。製造年の欄では1928年、特徴のところでは1927年製造になってますがどっちが正しいのこれ…
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車内にも入ることができます。
配置こそ変わっていますが、当時の座席も残されています。
一畑電車デハニ53
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ところ変わってお次は雲州平田駅。
車庫や本社が併設された一畑電車の中枢ともいえる駅です。
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デハニの現役当時、この塗装は手動扉の車両を示すものでしたが、今の車両は当然のことながら自動扉です。
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車庫の片隅の専用建屋の中にデハニ53が保存されています。
先ほど紹介したデハニ52から2年ほど遅れて1930年、大社線の全通に際して製造された車両です。
デハニ52も53も形式上は同じデハニ50形ですが、間隔が少し空いたためか細かな差異が結構あります。お暇な方は見比べてみて下さい。
デハニ52は静態保存ですが、こちらは動態保存、今も体験運転用の車両として活躍しています。
おわりに
三者三様の形態で保存されている出雲の一畑電車。
形は違えど、どれも大切に保存されていることが伝わってきました。
これからもきっと末永く大切に保存されていくことでしょう…。
結局全部一畑の保存車じゃないかという突っ込みを受けそうですが、こんな感じの旧型電車が私の性癖なので文句は受け付けません(笑)
ちなみに、大社線沿線の保育園にはデハ1形のデハ3とデハ6がこれもまた素晴らしい状態で保存されています。場所が場所なので、訪問される場合はお気を付けて…。
参考文献
『ローカル私鉄車輛20年 西日本編』寺田裕一(2002年)