Iceland : Jónsi
アイスランドのポストロックバンドSigur Rós のボーカルギター
Jónsi(ヨンシー)
アイスランドは人口が30万人程度で少ないため、アーティスト達は世界に市場を求め、詞は英語で歌われる場合が多い。
人口の少ない島国から世界目線で音楽をつくる。
ヨンシーは英語、アイスランド語、造語のホープランディックをつかって作詞をする。
まず印象的なソロデビュー作を紹介する。
M1- GO DO
シガーロスとはうって変わり、ビート感が強くポップでテンポが早い曲が多い。
このアルバム一枚で音の種類がどれだけ入っているだろう。
ハツラツとしていながら、色彩豊かだ。
そしてカラフルで遊び心がある。
このアルバムは英語が多く用いられているため和訳しやすい。そこで目にした歌詞の圧倒的な活力、エネルギーを紹介する。
ヨンシー自身、
「このアルバムの制作中に爆発しちゃったんだ」
とインタビューで語っていたが本当にそんな感じがする。無敵状態というか、超越感とか全能感といった言葉が相応しい気がする。人間の強さや豊かさを提示している。
彼はバンドの活動だけにとどまらず、ソロ作品の製作、他のアーティストと共同制作、映画やドラマのサウンドトラックなどを手掛けている。
実際にヨンシーはシガーロスの活動を1年止めて、ソロ、共作などの別プロジェクトを進めたりする。
それだけ多様な人とプレイする重要性を認めている様だ。
彼の共同制作の一部を紹介しよう。
M3 - Indian Summer
アンビエントアルバムだと呼べるだろう。
アルバムの一曲一曲は長いが、確実に曲は進行しており、マックスの濃厚なローが出た時は凄まじい感動がある。
鼓膜はヒタヒタのリバーブで埋め尽くされる。
ゆっくり変化していく曲の中で、現実と心の境界線が曖昧で不明瞭になっていく。
重厚なアンサンブルと深いリバーブに身を委ねよう。
この作品は彼のパートナーでありミュージシャンのAlex Somersとの共作 である。
ヨンシーは自身がゲイであることを公表しており、
セクシャルマイノリティ(性的思考における少数派の事)であることと、クリエイティビティの関係を信じている。他人の多様性も同時に容認している。
「もしもゲイじゃなかったら、これだけ音楽を作ってなかったと思う」
ヨンシーの言葉である。
私は彼の人としてのバランス感覚や、異様な高さのクリエイティビティ、メロディセンスと脳裏に焼き付くファルセットに10年ほど前から惹かれていた。
Sigur Rós の活動と共に、彼自身の活動にも目が離せない。
最後に。
読書や寝る前にでも聞いてみて欲しい
空間のごとく、音楽が馴染むはずだから。
MK D