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JP : 高木正勝

1998年、彼は12歳の頃、ピアノに触れ始め、
2001年から2021年までの20年間で16枚のオリジナルアルバムをリリースしている。京都出身の音楽家、映像作家であり、本の執筆も手掛けている高木正勝について書きたいと思う。

彼は映画のサウンドトラックを数多、手掛けている。
有名な映画で言えば、『バケモノの子』、『未来のミライ』、『おおかみこどもの雨と雪』などがある


彼の曲は繊細でいて荒々しさを秘めている。美しさと脅威を持つ、自然に近い音を出している様に私には聞こえる。

ただの綺麗な音の積み重ねではない部分。大自然の中に佇む、人類を想像する。そこが釣り針の返しの様に、喉元に食い込み、いつまでも抜けないのだ。思い出して、再生ボタンを押してしまう。




『Marginalia(マージナリア)』プロジェクト

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彼は普段から、日常空間とのセッションを曲にしてアップロードしている。
日常空間とは例えば、雨が屋根を打つ音や、小鳥のさえずり、風音の中から浮き上がる虫の羽音、子供たちの話し声などに合わせて、ピアノやギターを弾くのだ。音の日記とも、言語を超えた音での交信とも呼べる。


高木正勝さん曰く、
自身の演奏を鳥や虫たちが、歌い返してくるという。それを録音すると、その関係性をアーカイブできるのが面白いのだと。

素晴らしい音楽との向き合い方だと思う。
アンビエント(環境音楽)の一つの境地を感じる。


マージナリア プロジェクトから一曲


高木正勝さんは兵庫県の山奥に住まいを構えている。村の小さな共同体に身を置き、音楽を作っている。
そんな彼から生まれる曲はとても自然的で、懐が深い。
田舎で育った自分の過去が頭によぎり、懐かしく温かい気持ちに引き戻される。錯覚だろうが、風や光の感触が柔らかくなる。

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山奥に住むその行動力と意志の明確さに感銘を受ける。
今この時代に、この人が居てくれて良かったと思った。心のどこかにじんわりと安堵感が滲み出てくる。
先述した彼の音楽に向き合う姿勢や、世界の捉え方に心の底から共感を覚えた。

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静かな一瞬、キャンプ中や、風や自然が感じたくなった時、朝起きてコーヒーを淹れる時の生活のひとときにでも是非、高木正勝を聞いてみてほしい。
彼は自然から
もたらされるものの有り難さと脅威、いづれは朽ちてなくなる事、自然からの影響全てを真っ向から受け入れている。そして、肯定している。時間経過に焦らず、じっくりと命を謳歌している。自然と共に奏でる、讃美歌の様に。


私は彼と同じ時代を生きている、その事に喜びを感じる。それほどまでに彼には、魅力がある。

深い夜、彼に一度、身を預けてみてほしい。
明るく穏やかな、本当の人間らしさを曲から実感すると思う。

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MK D

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