見出し画像

file2.『想定外の喜びの形』

高知県土佐町石原
四国の真ん中にある人口320人ほどの里山、
『いしはらの里』。
高知市からは車で約1時間。
まちを歩けば、お馴染みの顔と
豊かな自然が優しく人々を待ち受ける。••••••••••••••••••••••••••••••••••

『想定外の喜びの形』

進学や就職を機に集落から人財が出ていく。
地方ではこの人々の流れが当たり前にある。
したがって、逆の動きがあると
集落の人々からは歓迎される。

高知市から石原に引っ越してきて
たくさんの人に優しい歓迎の言葉
をかけてもらった。

「にぎやかになるね~こりゃえい!」
「集落が明るく元気になる」
「これからの石原が楽しみだ」
などの言葉に始まり
「石原のお父ちゃんお母ちゃんと思って
いつでも頼ってね」
「自分にできることは全力でサポートしていく」
など、ありがたい言葉をいただいた。

新生活を始めるにあたり不安はつきものだ。
そういった不安を軽減してくれたのが
温かく迎え入れてくれた人々の声であった。

実際、人口の半数以上が高齢者である石原に
21歳の若者が入ってくることは、
小さいながらも強く明るい光である。

集落が活気づくだけでなく、
マンパワーも確保できる。
その効果や喜びは大きい。
私自身、それを理解しながら
石原で頑張っていこうとしている。

人伝いではあるが忘れられない言葉を聞いた。
「あの家に灯りが灯った。懐かしい、嬉しい」
これは、古くから石原に住むおばあちゃんの
言葉だという。
空き家に電気が灯ることにより、
人が引っ越してきたという喜びだけでなく
懐かしさや安心感、心の賑わいが
彼女にもたらされたのではないだろうか。

人口が少なくなり、
空き家も目立つようになった集落では
一軒の家から放たれる灯りが、
何とも心強く安堵感さえ覚えるものとなる。
途絶えさせてはならない貴重な光だと、
ひしひしと感じる今日この頃である。

(令和2年4月26日記載)