"記憶を紡ぐ味" 〜わたしの味の作り方
わたしには得意料理がない。
けれど、レシピを見れば和食でも洋食でも、知っている料理はおいしく作ることができる。
なんでも作れる
は、武器にするには少し威力が弱い。
もう少しロマンティックに、砂糖菓子の弾丸でも撃ち抜くにはどうすればいいのか。
いろいろ考えた結果、自分の料理の特徴を聞かれた時はこう言っている。
どこか懐かしい優しいおいしさ、季節が巡ってまた食べたくなるような"記憶を紡ぐ味"を作っています。
どういう経緯でここに至ったかを少し書き留めてみようと思います。
人に言われる自分の味の印象
「優しい味がする」
これが言われる率ナンバーワンの言葉。
さて、優しいってなんだろう。
ひとそれぞれに意味は違うのかもしれないが、
優しい=安心感
と捉えられるなあと思った。
お家で食べるお母さんのお味噌汁みたいに、なんだかほっとするということなのかもしれない。
たしかに、わたしはめちゃくちゃ奇をてらったような料理は作れない。残念ながら発想は凡人である。
だから、
・この味を知っている
・いつかどこかで食べたような気がする
・懐かしい気持ちになる
・安定のおいしさ
を大切にしようと思った。
けれど、それだけだと、実家で食べるごはんでいいじゃん、となってしまう。
そこで、既存の料理に少しのアレンジを加えたり、おいしくなる一手間を加えることがすきなわたしは、
・食べたことがない
・この組み合わせは初めて
・どうやって作るんだろう
という、知っている味プラスアルファを目指すことにした。
自分が作りたい味
次にどんな味を自分が作りたいかというと、
・季節や旬を感じられること
・ずっとは覚えてもらえなくていいから、何かの折に思い出してもらえるとうれしい
というところから、"季節が巡ってまた食べたくなる"という言葉を選んだ。
記憶を紡ぐ
人からの感想と自分の意思の2つのベクトルから、
あの時食べた懐かしいような味を、ふと思い出して、また食べたくなる
という意味をもたせて"記憶を紡ぐ味"とした。
どこか遠い昔に食べたことのある味を、いまこの料理に感じる、それを少し先の未来にまた思い出す、そんな繰り返しの輪の中にいられたらいいなあ。
そして、美味しさは食材や料理の味だけでは計れない。
美味しいと感じられる空間や間合いとともに、食の時間を届けていきたい。
わたしたちの身体は食べたものでできている。
それは、
わたしたちは記憶でできている、ということ。
できるだけあたたかい思い出で、身体が満ちていきますように。
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#週1note に参加しています。
3月31日まで、あと1回でびっくり。
一緒に頑張ってくれるひとがいてくれて本当に良かった!
そして読んでくれているみなさま、いつもありがとうございます!
cover photo by @miiko_nnn
おいしいの追求と心地よい空間づくりのため、サポートを使わせていただきます。