UK : Amy Winehouse
歌声に惹かれる。
音楽を聴いていく中で誰もが経験することではあるが、その好みは人それぞれ。
Amy Winehouse
ソウルもジャズもほとんど聴いていない大学1年の頃、私は彼女の声に惹かれた。
ハスキーでソウルフルな、感情がそのまま音となったような歌声は、当時のイギリスでも高い評価を受けた。
彼女のことを何も知らないまま、ただ楽曲として消費していた時期が続いたが、1年近く前に彼女の生涯を描いたドキュメンタリー映画『Amy』を観てからは、かつて聴いてきたそれとはまた違った表情を感じることができた。
やたらと恋愛の曲が多いとは思っていたが、映画を観てから腑に落ちまくった。
冒頭は彼女のデビュー前、レコード会社にデモテープを送る前から始まる(たしか)。
当時はジャズやソウルを愛する、ダイヤの原石と言える少女であった。
その後は実力でスター街道を駆け上がり、音楽と愛に生きていく中で、ハードなドラッグに溺れていった。
その中毒性や、元々持っていた拒食症やアルコール中毒、彼女を取り巻く環境によるプレッシャーに苦しみながら書いた曲が Rehab だ。
彼女の代表曲の一つであるが、その反骨精神からか、逆境を見事に音楽性で打ち返している気がする。
1stアルバム『Frank』も、プレーンな彼女の魅力を感じることができるが、なんといっても2006年にリリースされた2ndアルバム『Back To Black』は、一曲一曲の完成度が圧倒的に高い。
愛に生きる彼女の苦悩が、もう一つの大きな軸である音楽によって見事に体現されている。
怒りや哀しみ、絶望が全て詰まっているように感じる。
大スターでありながら、精神的にも不安定な時期であったがために、ライブ自体も波があるのは事実。
"Love Is A Losing Game"
愛は負け戦のようだと彼女は言う。
心身ともにセンシティブな彼女にとっては、この世は余りに厳しいものだったのかもしれない。
彼女は27歳でこの世を去った。
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