眠るのを諦めた夜に

ソファで寝る癖が治らない。

そんな夜に目覚めてくるのは、あちこちで最近睡眠がやたらと仰々しく質を重視するようになっていることへの細やかな反抗心だ。

寝る何分前にはこれをして、あれはしてはダメで、いい香りなんかすると良いらしい。加えて明るさはこれくらい。などなどなど…。

面倒だ。

私が一番好きなのは、だらだらとテレビやスマホや本やらを同時進行で摂取しながら、煌々と灯りのついたままソファで自然と迎える睡眠だ。寝室でわざわざ寝に行くのは、形式ばって億劫になってきている。
ソファで「あ、ねむ。ねむくなってきた。これはねむいぞ。うーん…。瞼を閉じてみるか…」なんてのが、最高だ。
欲求に五体投地でひれ伏す感覚が堪らない。

まぁまぁ、リラックスするために息巻いて、あれやこれや準備して迎える平穏もあるだろう。
でも、その気もなかったのに寝てしまうという怠惰と背徳感を摂取できることは、私にとっての最大級な贅沢なのだ。まるでキッチンで、出来立ての料理をつまみ食いするようなもの。

ゆえに意図の埒外にある偶然を楽しんでいる、なんてカッコつけすぎで、やっぱり睡眠はある程度規則的かつ、理想的な環境で取った方がいい。この思考のループ、たぶん28回くらいは繰り返している。


ソファで寝過ぎてすっかり眠れなくなってしまった深夜27時のベッドの中から、ぽつり。

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